足元の足元を広げる
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/
ブラウザの広告表示設定によりアニメCG記事の一部画像が表示されない場合があります。
smith
2021-01-01T23:52:34+09:00
ja
-
謹賀新年
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2021-01-01
明けましておめでとう御座います。本年も宜しくお願い申し上げます。
日記
smith
2021-01-01T23:52:34+09:00
本年も宜しくお願い申し上げます。
]]>
-
最近聴いているアップリフティングトランス vol.5
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-12-05
前回私家版 アップリフティングトランス ランキング22さて10ヶ月ぶりの記事。気が付いたらもう年末である。いや、当初はここまで放置するつもりは全く無く今年は月1くらいのペースで更新していきたいなぁなどと考えてはいたのである(本当か)。Twitterを開始して以来やはりその利便性には抗えず気軽に投稿出来るそのスタイルはブログよりも遥かにフットワークが軽くなる。とは言え、140字の短文形式が続くと長文としてまとめたくなる欲求が徐々に溜まってくるので自分にはブログの方が性にあっているのだろうが。今回久しぶりのトランス音楽記事となったがここまで期間が空いたのは別に更新をサボっていたからではなく、前回の記事以降魅力的な曲に全く出会えなかったという点が大きい。いつも通り候補の曲自体は20数曲程度出てきたがいざ購入に踏み切れる程の強固なメロディラインを持った曲が殆ど無く、作曲DJやらオススメの曲を只管漁るもののさっぱりアタリが無く仕舞いにはyoutubeに上がっている個人がまとめた「オススメのトランス曲10薦☆」みたいなものにまで手を出す始末。まあその甲斐もあってこの2週間程でかなり収穫があり購入に至った曲も何曲が出てくる事になったので手は尽くしてみるものだなと。しかしながらこの10ヶ月常にトランスを聴き続けたとは言わないまでもかなりの曲数を試聴する事になってしまい。正確な数こそ把握していないものの10000曲は確実に聴いていた事にはなりそうだ。いや本当に修行僧かと。正直検索方法を見直して効率よく良曲が探せるようにした方が良いのだろうが、それも人柱が存在する確実に評価が高い映画しか観たくない的な浅ましさがあるのでノリ気ではないのだが時間は有限なのでそうも言ってられないだろう。このまま時間を浪費するのは成果に対してあまりにもバランスが悪い。映画と違ってこっちは情報があまりにも少なく広大な砂漠に咲いている花を探す様なものなのだから。
音楽
smith
2020-12-05T12:54:57+09:00
私家版 アップリフティングトランス ランキング22
さて10ヶ月ぶりの記事。気が付いたらもう年末である。いや、当初はここまで放置するつもりは全く無く今年は月1くらいのペースで更新していきたいなぁなどと考えてはいたのである(本当か)。Twitterを開始して以来やはりその利便性には抗えず気軽に投稿出来るそのスタイルはブログよりも遥かにフットワークが軽くなる。とは言え、140字の短文形式が続くと長文としてまとめたくなる欲求が徐々に溜まってくるので自分にはブログの方が性にあっているのだろうが。
今回久しぶりのトランス音楽記事となったがここまで期間が空いたのは別に更新をサボっていたからではなく、前回の記事以降魅力的な曲に全く出会えなかったという点が大きい。いつも通り候補の曲自体は20数曲程度出てきたがいざ購入に踏み切れる程の強固なメロディラインを持った曲が殆ど無く、作曲DJやらオススメの曲を只管漁るもののさっぱりアタリが無く仕舞いにはyoutubeに上がっている個人がまとめた「オススメのトランス曲10薦☆」みたいなものにまで手を出す始末。まあその甲斐もあってこの2週間程でかなり収穫があり購入に至った曲も何曲が出てくる事になったので手は尽くしてみるものだなと。
しかしながらこの10ヶ月常にトランスを聴き続けたとは言わないまでもかなりの曲数を試聴する事になってしまい。正確な数こそ把握していないものの10000曲は確実に聴いていた事にはなりそうだ。いや本当に修行僧かと。正直検索方法を見直して効率よく良曲が探せるようにした方が良いのだろうが、それも人柱が存在する確実に評価が高い映画しか観たくない的な浅ましさがあるのでノリ気ではないのだが時間は有限なのでそうも言ってられないだろう。このまま時間を浪費するのは成果に対してあまりにもバランスが悪い。映画と違ってこっちは情報があまりにも少なく広大な砂漠に咲いている花を探す様なものなのだから。
そういえば以前書いていた簡易版のbeatport classicがこの度サービスを終え、beatportは本家のみのサービスで運営される事となった。beatport 簡易版は動作が軽いので好きだったのだがまあサーバー管理の問題もあるので仕方が無いのだろう。本家版も読み込み速度は充分許容範囲内なので一応快適に聴く事は出来る。
今回10ヶ月もかかった事もあり正直に言うと若干妥協している。強固なメロディラインに飢えていたので、諸手を挙げて絶賛出来る曲ではないのだが購入するもの吝かではないという範囲の曲に手を付けてしまった格好になるのでご了承いただきたい。まあ紹介する以上は自信を持って購入する価値のある曲だと言いたい。
例の如くバナーが機能して無いのでこの曲はリンク先へ。オフビートに始まるイントロからアクセントとして挟み込まれるピアノの音、リフレインされる3音、中盤のブレイクで一気に長調へと移り変わり明るい曲調へと変化する様が非常に心地良い。ブレイク後のクライマックスで繰り返されるメロディラインはほぼ3音のみで構成されておりそこまで特徴的では無いがずっと滞空している様な気持良さのあるので何度も聴いてしまう。この曲は何度も聴き込んで漸く購入に至った曲でもある。
今回一番のオススメ曲。使われてる音色がどれも気持ち良く底抜けに明るいイントロからアウトロまで流れの途切れない非常にバランスの良い一曲。ブレイクで雨の環境音を入れているためノイズがちょっと気になるのとクライマックスへ入る前のオーケストラアレンジがあまり好きではなく、またクライマックス直前の刻みが強すぎるので最初は購入を見送っていたのだがクライマックスのメロディラインの気持ち良さがそれを帳消しにしてくれたので購入してしまった。
イントロの不協和音がダサいので購入するか少々迷った一曲。購入した決め手についてはこれはもう聴いてもらえば分かるのだがブレイク前の時点でメロディラインがしっかり付いているのでこの時点で既に購入候補に入る程。ただその後のブレイクのピアノの旋律がちょっとダサいのが気になるのでそこが難点なのだがクライマックスのメロディで持ち直している。まあクライマックスももう一つパンチが欲しいのだが曲全体としてみると悪くは無いかなと。やはりメロディラインの強さは大事だ。
これも購入するかちょっと迷った一曲。所々アクセントとして入る音が好みでは無いというか、個人的に一般的なトランス音楽で使われている様な歪ませた音が嫌いなのでああいうのが入っているとつい身構えてしまいがちである。この曲はブレイクのメロディラインが良いのは勿論の事、イントロの音の重ね方も結構気に入っているのでその点で言えば充分購入に値する曲ではあったが先の点が少々気になるのも事実。
]]>
-
私家版 アップリフティングトランス ランキング22
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-02-24
最近聴いている音楽 vol.1最近聴いている音楽 vol.2最近聴いている音楽 vol.3最近聴いている音楽 vol.4最初にトランス記事を書いたのが2018年11月7日。beatportを知ったのはその3-4ヶ月程度前だったと思うのでもう1年半以上トランス曲を聴き続けている事になる。1年半でおよそ2万曲程度聴いただろうか。勿論全ての楽曲をフルで聴いたわけではなく基本的にはかいつまんで試聴したのが大半である。1曲につき大体6~9分の長さがあるので流石に全部は聴いてられないし何より大半の曲は趣味に合わなかったからだ。beatportは最近サイトをリニューアルしておりメインとなる本家版と軽量の簡易版(Classic)の二つが稼動している。メインの方は処理が少し重くなって読み込みに時間がかかり試聴に向いていないので今は簡易版を使っているが、簡易版はレスポンスが非常に早く再生ボタンを押すと曲が間髪入れずに再生する様になっている。お陰で試聴も楽出来るので左上のPlay allのボタンを押して気に入らなければ次の曲へ次々に移動できる。なので実は1曲に掛ける試聴時間は長くて5秒、短いと1秒もかからなかったりする。私が好きなトランス楽曲は基本的に似たような音色の傾向があるので聴いた瞬間に自分の好みの音色じゃなかった場合は直ぐに次の曲へいくようにしている。
音楽
smith
2020-02-24T11:45:45+09:00
最近聴いている音楽 vol.1
最近聴いている音楽 vol.2
最近聴いている音楽 vol.3
最近聴いている音楽 vol.4
最初にトランス記事を書いたのが2018年11月7日。beatportを知ったのはその3-4ヶ月程度前だったと思うのでもう1年半以上トランス曲を聴き続けている事になる。1年半でおよそ2万曲程度聴いただろうか。勿論全ての楽曲をフルで聴いたわけではなく基本的にはかいつまんで試聴したのが大半である。1曲につき大体6~9分の長さがあるので流石に全部は聴いてられないし何より大半の曲は趣味に合わなかったからだ。
beatportは最近サイトをリニューアルしておりメインとなる本家版 と軽量の簡易版(Classic) の二つが稼動している。メインの方は処理が少し重くなって読み込みに時間がかかり試聴に向いていないので今は簡易版を使っているが、簡易版はレスポンスが非常に早く再生ボタンを押すと曲が間髪入れずに再生する様になっている。お陰で試聴も楽出来るので左上のPlay allのボタンを押して気に入らなければ次の曲へ次々に移動できる。
なので実は1曲に掛ける試聴時間は長くて5秒、短いと1秒もかからなかったりする。私が好きなトランス楽曲は基本的に似たような音色の傾向があるので聴いた瞬間に自分の好みの音色じゃなかった場合は直ぐに次の曲へいくようにしている。
beatportは試聴出来る範囲が1曲の中ので1分半程度になっており基本的にどの曲もその曲の一番美味しい部分であるブレイクからクライマックスの間の部分に範囲が定められている。一般的なポップ曲でいうところの間奏からサビに入る部分と言えば分かるだろうか。つまりそこが試聴の段階で駄目ならその時点で聴く価値がないという事になる。まあ、あくまで私の基準だが。だから試聴の速度も速い。
聴いた瞬間の音色が好みのものか、音色が気に入ったらメロディラインはどうか、という風に段階的に試聴のハードルをクリアし最後まで聴いた曲を購入リストに入れる。それの繰り返しである。この短期間で2万曲程度も試聴できたのはそういう理由である。そのためたまに聞き逃しもあるが大抵の曲は複数のアルバムで年を跨いで販売されているので同じ曲にまた遭遇する事もある。
