ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 [映画]
ネタバレ箇所は後述。
Re:buildによって新劇場版が制作されるにあたって、かつてのTVシリーズと設定を異にする箇所が幾つか散見されるが、その中でも一際目を引くのがEVA本体における胴回りの太さである。
「序」ではあまり気にならなかったが、今回の「破」はその変更による違和が如実に表れていた。意図的にやっているとしか思えない程にカメラワークによって胴回りが強調され、作画とも相俟って「序」の時よりもかなり太くなっている印象を受けた。
まるで胎児を宿す母のように。
「序」では見られなかった「母としてのEVA」が「破」ではある場面で意図的に演出されていたが、だとすれば作画によるあの胴回りの過剰な膨らみも納得できる。
全く予想していなかったラストとその後に公開された次回予告によって「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」がどこへ向かっているのかは全く分からなくなったが、個人的にはEVAの「母」の部分をどう収束させるのかが気になったりしている。
以下、蛇足、愚痴、批評。
・いわゆる「アニメらしさ」としての演出である「バタくささ」が「破」ではかなりの頻度で演出されていたが若干過剰すぎる印象を受けた。オーバーなリアクションであったりキャラクターの造形がデフォルメされていたりとおそらくは意図的に行われていたのだろうが、個人的にはもうちょっとリアリスティックな方向で演出して欲しかった。それと、「サービスカット」も過剰すぎる気がしないでもない。正直ほんの少しだが鼻に付いた。
・二時間で感情の機微を演出するのは難しいのか、アスカの心理描写が急すぎる。若干の置いてけぼりを感じた。
・冒頭の仮設5号機の戦闘が暗すぎて何をしているのかが分かりにくい。
・意図的に劇場内で開封しにくくしてあるパンフレットの中にさらに封入されている袋綴じの存在意義はどこにあるのか。甚だ疑問である。
以下ネタバレ
・3号機対初号機の例のシーンの演出は見事。搭乗者が音だけで状況を理解し「何が起こってしまうか」を把握してしまい、しかも自身は何も出来ないという状況は本当に恐ろしい。観ていたこっちも背筋が冷えた。場内の温度が下がったのが手に取るように分かった。
・CGの使い方は相変わらず卓越している。途中EVA本体が丸ごとCGで描かれていたようだが言われるまで全く気付かなかった。「序」でもそうだったが、いわゆるトゥーンシェード、レンダリング時におけるテクスチャの「CGくささ」が殆ど見受けられず、セル画と合わせても違和感が無い。
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