これまで1年半聴き続けて購入したトランス曲は全部で28曲。2万曲聴いて実際に購入に至った曲である。面白い事に最初の頃はトランス曲が溢れている事に感激してちょっと気に入った程度でも購入していたのだが試聴する回数が増えれば増えるほど自分のトランス曲に対する意識も研ぎ澄まされていくので、そういった初期に購入した曲はもう今では全く聴かなくなってしまったし今回のランキングからも完全に除外してしまった。買った事を後悔している訳ではないがこれはもう趣味を突き詰めるという過程では仕方の無い事だろう。
今回ランキングに入ったのはそれら6曲を除いた22曲となる。ランキング上位には1年以上前に購入した曲も入っているしつい最近購入したものも入っているが、一旦気に入った曲が自分の中に入ると次からその曲が自分のトランス曲の基準となるので段々購入するハードルは高くなっていくという実にマゾヒスティックな行為でもある。ボーカル曲ならばバリエーションは無数に増えるが私が好きなのは歌の無いインストなので気に入るポイントは自ずと限られる。リストアップされたトランス曲を延々と試聴する行為はまるで修行僧の様だ。当たり前だが今まで記事上で紹介してきた曲のリンクを誰かが踏んで購入したとしてもアフィリエイトも何も無いので私には一銭も入らない。完全に自己満足である。因みに何故配信サイトであるbeatportを勧めているかというとこのサイトはmp3だけでなくWAVやAIFFといったロスレス音声でも購入が出来るからである。今はTRANCEも各種ストリーミングサービスで配信されているがやはりロスレス音声で聴ける点は大きい。
一つ一つ順位を付けるのが面倒だったので上から気に入った順に並べている。1位をFree EnergyとEnchantedのどちらにしようか悩んだが今回は曲の完成度を優先した。以前にも書いたがFree Energyはイントロからアウトロまで本当に良く出来ており何度聴いても飽きが来ない最高の曲だ。完成されたものよりも多少欠点がある方が良いという言葉があるがことトランスに関してはそんな事は無い。洗練されていればされているほど良い。そういう意味ではEnchantedはもう一歩だった。
昨年末に購入したDaylightが3位に入っているがこれも本当に気に入っている。Daylightは作曲者がもう活動をしていないのとbeatport上に1曲しか登録されていない、つまり試聴していた時に聞き逃していたら二度と会えない可能性が合ったので出会えたのは本当に運が良かった。なおこの曲含め埋め込みのバナーが動作していない曲が幾つかあるので聴きたい場合はリンク先のサイトへ。自分で言うのも何だが2万曲から厳選しただけあって本当にいい曲が揃った。上位10曲はどれを聴いても間違い無いと思う。
しかしながらこのトランス記事も完全に自己満足で書いているし記事へのアクセスは自体はそれなりにあるけどレスポンスは一切無いので誰かが買ってくれたとしても分からないので若干寂しい。まあ、だからそこの自己満足なのだが。
さて前回 言っていた「私の中で強烈にTRANCE曲を印象付けた決定的な1曲が確かにある。」という話だが、まあ丁度良い機会なので今回紹介したいと思う。
先ず初めに東方Projectという企画があった。
同人ゲーム・同人音楽を制作している日本の同人サークル「上海アリス幻樂団」によるジャンルの総称とも言うべき企画である。ZUNと呼ばれる一人の人間によって制作された弾幕シューティングゲームを主軸に音楽CDや書籍など複数のメディアで展開されており、東方〇〇〇という名称でシリーズ化されたゲームは1996年からほぼ1年に1作品リリースされ現在17作目まで制作されている長寿シリーズでもある。コンシューマーでの展開は無く基本的にコミケでの流通を基本としているためその意味での一般層への認知度は低い。
第1作目『東方靈異伝』1996年
弾幕シューティングゲームとしての東方シリーズは基本的に作者であるZUNが一人で制作を行っている。デザインからプログラム、作曲、脚本等、ゲームのスタイルは昔ながらの無声のノベルゲーなので一人で制作出来てしまうという事である。プログラムは兎も角作曲まで今日まで一人でやってきたのは驚嘆という他無い。
そして2002年に発売されたシリーズ第6作目『東方紅魔郷』。
本作でボスキャラとして登場するチルノというキャラクターがいるのだが、そのチルノとの戦闘の際にテーマ曲として「おてんば恋娘」という曲が流れる。
VIDEO
昔ながらの音数の少ない打ち込み音源ながら特徴的で魅力的なメロディラインの曲である。作者であるZUNの作曲した東方Projectの楽曲は非常に人気があり、そこから派生した2次創作作品もかなりの数が存在している。東方Projectと言えば今日ではある意味原作よりも2次創作の方が有名になってしまったがそれは継続してリリースされる原作の質が担保されている証だとも言える。
上記の「おてんば恋娘」も2次創作によるアレンジが無数に存在しその方向性も多種多様となっている。ポップ曲から電波ソング、ジャズからメタルまで本当に幅広いアレンジの楽曲が存在している。私は多くの人同様東方Projectには2次創作から入ったクチなのだが同人誌から興味を持った私が2次創作の音楽CDを手に取るまでそう時間はかからなかった。
その東方同人音楽界隈に紅薙旅人という人がいた。既存の楽曲をトランスにアレンジするスタイルをとっており、仕事の傍らで作曲活動をしているせいか曲の数は少ないながらも魅力的なトランスアレンジをする人だった。紅薙旅人のアレンジは兎に角透明感があり音の傾向としてはダンス系のトランスではなくアップリフティングの中でもエレクトロ寄りのキラキラした印象があった。紅薙旅人の曲を初めて意識したのは2006年12月31日にLiverneが制作、販売した「東方幻奏祀典2 Canon」に収録されていた『おてんば恋娘』のトランスアレンジである。
「東方幻奏祀典2 Canon」2006年
確か発売から1年後位ににニコ動にアップされていた動画で知ったのだがその時は既に「東方幻奏祀典2 Canon」自体が販売を終了しておりプレミアが付いてしまっていたのである。CDは後に再販されたため何とか手に入れたのだが本当に助かった。
紅薙旅人によるおてんば恋娘のアレンジは厳密には純粋なトランス楽曲ではない。あくまで既存の楽曲にトランスアレンジを施したものである。だがまあそんな事はどうでも良い。このアレンジはピアノのメロディラインを主軸としたものでピアノの連弾でトランスアレンジをするというちょっと珍しいものになっている。所謂分かりやすいトランス的な音色の音で味付けをするのではなくメインのメロディラインであるピアノの音に対して連弾的にピアノの音色でアレンジを加えるというピアノの音同士で会話をする様な構成になっている。そのアレンジの仕方が本当に気持ち良くイントロからブレイク、クライマックスからアウトロまで一切メロディが途切れる事無く続いていくという全編聴き所しかない曲に仕上がっている。
因みに前回「beatportのTRANCE曲とは全く別の文法で作曲された日本人好みの曲であるから私の思い入れという点も含めTRANCE曲の文法に縛られる以上はあれを超えるのはかなり難しいと思う。」と書いたが、この曲はブレイクとクライマックスがそれぞれ2回繰り返されるという点でも既存のアップリフティングトランス曲とは異なるのでそういう意味でもこれと似た様な、或いはこれを超える曲が海外のミュージシャンから生まれる事はほぼ無いと思う。特にbeatport上ではほぼ全てのアップリフティングトランス曲が同じ曲構成で作曲されているのでこういった曲は先ず難しいだろう。要は1曲の中で間奏からサビに入る展開が2回行われるのだから人によってはこれはトランスではないと言うかもしれない。言うまでも無いが今回ランキングに上げた22曲はおてんば恋娘のアレンジに遠く及ばない。
「私の人生の中で最も好きな曲の一つでもあるのだが好き過ぎて1年に1度くらいしか聴けないくらい思い入れの強い曲」とも書いたが本当にその通りで、実はつい先日1年ぶりに聴いたのだが終わりの2分間位は涙が止まらなかった。それ程までに私の感情を強く揺さぶる曲なのだが私自身は東方Projectに思い入れは無いしこのアレンジ曲にも原曲にも思い入れは無い。ただ単純にこのアレンジ曲の持つ力が強いのである。だから聴く度に涙してしまうし1年に1度しか聴けないのである。とここまで書いておきながら肝心の曲へのリンクを貼らないのかと思うだろうが、そう貼らないのである(オイ)。
人気のある曲だから探せばニコ動にもyoutubeにもいくらであるので自分で見つけて欲しいが、もしこれまで書いたトランス記事を読んでくれたり紹介した曲を買ってくれた人なら試聴と言わずそのままCDを買うのをオススメする。それ位強度の高い曲だし上記の22曲でも勝てない曲なので買う価値はあると保証したい。なお再販された「東方幻奏祀典2 Canon」は現在販売は終了しているものの通常価格で中古に出回っているの<で簡単に手に入るだろう。ここまで記事を読んでくれたのなら是非とも手にとって頂きたい。
]]>
-
2020年のIMAX事情『1917』から『テネット』まで
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-02-09-1
前回[2017年~2019年] 最近のIMAX事情2019年、IMAX社は10億3500万ドルを超える同社史上最高の興行成績を出した。『エンドゲーム』を筆頭に10億ドルを超える興行収入作品が幾つも登場し中国の映画バブルもそれに拍車をかけた形となった。中国では現在660館ものIMAXシアターが存在しハリウッド映画業界においては最も大きな市場の一つとなっている。当の中国国内ではハリウッド大作映画を享受するだけでは留まらず近年では国内のVFXスタジオを登用して自国の大作SF映画を製作する流れも起きており、また中国発のIMAXフォーマット作品も登場している。
映画
smith
2020-02-09T19:59:55+09:00
前回[2017年~2019年] 最近のIMAX事情
2019年、IMAX社は10億3500万ドルを超える同社史上最高の興行成績 を出した。『エンドゲーム』を筆頭に10億ドルを超える興行収入作品が幾つも登場し中国の映画バブルもそれに拍車をかけた形となった。中国では現在660館ものIMAXシアターが存在しハリウッド映画業界においては最も大きな市場の一つとなっている。当の中国国内ではハリウッド大作映画を享受するだけでは留まらず近年では国内のVFXスタジオを登用して自国の大作SF映画を製作する流れも起きており、また中国発のIMAXフォーマット作品も登場している。
現在中国を含め世界各国でコロナウイルスが蔓延しているが映画業界にもその波は押し寄せている。中国では1月の下旬が旧正月であるため中国国内では大作映画がこの時期に同時公開するようになっており、今年はそういった作品が7作あったとの事だがコロナウイルス発生の煽りを受けて全て公開中止となってしまった。旧正月公開の映画は中国国内での年間の興行収入に大きく関わってくるので大打撃である。そして公開中止となった作品の中にもIMAX上映作品があったのだがこれがIMAX社的にも中々頭の痛い話となってしまった。
左から順に『唐人街探案3』『紧急救援』『囧妈』。
『唐人街探案3』は日本を舞台にした作品で日本人キャストも多数登場するものだが何と言っても栃木県に渋谷を模した巨大なオープンセットを建設する程の作品であり、またIMAX ALEXAカメラで全編撮影した中国初の作品でもある。上映もIMAXフォーマット版として全編1.90:1の画郭での上映が予定された。
・中国のメガヒット映画「唐人街探案」第3弾に妻夫木聡、長澤まさみ、浅野忠信らが参戦!
『紧急救援』『囧妈』も共にIMAXフォーマット作品で『紧急救援』は全編1.90:1に、『囧妈』は1時間以上が1.90:1に拡大する形態での上映が予定されていたが結果として3作品とも映画館で公開されずに終わってしまった。まあこれら3作品が日本でIMAX上映される事はまず無いのだろうが折角のIMAXフォーマット作品が日の目を見ずに終わってしまうのは寂しいものである。映画産業そのものも含め今後中国国内の映画業界がどうなっていくのか心配ではあるがこれが悪い流れを生んでしまうのだけは避けてほしい所である。
日本では既存のIMAXデジタルシアターを改装する流れが進んでおり昨年末から今年の初春にかけて幾つものIMAXレーザーシアターが誕生する予定となっている。109シネマズ、ユナイテッドシネマ、TOHOシネマズ、シネマサンシャインと各社足並みを揃えており2020年内で既存のIMAXデジタルシアターはほぼIMAXレーザーに改装されると見て良いだろう。ただT・ジョイPRINCE品川や成田IMAXの様にスクリーンサイズ的に扱いにくい館もあるので特にこの2館はまだ先行き不明と言わざるを得ない。まあ国内最大級だった元IMAX 70mmスクリーンの札幌もIMAXレーザーに改装されたので立地条件的にも品川IMAXは近い内に改装されるとみて良いだろう。浦添(沖縄)や松戸の様に新館のIMAXレーザーも登場し始めたので今後も国内ではIMAXシアターが増え続けそうだ。なお1.43:1のIMAXフォーマットに対応しているIMAXレーザーGTは大阪と池袋以外に建設予定が無いので今後はIMAXシングルレーザーの建設が基本となる。
IMAXレーザーGT
・109シネマズ大阪エキスポシティ
・池袋グランドシネマサンシャイン
IMAXシングルレーザー
・109シネマズ菖蒲
・109シネマズ川崎
・109シネマズ名古屋
・ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添(沖縄)
・シネマサンシャインららぽーと沼津
・ユナイテッドシネマ テラスモール松戸
・ユナイテッドシネマ 札幌
・TOHOシネマズ 新宿
・シネマサンシャイン大和郡山
・109シネマズ二子玉川 ※3月20日導入予定
・ユナイテッドシネマ キャナルシティ13※3月下旬頃導入予定
・ユナイテッドシネマ シネマとしまえん ※3月下旬頃導入予定
・ユナイテッドシネマ シネマ浦和 ※3月下旬頃導入予定
・TOHOシネマズ 流山おおたかの森 ※4月24日導入予定
2020年はIMAXフォーマット作品の公開が多数予定されている。
先ず2月14日公開の『1917 命をかけた伝令』。
VIDEO
本作はIMAX撮影ではなく通常のデジタルシネマカメラで撮影されておりIMAX版は全編1.90:1に拡大した画郭での上映となる。サム・メンデスとロジャー・ディーキンスの黄金コンビなので映像には十分期待出来そうだ。
4月10日には007新作の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』。
上は撮影監督のリヌス・サンドグレンとIMAX 65mmカメラ。IMAX社の決算報告でも本編の大部分をIMAXカメラで撮影しているとの報告があったので間違いなく1.43:1に拡大するフォーマットでの上映となるだろう。恐らく『ダンケルク』の様に可能な限りIMAXカメラで撮影する様なスタイルだと思われるので間断なくIMAXシーンが流れるのを期待したい。なおIMAXカメラ以外のシーンは35mmカメラで撮影されているので1.43:1と2.39:1が混在する画郭となる。現時点でIMAX 70mm上映は予定されていないのでデジタル上映のみとなる模様だが4K制作なのでIMAX撮影部分の画質がどれ程のものになるか楽しみである。
※3月10日追記※
コロナウイルスの影響により公開日が11月へと延期されてしまった模様。
6月は『ワンダーウーマン 1984』。
VIDEO
本作は未だ撮影現場の様子が公式に公開されてないのでIMAXカメラは確認できていないがこちらも007同様IMAX社の決算報告でIMAX 65mmカメラによる撮影が行われたとCEO自ら報告していたので本作も1.43:1拡大するフォーマットの上映とみて間違いないだろう。これも1.43:1と2.39:1が混在する画郭となる。なお予告編が4Kで制作されているので本編も4K上映となる。現時点でIMAX 70mm上映は予定されていないが前作は70mm上映が行われていたので今作も70mm上映になる可能性は高いだろう。
7月10日は『トップガン マーヴェリック』
VIDEO
本作はIMAXカメラによる撮影ではなくSONYのVENICEと呼ばれるデジタルシネマカメラで撮影されている。
VIDEO
実機の戦闘機にトムが自ら乗り込みVENICEを6台搭載して撮影しているのだがVENICEは6K撮影が可能なので画質も期待できそうである。まだ公式にIMAXフォーマットである事は発表されていないが上記の様なリーク動画が出てしまっているのでほぼ確定だろう。予告編全編が1.90:1なのでIMAXフォーマット版は全編1.90:1へ拡大する画郭での上映となるだろう。なお予告編が4Kで制作されているので本編も4K上映となる。
そして9月18日の『TENET テネット』。
クリストファー・ノーラン監督最新作の本作もご他聞に漏れずIMAX 65mmカメラで撮影されている。生憎『ダンケルク』同様全編IMAX撮影という訳では無いが今作でも可能な限りIMAXカメラで撮影してくれるだろう。なお本作は既にGSCA からIMAX 70mmで上映される旨の告知がされている。2017年の『ダンケルク』の時点では全世界37館でIMAX 70mm上映が行われたが『ダンケルク』以降もIMAX 70mm館のIMAX レーザーへの改装は順次行われてしまっているので『テネット』のIMAX 70mm上映がどの程度の規模で行われるかは不明である。なお予告編が4Kで制作されているので本編も4K上映となる。
また、IMAX撮影ではないが2月28日には『地獄の黙示録』がIMAX版としてリバイバルされる事になっている。
今回は4KリマスターされたものがIMAXの大スクリーンで上映されるのだが私も映画館で観た事が無いので非常に楽しみである。昨年の『ブレードランナー ファイナルカット』に引き続き旧作がIMAX上映される事で大スクリーンで観られるのは嬉しい限りである。因みに本編の画郭はオリジナル準拠である。
さて2016年9月に閉館し取り壊され「THE RIBBON」として生まれ変わるシドニーIMAXシアターだが、2020年末の開業へ向けて現在も着々と工事が進んでおり外装も4割程度まで完成している。
上は海外の掲示板から拝借した画像 だが2月6日現在の様子との事である。シドニーIMAXと言えば世界最大となる29.42m×35.73mのIMAX 70mm巨大スクリーンが有名だったが、新生シドニーIMAXシアターではフィルム映写機は使用せずIMAXレーザーGTのみでの上映が予定されている。スクリーンサイズも25m×30mと以前よりも一回り小さいモノになる予定 でありどうやら全世界的にもレーザーへの改装は止められそうにない。
前回も言及したドイツに建設予定のTraumpalast LeonbergのIMAXシアターだがその後続報が特に無く検索してもそれらしきものが出てこないので現在どうなっているかは不明である。公式の発表では40m×26mのスクリーンとされているが実現すれば世界最大のIMAXスクリーンとなる。開業は2020年11月との事。
Traumpalast bekommt Riesen-Leinwand
IMAX 65mm撮影作品といえば今までは1年に1本程度しか無かったのだが2020年は何と『007』『ワンダーウーマン1984』『テネット』と3本もある。しかも北米では4月6月7月とほぼ上半期に集中している異常事態である。『ダンケルク』級が3本連続で公開されると考えてもらえばこれが前代未聞の事態だという事がお分かりになるだろう。私も初め発表を聞いたときは耳を疑ったがどうやら本当に3本も公開されるらしい。恐らくこんな事は二度と起こらない。
ノーランの新作もIMAX撮影が基本となる大規模な制作なので1本が3年サイクルに入った様で次回作は2023年になるのだろう。IMAX 70mmの上映施設は年々減り続けており鹿児島市立科学館にあるオムニマックスもいつまでIMAX 70mmの上映を続けられるかは分からないがいずれ終焉を迎えてしまうのは避けられない。ノーランの新作がIMAX 70mmで観られるのもあと十年程度か、もしかしたらもっと早いかもしれない。フィルムという物理メディアは現在映画関係者の出資で何とか生きながらえているがフィルムによる撮影は続いても上映はいずれ出来なくなるだろう。
関連過去記事
・[2017年~2019年] 最近のIMAX事情
・なぜ『ダンケルク』を観るために海外のIMAXシアターへ行くのか。
・『ダンケルク』IMAX 70mm上映に際して。
・次世代IMAXとIMAXカメラは今後どうなっていくのか。
・『スター・ウォーズ フォースの覚醒』はどのIMAXシアターで観るべきなのか。
・[次世代IMAX] 4Kレーザー映写機が提示する新しいIMAXデジタルシアターとは
・なぜ「インターステラー」を観るために海外のIMAXシアターへ行くのか。
]]>
-
『ARP Backstage Pass』の3DCGライブステージについて
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-02-08
Youtubeで偶然目にしたけど中々興味深かったのでちょっと紹介がてら記事を。2020年1月13日(月)より放送が開始したTVアニメ『ARP Backstage Pass』。ラブプラスで有名な内田明理がプロデューサーを務めAR(拡張現実)を主軸に展開する4人組ARダンスボーカルグループ「AR performers(通称ARP)」の活動の裏側を描いたTVアニメ作品である。といっても私が知ったのはつい最近なのでネットの情報をそのまま書いているだけで実体は良く分かっていない。AR performers公式サイトhttps://arp-fc.yukes.co.jp/homepage/ar-performers/この動画を見ればどういうものなのか直ぐに分かると思うが要は実際のライブ会場でステージ上に2次元のアイドルのパフォーマンスを出現させてライブ会場をリアルタイムで擬似的に作り出すというものである。歌やパフォーマンスは人間が実際に行っているが外側だけは2次元のキャラクターを使用するデジタルアイドルコンテンツ。
アニメCG
smith
2020-02-08T16:06:29+09:00
Youtubeで偶然目にしたけど中々興味深かったのでちょっと紹介がてら記事を。
2020年1月13日(月)より放送が開始したTVアニメ『ARP Backstage Pass』。ラブプラスで有名な内田明理がプロデューサーを務めAR(拡張現実)を主軸に展開する4人組ARダンスボーカルグループ「AR performers(通称ARP)」の活動の裏側を描いたTVアニメ作品である。といっても私が知ったのはつい最近なのでネットの情報をそのまま書いているだけで実体は良く分かっていない。
AR performers公式サイト
https://arp-fc.yukes.co.jp/homepage/ar-performers/
この動画を見ればどういうものなのか直ぐに分かると思うが要は実際のライブ会場でステージ上に2次元のアイドルのパフォーマンスを出現させてライブ会場をリアルタイムで擬似的に作り出すというものである。歌やパフォーマンスは人間が実際に行っているが外側だけは2次元のキャラクターを使用するデジタルアイドルコンテンツ。
VIDEO
驚いたのはここで行われているARによるパフォーマンスは全てリアルタイム処理によるものでありボイスアクターの声と会場で行われるモーションアクターによるモーションキャプチャ、そしてそれらのデータを扱うテクニカルスタッフによって一人のアイドルが生成されているというのだから凄い時代になったものである。
VIDEO
2017年1月14日に1stライブが行われ今年で4年目になるがこのタイミングでTVアニメが制作されたという事はそれなりに人気も獲得していったのだろうか。ライブパフォーマンス以外にも上記のPV的なものも公開されている。恐らくここで使用されているCGモデルはライブ会場で使用されているモデルと同一のものだろう。正直これを見た時はまあどこにでもある男性アイドルキャラクターのライブ映像だと思っていたのだが先日放送されたTVアニメ版のライブ映像を観て驚いた。
『ARP Backstage Pass』OP「Burn it up」
歌:シンジ、ダイヤ、ライジ、レオン
制作:ダイナモピクチャーズ
VIDEO
上がMVで下がTVアニメ。恐らくMVのCGモデルは実際にライブで使用しているものと同一のものなのでCGモデルの精度自体は高くない。というのも実際のライブでは全てをリアルタイムで処理しているので当然映像もリアルタイムでレンダリングする必要があり4人同時で処理するためにある程度容量を抑えないといけないからだ。しかしTVアニメでは全てプリレンダリングで制作できるのでハイポリモデルを使用する事が出来る。動画で見ると良く分かるがMV版とは比較にならないくらいCGモデルの密度が高い。完全に別物だ。MV版は影などの光源処理がかなり簡易的なものに抑えられており揺れモノも最低限となっている。フェイシャルのパターンを良く見てみると分かるがTV版は表情がかなり豊かになっている。
CGモデルも人間の手によるものなのでその精度は当然作り手であるモデラーの腕如何による。ARPのアイドルは少女マンガベースの面長なキャラクターデザインの所謂「ちょっと堅め」なタイプである。CGというものは柔らかい表現が難しいのでこういったタイプの男性キャラクターとは親和性が良いと個人的には思っているのだが本作もご多分に漏れずTV版のCGモデルはどれも手書き作画と見紛うものに仕上がっている。そしてその中でも特に驚いたのがレオン。
MV版と比べるともはや別人だがTV版のCGモデルは本当に良く出来ている。実は今回この記事を書こうと思ったのもこのレオンのCGモデルが気に入ったからなのだが、このモデルの一番のポイントは髪の影の表現だろう。レオンは他の3人と比べると髪が全体的に長くそれ故に髪の揺れる量も一番多いがそれによって4人の中でダンスの躍動感が一番良く出ているキャラクターになっている。そして揺れ物が目立つとCG故の堅さが出てしまいがちなのだがレオンの髪は光源に対して影の処理がかなり抑えられているのか髪が揺れても手書き作画的なルックが殆ど崩れない、というか寧ろ髪が全体的にある程度揺れる事によってCGの堅さから脱却できているとも言える。
良く見ると髪の毛に白く細い線が何本か入っているのが確認できるがこうやって細い髪を何本か混ぜておく事によって髪の毛の躍動感や柔らかさが表現できる。この表現は実はプリキュア等でも確認できるものである。生え際からそびえ立って折り返すこの如何にも漫画的な髪型だが髪のハイライト表現含め影の処理、揺れの表現が上手くかみ合って非常に見応えのある、思わず観ていたくなるCGモデルに仕上がっている。TV版のライブパートは恐らくmayaや3ds Maxで制作されていると思うがシェーダー含め見事なクオリティだと思う。
VIDEO
制作しているのはダイナモピクチャーズ という会社でライブ映像とTVアニメ版の両方を共に担当している。経歴を見ていて驚いたがあの『ときめきレストラン』 を制作していたのだから成程納得のクオリティである。なお『ときめきレストラン』についてはまた後日語れたら語りたいところではあるが調べてみたらもうサービスが終了していたので『ARP』はその生まれ変わりという事なのだろう。
今回久しぶりに男性アイドルのライブステージを見たのだがやはり手足が長いとダンスがダイナミックに見えるので踊りとしても映像としても映えるものだなと。また挑発的な表情やダンスなど女性アイドルものでは敬遠されがちな表現も男性アイドルものだとハードルが下がるので表現の幅が広がるのは羨ましいものだと思う。振り付けも男性らしさを全面に出してくるので観ていて気持が良いし何より格好良い。アイカツやプリティーシリーズ、ラブライブなどの女性アイドルものは女性アイドルだからこそ出来る表現があるが、それは男性アイドルも同じ事でここでしか出来ない表現があり改めて良いものだと思った次第である。『ARP Backstage Pass』についてはまだYoutube上でしか見れていないので今後はTV放送も観ていきたいがこのクオリティの映像がTVシリーズで流れているのかと考えるとこれまた凄い時代になったものである。
参考資料
・冬アニメ『ARP Backstage Pass』注目すべき5つの見どころ
アニメCG関連過去記事 (※各記事の動画リンク切れ多数有り)
プリキュア
・ フレッシュプリキュア! のEDダンスについて
・ ハートキャッチプリキュア!のEDダンスについて
・ スイートプリキュア♪のEDダンスについて
・ スマイルプリキュア! のEDダンスについて
・ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
・ ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
・補足
・Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて
・『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現
・『ヒーリングっど プリキュア』EDダンスについて
アイカツ!
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおい「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレ「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやび「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
・『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」3DCGライブ演出
プリパラ
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.1
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.2
・「プリパラ」第22話「HAPPYぱLUCKY」におけるライブステージ演出。
アイドルタイムプリパラ
・『アイドルタイムプリパラ』にみる3DCGモデルの変化・変遷
ラブライブ!
・「ラブライブ!」ライブシーンの3DCGの演出について
・「ラブライブ!」2期 第6話挿入歌「Dancing stars on me!」の演出。
アイドルマスター
・『アイドルマスター プラチナスターズ』におけるモデリングの変化・変遷について
・『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』の3DCGモデルについて
・アイドルアニメのCGライブパートランキング 2014
・『file(N)-project PQ』ダンスアニメーションPVの演出について
]]>
-
『ヒーリングっど プリキュア』EDダンスについて
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-02-02
久しぶりのプリキュアEDダンス記事。2015年の『Go!プリンセスプリキュア』以来となる実に5年ぶりである。この5年間でプリキュアシリーズも大きく変わったが特に『Go!プリンセスプリキュア』を皮切りに始まった映画本編でのCG使用の本格化は注目すべき事案だろう。2015年の『映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』では映画本編に付随する短編フルCG映画だったものが2017年の『映画 プリキュアドリームスターズ!』では本編の大部分がフルCG制作になっておりプリキュアシリーズにおけるCG制作の割合はここ数年でかなり大きくなっている。これは『スマイルプリキュア!』や『ハピネスチャージプリキュア!』のEDダンスアニメーションを監督した宮本浩史氏が映画本編の監督としてデビューを飾った事にも関わってくるのだろう。宮本浩史氏は『スマイルプリキュア!』の頃から既に頭角を現しており氏の手がけるプリキュアEDアニメーションの映像は他作品と比べても突出したものだった。CGデザイナーとしてデザインから制作までこなせるのでいずれ大きな作品に関わるだろうとは思っていたが監督に抜擢された時は本当に驚いたものだ。そしてそこから生み出された作品が如何なるものであったかはもう説明するまでもないだろう。現在の東映アニメーションデジタル映像部がどの程度の規模なのかは分からないが映画本編をフルCGで制作できる程度の所帯にまで大きくはなっているのだろう。では3DCG制作に関わっているスタッフが約200程度となっており、成程プリキュアシリーズ含めフルCGの映画やTVシリーズの制作等が同時に行われているのも納得の規模である。これはあくまで推論に過ぎないがプリキュアシリーズのCG制作の割合が大きくなるにつれその母体でもあったEDダンスアニメーションは近年役割を変えていったのではないかと思っている。具体的には『Go!プリンセスプリキュア』の頃からリソース配分がTVから映画へとシフトしていったという事である。
アニメCG
smith
2020-02-02T23:00:34+09:00
VIDEO
これは『スマイルプリキュア!』や『ハピネスチャージプリキュア!』のEDダンスアニメーションを監督した宮本浩史氏が映画本編の監督としてデビューを飾った事にも関わってくるのだろう。宮本浩史氏は『スマイルプリキュア!』の頃から既に頭角を現しており氏の手がけるプリキュアEDアニメーションの映像は他作品と比べても突出したものだった。CGデザイナーとしてデザインから制作までこなせるのでいずれ大きな作品に関わるだろうとは思っていたが監督に抜擢された時は本当に驚いたものだ。そしてそこから生み出された作品が如何なるものであったかはもう説明するまでもないだろう。
現在の東映アニメーションデジタル映像部がどの程度の規模なのかは分からないが映画本編をフルCGで制作できる程度の所帯にまで大きくはなっているのだろう。では3DCG制作に関わっているスタッフが約200程度 となっており、成程プリキュアシリーズ含めフルCGの映画やTVシリーズの制作等が同時に行われているのも納得の規模である。これはあくまで推論に過ぎないがプリキュアシリーズのCG制作の割合が大きくなるにつれその母体でもあったEDダンスアニメーションは近年役割を変えていったのではないかと思っている。具体的には『Go!プリンセスプリキュア』の頃からリソース配分がTVから映画へとシフトしていったという事である。
VIDEO
2014年の『ハピネスチャージプリキュア!』でプリキュアシリーズは初めてTVシリーズ本編への本格的なCG映像を導入し始めたのだが(上動画より)、その後は映画のオールスターシリーズでこれまで部分的に使われてきたCGキャラクターが数十人というプリキュアを同時に描く際に全てCGキャラへと置き換わるようになっている。前述した宮本浩史氏の監督作含め最早手書きでは追いつかない物量になっている点でもCG制作のリソースを映画に多く回す、または回さざるを得ないという状況になっているとも言えるのではないだろうか。
そしてそれに伴いデジタル映像部の中でもベテラン勢は映画本編へ、新人や経験の浅いスタッフはベテランスタッフの監督の下でEDダンスアニメーションを担当するといういわばEDのCGダンス映像が登竜門として役割を変えていった様に思える。あくまで体感としてだが。これまで歴代のEDダンスアニメーションを観てきた人は分かるだろうが2009年の『フレッシュプリキュア!』で始まったEDダンスアニメーションは作品を重ねる毎に常にそのクオリティは右肩上がりで進んでいった。
『フレッシュプリキュア!』の時点で既に見事なものだったがどの作品も毎回趣向を凝らした個性的な映像に仕上がっており「本編より可愛い」と言われる程の評判の出来だったのと業界でもそのクオリティの高さが知られていたのは有名な話である。特に宮本浩史氏が参加した『スマイルプリキュア!』以降は物量が凄まじくロケーションの移り変わりやダイナミックな光源処理、目を見張るようなエフェクト表現等どう考えても地上波で流れるクオリティの映像とは思えないものだった。
そして2016年の『魔法つかいプリキュア!』からはそういった映像の豪華さが一旦リセットされたのかそれまでにあった東映アニメーションデジタル映像部技術見本市的な派手さはかなり抑えられる様になった。そういった事から個人的には恐らくこの辺りから制作体制やリソース配分の移行があったのではないかと思っている。
『ヒーリングっど プリキュア(2020)』
前期(1話ー)
エンディングテーマ曲「ミラクルっと Link Ring!」
作詞:eNu 作曲:大橋莉子 編曲:KOH 歌:Machico
登場キャラクター キュアグレース(ピンク色)、キュアフォンテーヌ(青色)、キュアスパークル(黄色)
振り付け:CRE8BOY
VIDEO
今作『ヒーリングっど プリキュア』ではこれまでと制作体制が変わっている。まずEDダンスアニメーションの監督(便宜上)に酒井和男と大曽根悠介の二人。これはEDのクレジットにこの2名が筆頭表記になっていたため従来の方式通り頭にある人を監督として便宜上呼ぶ事にしている。因みに従来は「EDディレクター」表記だったが今作では「エンディングスタッフ」表記となっている。
従来はEDダンスの映像を監督する人間はデジタル映像部内部のスタッフである事が殆どだったのだが酒井和男は外部の人間となっている。プリキュアシリーズに関わりは無く近年では『ラブライブ!サンシャイン!! 』に大きく関わっていた。ご存知の通りラブライブシリーズはアイドルアニメであり劇中のライブステージにはプリキュア同様3CDGモデルのキャラクターが使用されている。本作の場合フルCGではなく作画の代替表現として部分的に使用されているものだが。今回酒井和男を監督として迎えたのはラブライブシリーズでの功績や手腕を評価しての事だろう。映像部の内部スタッフでもディレクションは可能だが新しい血を取り入れるという意味で敢えて採用したのだろうが結果として中々面白い事になっている。
『ラブライブ!サンシャイン!!』(TV/2016)
第11話挿入歌「想いよひとつになれ」
ライブパート絵コンテ 酒井和男
VIDEO
そしてもう一人の大曽根悠介。この人は経歴がかなり浅いが『映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて(2019)』でCGディレクターとして参加しているので恐らく今回プリキュア組として助監督的な位置に置かれたのだと思う。つまり今作では頭二人がプリキュアシリーズとはあまり縁の無かったタイプの人に任された事になる。
エンディングテーマ曲「ミラクルっと Link Ring!」ではプリキュアシリーズ初参加となるMachicoが歌手として参加している。アニメのOP等やアイドルマスター関連作品に関わっており以前記事を書いた 『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』では伊吹翼役を担当している。
『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』
「恋のLesson初級編」
歌:伊吹翼 / Machico
VIDEO
そしてダンスの振り付けにCRE8BOY。これまで前田健、MIKIKO、原ななえ、振付稼業air:manと様々な振付師が参加してきたが今回参加するCRE8BOYはAKB48グループや乃木坂46等の秋元康プロデュースグループを多く手がけている日本の振付ユニットとの事。作詞、編曲にプリキュアシリーズ参加者もいるがほぼ新体制のEDダンスアニメーションと言っても良いだろう。
今作のキャラクターデザインは山岡直子。プリキュアシリーズでは作画監督としてこれまで参加していたが今回が初のキャラクターデザインとなる。デザインの方向性として変身前では従来の路線よりもより女児向けに特化したというべきかより少女マンガ的なデザインへシフトしたのか対象年齢を下げたような角の取れた柔らかいデザインになっている。色も中間色がメインだ。変身後のプリキュアのデザインは従来の路線を継承したというか傾向としては川村敏江的とでも言えばいいのか既存デザインのデジャヴを覚える様な面白いものになっている。
EDダンスに使用されるCGモデルはそのシェーディングの方向性も毎回変わるがプリキュアシリーズでは基本的に手書きに寄せつつも手書きには無いCGとしての独自の質感を演出する方向性が見られる。そのため特に先の宮本浩史氏の監督作品の様にCGだからこその見た目に拘っている事が多く手書きの代替表現の様な見た目は少ない。そこにきて今回の『ヒーリングっど プリキュア』のCGモデルはかなり本編の手書き作画に近いものになっている。『スイートプリキュア(2011)』の時点でかなり手書き作画に近い表現が出来ていたのでやろうと思えば出来たのだろうが今作では従来よりもかなり意識的に本編の手書き作画に寄せられている。
本編手書き作画
EDダンスCGモデル
輪郭線の太さや質感、肌や髪の色合い下唇や頬、髪の毛のハイライトなどCGモデルにありがちなテカリが殆ど無く本編の手書き作画の抑えた色調も同じ様に表現されている。
衣装はほぼポリゴンベースで制作されているがキャラクターへかかる影はかなり薄くかつ最低限でCGモデルによる立体感自体がかなり抑えられる方向になっている。正面からみた場合CGモデルとしての豪華さや派手さは無いが手書き作画との親和性はかなり高い。これは今作では意識的に手書き作画へと寄せた表現にしているという事なのだろう。その点では歴代で一番手書き作画に近い表現となっている。
シリーズ初となるアイラインの表現。キャラ毎に目頭と目じりに色が足されている。作画では大変だがCGなので色の諧調も表現出来ている。またキャラ毎に瞳孔の色も異なっておりキュアグレースは青、キュアフォンテーヌは黄、キュアスパークルは紫となっている。今作では頬のチーク表現は無いが目蓋の上下幅で目の表情がしっかり演出出来ているので全編に亘って表情はかなり豊かに演出できている。フォンテーヌの釣り目やスパークルのタレ目はCGモデルだとどうしてもCG故の固さが出てしまうものだが今作では表情の柔らかさがしっかり出ている。
髪の毛の質感の表現は勿論、揺れの制御も流石というべきか本当に良い按配で揺れており、キュアグレースやフォンテーヌの様なロングヘアーは揺れすぎても揺れなさすぎても違和感が出てしまうのだがダンスに意識がいくような邪魔をしない絶妙な揺れ加減をしている。
そういえばキュアスパークルはかなりボリュームのあるパニエを履いているがここまでのは『Goプリ』以来だろうか。キュアグレースとフォンテーヌはほぼ同じデザインの衣装となっているがスパークルはスカートもそうだがソックスやシューズ、アクセサリ等かなりカジュアルなものになっていてこの辺りはキャラの個性が人目で分かるようなデザインになっている。
スパークルは黄色伝統のアクの強いキャラのようだがシリーズ初となるCGモデルでのアヒル口表現が。
エンディングテーマ曲である「ミラクルっと Link Ring!」は歴代ED曲の中でもかなりのアップテンポの曲でありアタックもかなり強い。そして曲がアップテンポなので振り付けもかなり運動量の多いものになっており移動は少ないが小刻みに飛ぶ動作が多く振り付けそのものが結構早い。CRE8BOYによる振り付けは歴代と比べると指の動作が多く歌詞と連動して表現しているものが多く見られる。
今作で印象的だったのが先ず映像表現としてかなり能動的な意識を感じた事である。単にプリキュアが踊るというだけでなく歌とダンスとカメラワークその他諸々の総合芸術としてのダンスアニメーションを制作する、そういった積極性を感じさせる様な意識を強く感じたのである。具体的に言うと歌の曲調と歌詞、振り付け、カメラワーク、背景美術、演出等それぞれが意味のあるものとして扱われているという事である。これは以前何度も書いていたが振り付けが歌詞を表現しているとそれ自体が強く印象付けられるという効果があるので歌詞を表した振り付けとはダンスにおいて強い武器になるのである。全部は紹介しきれないが今作では歌詞と連動した振り付けがかなりあるので読み解きながら観てみるといくつも発見があるだろう。
「過ごした時間は未来の宝物」の部分の様に指で秒針を現して背景の星の長時間露光と回転するカメラワークで時計を表現するなど歌詞と振り付けに留まらない表現が兎に角多い。
ここのカットはステッキをワイプ表現として使っており曲のリズムと合わせて小気味良く動いており見ていてクセになる。
その後の「いままでも(いままでも) これからも(これからも) 大切にしていこう」の部分では曲のリズムと振り付けに合わせて木々が成長しており、ここから察するに今作では映像を制作するプリプロダクションの段階で曲と振り付けとカメラワークが絵コンテで綿密に計算されている事が読み取れる。というのもプリキュアのEDダンスアニメーションはダンスの振り付けをモーションキャプチャーで実際に踊りながら収録しているため後から変更が効かないからである。ここまで各要素が上手く噛み合っているのは偶然の賜物ではないだろう。そしてそれらの要素の一体感は歴代のEDダンスの映像の中でも今作は抜きん出ている。ダンス以外の部分も本当に良く出来ているから非常に見応えがある。
曲の後半ではまだ本編には出てきていないタンバリン状のアイテムを持っているがEDダンスでステッキ以外のものを持っているのは珍しい。また被写体を斜めに映すカメラワークもEDダンスでは中々見ない表現である。ここは良く見てみるとタンバリンを上に掲げたときにカメラも合わせて僅かに上がっているがこういったカメラワークはおそらく『ラブライブ』に関わってきた酒井和男ならではなのだろう。従来ならこういった時はキャラの中心から動かさないのでアグレッシブなカメラワークは中々新鮮である。これ以外にもというか全体的にカメラはかなりグリグリ動くしカット数も結構多いので映像としての躍動感は凄い。
背景も曲のリズムに合わせて春→夏→秋→冬と目まぐるしく変化し前述した木々が生長するのも含め「地球を癒す」というテーマに即した演出になっている。
「一緒だからプリキュア」の部分で手を伸ばしてから頭上に回して胸元に戻す振り付けがあるがここはおそらくモーションを手付けで修正しているのだろう。モーキャプのデータをそのまま使うとダンスとして間延びする場合もあるので手で修正する事は良くあるのだがここは途中の数フレームを切ってメリハリのある動きにしているのが良く分かる。手を伸ばす動作と戻す瞬間を見てみると良く分かると思う。
そういえばスパークルは一人だけカメラ目線だったりウインクをしていたりと自由なキャラクターだがこういったキャラクター固有の表現があることによって個性が演出出来ているのは大事な事だったりする。プリキュアのEDダンスの本懐は勿論ダンスアニメーションである事だが終始踊る人形であっては面白みが無い。キャラ同士の掛け合いや上記の様な個性が滲み出る事は映像に奥行きを生むのである。
今回記事を書くにあたって『フレッシュプリキュア!』から始まる歴代のEDダンスアニメーションを順番に観ていったのだが、11作品、前期後期合わせて22本のダンス映像を経て改めて『ヒーリングっど プリキュア』のEDダンスを見た時、素で「これは凄い」と感激してしまった。過去にも手書き表現と遜色無いEDダンスや単純に映像作品として凄いものもあったがそれらと比較しても今作は本当に良く出来ている。というかプリキュアEDダンスアニメーションは業界の中でもちょっと次元が違うなと改めて思い知らされた次第である。
フルCGによるTVアニメシリーズが当たり前の様に制作されている昨今ではアイドルのCGダンスアニメなど最早表現の一つに過ぎないと思っていたがやはりプリキュアのレベルは高い。そして何より可愛い。そう、可愛いのである。これも何度も言っているが可愛さを感じられるCGモデルのキャラクターというのはその時点で大正義だからである。可愛ければ良いというワケでは無い。しかし可愛さは何にも優る武器なのである。その点においても『ヒーリングっど プリキュア』のEDダンスは本当に良く出来ている。そして可愛い。
アニメCG関連過去記事 (※各記事の動画リンク切れ多数有り)
プリキュア
・ フレッシュプリキュア! のEDダンスについて
・ ハートキャッチプリキュア!のEDダンスについて
・ スイートプリキュア♪のEDダンスについて
・ スマイルプリキュア! のEDダンスについて
・ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
・ ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
・補足
・Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて
・『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現
アイカツ!
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおい「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレ「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやび「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
・『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」3DCGライブ演出
プリパラ
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.1
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.2
・「プリパラ」第22話「HAPPYぱLUCKY」におけるライブステージ演出。
アイドルタイムプリパラ
・『アイドルタイムプリパラ』にみる3DCGモデルの変化・変遷
ラブライブ!
・「ラブライブ!」ライブシーンの3DCGの演出について
・「ラブライブ!」2期 第6話挿入歌「Dancing stars on me!」の演出。
アイドルマスター
・『アイドルマスター プラチナスターズ』におけるモデリングの変化・変遷について
・『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』の3DCGモデルについて
・アイドルアニメのCGライブパートランキング 2014
・『file(N)-project PQ』ダンスアニメーションPVの演出について
]]>
-
最近聴いている音楽 vol.4
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-02-01
最近聴いている音楽 vol.1最近聴いている音楽 vol.2最近聴いている音楽 vol.3さあ、今回も難産。前回の記事から数えてみたら約3000曲聴いていたが今回は探し方を変えてbeatportに登録されている古いものから総当りで聴くようにしてみたが、結果として今までとあまり変わらない当たり具合に終わった。面白いもので2004年辺りからリリース順に聴いていくと当然今の潮流とは異なるタイプの曲調のものが多く年を経る毎に流行の曲調が移り変わっていくのが分かるようで中々興味深かった。まあ、とは言っても自分の好きな曲調は変わらないので相変わらず引っかかるものは少ないのだが。これまで紹介した曲もこれで20曲程度になったと思うがそういえばそもそも自分が何を基準に選曲して紹介しているのかを書いていなかったのでその辺りを少し言及してみる。これはTRANCE曲に関わらず私が気に入っている音楽というのは基本的に「メロディラインが第一」となっている。メロディライン=主旋律が魅力的でなければどんな有名な曲でも聴くに値しない。これはずっと一貫している。なので今まで紹介してきたTRANCE曲もその選別作業も全て主旋律が気に入ったもの「だけ」を基準に選んできた。特にTRANCE曲の場合1曲が7~9分という非常に長い音楽なのでそれに付き合えるだけの魅力的な主旋律は必要不可欠である。というよりその7~9分という長さに付き合いたくなる様な魅力的なメロディがあるからこそこれまで聴き続けてきた、と言うべきなのかもしれない。そしてこれまで15000曲程度視聴してきて分かったのはbeatport上でランキングに載るような曲は私の趣味には全く合わないという事だった。これを言ってしまうと元も子もないのだがそもそも私は典型的、一般的なTRANCE楽曲の音が嫌いなのである。TRANCEの中でもジャンルは細分化されるがいずれにしてもあの如何にも電子音的な派手で歪んだ音が本当に苦手だ。言葉は悪いが正直下品に聞こえる。おそらくクラブで踊る分には良いのだろうが自室でヘッドホンをかけてリラックスしながら聴くタイプの音楽ではない。私の好きなTRANCEはアップリフティングと呼ばれるタイプなのだがその中でも音の数が少ないものが好きだ。アタックも弱めで空間が広く取られているタイプかつボーカル曲でないものを選んでいる傾向がある。なので今まで紹介した20曲程度は大体似たような曲になっ..
音楽
smith
2020-02-01T20:58:33+09:00
最近聴いている音楽 vol.1
最近聴いている音楽 vol.2
最近聴いている音楽 vol.3
さあ、今回も難産。前回の記事から数えてみたら約3000曲聴いていたが今回は探し方を変えてbeatportに登録されている古いものから総当りで聴くようにしてみたが、結果として今までとあまり変わらない当たり具合に終わった。面白いもので2004年辺りからリリース順に聴いていくと当然今の潮流とは異なるタイプの曲調のものが多く年を経る毎に流行の曲調が移り変わっていくのが分かるようで中々興味深かった。まあ、とは言っても自分の好きな曲調は変わらないので相変わらず引っかかるものは少ないのだが。
これまで紹介した曲もこれで20曲程度になったと思うがそういえばそもそも自分が何を基準に選曲して紹介しているのかを書いていなかったのでその辺りを少し言及してみる。これはTRANCE曲に関わらず私が気に入っている音楽というのは基本的に「メロディラインが第一」となっている。メロディライン=主旋律が魅力的でなければどんな有名な曲でも聴くに値しない。これはずっと一貫している。なので今まで紹介してきたTRANCE曲もその選別作業も全て主旋律が気に入ったもの「だけ」を基準に選んできた。特にTRANCE曲の場合1曲が7~9分という非常に長い音楽なのでそれに付き合えるだけの魅力的な主旋律は必要不可欠である。というよりその7~9分という長さに付き合いたくなる様な魅力的なメロディがあるからこそこれまで聴き続けてきた、と言うべきなのかもしれない。
そしてこれまで15000曲程度視聴してきて分かったのはbeatport上でランキングに載るような曲は私の趣味には全く合わないという事だった。これを言ってしまうと元も子もないのだがそもそも私は典型的、一般的なTRANCE楽曲の音が嫌いなのである。TRANCEの中でもジャンルは細分化されるがいずれにしてもあの如何にも電子音的な派手で歪んだ音が本当に苦手だ。言葉は悪いが正直下品に聞こえる。おそらくクラブで踊る分には良いのだろうが自室でヘッドホンをかけてリラックスしながら聴くタイプの音楽ではない。私の好きなTRANCEはアップリフティングと呼ばれるタイプなのだがその中でも音の数が少ないものが好きだ。アタックも弱めで空間が広く取られているタイプかつボーカル曲でないものを選んでいる傾向がある。なので今まで紹介した20曲程度は大体似たような曲になっていると思う。
では15000曲もの楽曲から選別して20曲程度に絞られる以上その規準となる曲が私の中にあるのではないかと思う人もいるだろうが、結論から言えばある。私の中で強烈にTRANCE曲を印象付けた決定的な1曲が確かにある。その曲は私の人生の中で最も好きな曲の一つでもあるのだが好き過ぎて1年に1度くらいしか聴けないくらい思い入れの強い曲でもある。そして選別された20曲程度はこの1曲を基準に選ばれていたのだがこの1曲を超えたものは未だに現れていない。そして今後も現れる事はないだろう。それはこの曲が日本人によって作曲された楽曲だからでもある。beatportのTRANCE曲とは全く別の文法で作曲された日本人好みの曲であるから私の思い入れという点も含めTRANCE曲の文法に縛られる以上はあれを超えるのはかなり難しいと思う。ではその1曲とは何なのか。それは次回辺りにでも紹介しようと思う(オイ!)。
「HALO」 Extended Mix
アーティスト ELLEZ RIA
イントロから入ってくるピアノの主旋律が曲全体に亘っておりイントロ、ブレイクとクライマックスでそれぞれ違う顔を見せるのが楽しいので何度でも聴いてしまう。短いフレーズが何度も繰り返される構成ながら単調にならずに聴かせるようになっている。
「NAIAD」Original Mix
アーティストMARK ANDREZ, DEN RIZE
最後まで紹介しようか悩んだ一曲。というのもイヤホンで聴くのとヘッドホンで聴くのとで印象がガラリと変わってしまう曲だったから。私はヘッドホンは開放型のHD650で聴いているので大抵のTRANCE曲は気持ちよく聴けるのだがこれだけは何故かイヤホンで聴いたほうがバランスが良かった。基本的にボーカル曲はNGだがこの曲は珍しくコーラスが僅かに入っており、まあこれ位なら別に良いかなと。主旋律は正直パンチに欠けるのだが曲全体の音の響きが気持いいので何だか繰り返し聴いてしまう不思議な魅力がある。そしてバナーが機能しないので聴きたい場合はリンク先へ。
「RAINBOW」Original Mix
アーティスト STARTAIL
今回紹介する中で一番明るい曲調の1曲。しかしながらこれまで大量のTRANCE曲を聴いてきたけど一つのフレーズを手を変え品を変えよくもまあこれだけバリエーション豊かに出来るものだと関心してしまう。この曲も主旋律自体はシンプルで短いのに何度聴いても本当に飽きない。
「LAST NIGHT WITHOUT YOU」Original Mix
アーティスト FAST DISTANCE
FAST DISTANCEの曲は大分前に全部チェックしたつもりだったが聞き漏らしていたのかそれとも当時はハマらなかったのか。少々特徴的な音色なので人によっては気になるかもしれないがこれも音の響きが気持良い曲になっている。あそれと9分という長めの曲なのでもう少し短くても良かったかなと。
「DAYLIGHT」Right Face Remix
アーティスト CLOUDRIVER
リミキサー RIGHT FACE
今回即買いした楽曲。これも特定の短いフレーズを繰り返すタイプの楽曲なのだが兎に角気持良い(そればっかり)。その繰り返されるフレーズも凝りに凝ったメロディラインではなく寧ろ音の数を絞る事で印象付けようとしている様な構成になっており、特にブレイクで入るピアノの音からのクライマックスへ入って音が広がっていく様は本当に美しい。この曲は買った当時は1-2時間平気で聴き続けていたし毎日こればかり聴いていたくらい本当に気に入っている。今回の記事は正直これだけ買っておけば良いと思う(オイ)。そしてこれもバナーが機能しないので聴きたい場合はリンク先へ。
]]>
-
謹賀新年
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2020-01-02
明けまして御目出度う御座います。本年も宜しく御願い申し上げます。
日記
smith
2020-01-02T19:17:35+09:00
本年も宜しく御願い申し上げます。
]]>
-
『アイカツ』よ、さらば。
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
『アイカツフレンズ!』の放送が終了した。第1話から第50話までの第1期、そして第51話から第76話までの第2期「かがやきのジュエル編」を経て本作はその幕を閉じた。『アイカツフレンズ!』のアニメ本編については以前から感想を書いていたのでまた新たにダラダラと駄文をしたためるつもりはないので気になる人は「趣味の継続、興味の持続」と「『プリチャン』と『アイカツ』を取り合えず総括」を読んで頂きたい。
アニメ
smith
2019-10-05T21:24:04+09:00
『アイカツフレンズ!』の放送が終了した。
第1話から第50話までの第1期、そして第51話から第76話までの第2期「かがやきのジュエル編」を経て本作はその幕を閉じた。『アイカツフレンズ!』のアニメ本編については以前から感想を書いていたのでまた新たにダラダラと駄文をしたためるつもりはないので気になる人は「趣味の継続、興味の持続」 と「『プリチャン』と『アイカツ』を取り合えず総括」 を読んで頂きたい。
初代『アイカツ!』で絵コンテや演出を担当した五十嵐達也が監督を務めた『アイカツフレンズ!』。私が本作に唯一希望を抱いていたのはその一点であり、つまりはそこが駄目だった場合期待できるものは何も無いという状態が当初のスタンスだった。そしてそれは見事に的中した。およそ考えうる最悪の方向で。コンテや演出を担当していた者がシリーズ監督に抜擢されるという事それ事態は珍しい事ではない。そういった人事で成功している作品もあるし、本シリーズの様に長期的に継続する作品においては一人の監督が何年も継続して担当するという事の方が寧ろ難しいと考えるとシリーズ経験のある人間が監督に抜擢されるのは当然流れだとも言える。
ただ、その場合身内の人間がシリーズを回し続ける事になるのでそれによるリスクも当然生まれる事になる。シリーズが継続することによって発生する悪癖が自浄作用の行われないまま内部循環するというリスクである。新シリーズが始まってもそれが同一の制作スタッフによって回される以上、当該作品のベースとなる理論、論理、倫理等は大きく変わる事が無いため良い部分も悪い部分も引き継がれ、繰り返されてしまうというのは長期シリーズ作品においてよく見られる現象である。
そしてそれは『アイカツフレンズ!』も同じだった。
そもそも私が本作に期待していたのは五十嵐達也がアイカツシリーズの監督を務める事によって従来の悪癖だった金太郎飴の如く判を押したような薄っぺらいキャラクター描写が一掃される事だったのだ。『アイカツ!』115話以降の人形劇とも言える様なあの薄ら寒い描写の数々、書き割りの様な説明的で画一的な変化の無い会話、子供向けと子供騙しを勘違いした底の浅い内容。
思い出すだけでも未だに溜息が出てしまうのでこれ以上書くのは控えたい。アイカツシリーズは作品が続けば続くほど演出やシリーズ全体の構成をまともに出来る人間が居なくなってしまった事と制作する人間にそもそもアイドルに興味のある人間が居なかったが故に、今ではアイドルものとしても一つのアニメ作品としても致命的なまでに面白くない作品に成り果てたのだが、五十嵐達也が監督として参加するのならばキャラクター描写だけでもまともなものになるのではという希望的観測があったのだ。
だが蓋を開けてみれば五十嵐達也がコンテや演出を担当したのは第1話だけで後の大半はいつものスタッフだった。つまりは同じ事の繰り返しである。EDのクレジットでコンテや演出にいつものメンバーの名前が挙がるたびに肩を落としていたのは言うまでも無い。というか五十嵐達也が担当していない事はクレジットを見るまでも無かったのでそれは単なる確認作業でしかなかった。「ああ、今回も駄目だったな」と。
2クール目くらいまではまだ行く末に一筋の希望の光は残っていたが第45話辺りではもう完全に諦めムードに入っていた。第1部のクライマックスでさえあの有様である。何を考えたら4クールアニメ作品の構成をああも酷いものに出来るのか。もはや個別の脚本や演出というレベルの話ではない。『アイカツフレンズ!』は土台から腐っていたのである。土台が腐っているから個別の要素に良い部分があっても悪い部分と相殺されてしまうので結局意味が無くなってしまう。
折角生かせる設定や描写があっても既に手遅れな所まで進んでいってしまっているので全てに意味が無くなってしまう。観ていて本当に苦痛だった。いや。苦痛というかもはや「無」だった。何も無い。意味の無い物語と意味の無い描写が延々と続くその様は地獄と呼ぶに相応しい。これはアイカツ地獄だ。大きな岩を山頂に向かって只管転がすシーシュポスの様に私はただただアイカツ地獄に耐えていた。
何のために?
毒を喰らわば皿までという言葉があるが当然その側面もあった。初代にあれだけ入れ込んだ以上その様な結末を迎える事になったとしても最後まで付き合う、と。ただ、私にはこの地獄に耐えるもう一つの理由があったのだ。この面白くない物語を見続けるもう一つの理由。それは「いつか面白くなるかもしれない」という可能性を最後まで捨て切れなかったからだ。もっと具体的に言うと例え全てが壊滅的に面白くなかったとしてもそれを許容できてしまうくらいの最高の3DCGのライブステージに一度でも出会えれば良かったのである。そもそも私がアイカツシリーズを観続けている動機はそこにあるからだ。3DCGのライブステージこそが私が女児向けアニメを観続けている理由の根源である。
だが『アイカツフレンズ!』のライブステージはどれもイマイチだった。唯一良かったのは第7話で披露された明日香ミライの「アイデンティティ」 だけだった。記事を衝動的に書きたくなるような心揺さぶられるライブステージは殆ど無く物語が進むにつれ私の心の中には次第に「期待するだけ無駄」という感情が生まれていくようになった。
基本的に頭から否定して本編を観るようなスタンスは取らないように気をつけているのだが流石に無理だった。視聴中は他の事をしないようにしているしスマホ等も見ないのだが第50話以降の第2期に入ってからは興味が失せ始めたのか、ながら視聴をする事が多くなったし酷い時はあまりのつまらなさに耐え切れず寝落ちする時すらあった。それくらい『アイカツフレンズ!』というコンテンツが自分の中で存在が希薄になっていたのである。そうなると次に出てくるのは止められないネガティブな感情である。
早く終われ。
私は願った。『アイカツフレンズ!』という作品の終わりを。この地獄の終着点を。登場人物がどの様な結末を迎えようと最早どうでも良かった。この子供騙しですらない下らない作品がどうなろうと知ったことではない。腐った土台に建てられたモノは倒壊する運命から逃れられない。まあ、せめてその建てられる墓標までは見届けてやろうとは思っていたが。
しかし風向きを変える出来事があったのだ。この腐臭吹きすさぶ地獄の空気を僅かにでも変えられる様な変化が。第2期でアイドル活動に復帰したアリシア・シャーロットにフォーカスを当てた第63話「すべての道はアイカツに通ず!」である。この話はアイカツに復帰したアリシアの一日を巡るものなのだがこの話の絵コンテを担当したのは初代でも多数携わっていたこだま兼嗣だったのである。この話数も当然観る前は全く期待していなかったのだが物語の運びや表現、キャラクター描写がそれまでとは比べ物にならないほどしっかりしており、何より一本のアニメ作品として面白かったので観ている最中はその面白いという事実に驚いてしまったのだ。
第63話はアイドル活動に復帰したアリシアが巻き起こすカルチャーギャップコメディという物語構造がベースになっているので話の起承転結がしっかりしており、そこにベテランであるこだま兼嗣の絵コンテが組み合わさるので抜群の安定感が生まれておりアイカツというアニメが本来持っていたアイドル活動による面白さが息を吹き返していたのである。
そして何と言ってもカレンが歌う劇中のライブステージ「強く美しく優しく」だろう。
第63話「すべての道はアイカツに通ず!」ライブパート
神城 カレン / 「強く美しく優しく」
アンジュアクアマリンコーデ / Classical Ange
VIDEO
曲が素晴らしいのは勿論の事、抑制の効いたカメラワークとレイアウトにおけるキメ画のはったり加減、それらが振り付けと歌詞によって意味を成し有機的な繋がりを持つ事による相乗効果。思わず釘付けになったばかりか感激したあまりその日の内に何度も見返してしまうくらい魅了されてしまった。まさかここにきてこんなに素晴らしいライブステージを見る事が出来るとは夢にも思っていなかったし、本編も負けず劣らず面白く仕上がっていたので本当に驚いてしまった。『アイカツフレンズ!』で本編を何度も見返したのは後にも先にも第63話だけである。
本編も面白いしライブパートも素晴らしいなんてまるで奇跡の様だった。そう奇跡だったのだ。そして奇跡は何度も起こらない。第63話以降は既に解決している問題を掘り起こして再び主軸に据えるという正気を疑う物語構造の中で作品のアイデンティティである「フレンズ」という要素を置き去りにしたまま、第50話以降何も変化の無い主役二人が「天候」という人間にはどうにも出来ない相手に右往左往するという非常に頭の痛くなる展開が続く事になる。
『アイカツ!』では視聴者へのギャグ、メタ表現として登場人物達の奇想天外なアイドル活動をして「これ、アイカツか?」と劇中のキャラがつっこむ描写が頻繁に登場するのだが、つっこみ要因が不在の本作では最早アイドル活動ですらないそれらの展開を前にして視聴者自身が「これ、アイカツか?」と思わざるを得ない状態に陥っており、その様は悲惨という他無かった。「これ、アイカツか?」というつっこみは実は視聴者に対するギャグ表現の橋渡しの役割を果たしていたのだと私は本作を通じて知る事となった。
ブリザードが頻繁に起こる気候の土地において「アイカツをすればみんなが笑顔になる」という理屈で行動するのは狂気でしかない。ギャグのつっこみ要員どころか人間としての道徳観や倫理、常識の欠如した言動に対して劇中のキャラの誰もが真面目に指摘しようとしないので観ている側だけが頭の痛くなるというフラストレーションの溜まる展開が続くのである。
ライブが成功しようがしまいがその土地がブリザードの起こる気候であるという事実は変えられないので劇中の登場人物達がまるで何かに憑り付かれているかの様な異様な集団に見えて仕方が無かった。脚本家やシリーズ構成はこれが本当に正しいと思って書いていたのだろうか。本当にこれがアイカツの姿だと本気で信じていたのだろうか。もしそうなら頭がおかしいとしか思えない。
宇宙でアイカツするスペカツや宇宙から飛来した隕石に選ばれたものが手にするジュエリングドレス、結局具体的な設定の明かされないアイカツゾーン等『アイカツフレンズ!』は意味不明な要素が多すぎる。それが物語全体にどう影響するのか、どういった役割を果たしてどの様に意味を成すのか、具体的な計画が無いまま設定が先に決まったとしか思えない。結局「フレンズ」という作品の根幹を為す要素も「二人でライブする」という以上の意味は無く、言葉で何度も友達と連呼しようがそれは単に友達の数が増えるという表面的な意味合いに留まるだけで寧ろ二人によるライブというフレンズという設定は足枷に過ぎなかった。友達なんていう言葉をわざわざ使わなくとも初代『アイカツ!』の方が余程『アイカツフレンズ!』を実践出来ていたのではないか。
何しろ主役二人の関係がそれを如実に表しているからだ。友希あいねと湊 みお。第1話でフレンズを組み第76話まで運命を共にしたフレンズ。と言えば聞こえは良いが、この二人第1話から最後までお互いの距離感が殆ど変わっていないのである。友希あいねは元々人当たりが良く誰とでも友達になってしまうタイプなのでみおとフレンズを組もうがお互いに下の名前で呼び合う様になろうが対して変わらないのである。対する湊 みおは他人との距離を置きがちという設定はあったもののそれ自体は序盤でほぼ解消されたどころかその後はその素振りを微塵も感じさせない状態になってしまったので、フレンズを正式に組んだ1クール目の終わりの段階で二人の関係に進展の余地が殆ど無くなってしまったのである。これは致命的だった。
長期的なスパンのアニメ作品というのは大局的変動を通じて人間的成長を遂げる主人公を描くからこそ成立するのであり、それが序盤でほぼ終わってしまった本作には物語的な成長の余地がかなり狭められてしまったのである。本作が面白くない点の構造的な問題の一つである。価値観の異なる者同士が同じ道を共に進むという物語構造は古くからの王道のパターンだが、本作はフレンズという設定を表面的に用いるだけでそれによって生まれる人間関係に深く踏み込もうとはしない。せいぜい思い出したように喧嘩する程度である。
と、こんなペースで書き続けていたらきりが無いのでここで切り上げるが、『アイカツフレンズ!』は全く面白くなかったという事で結論とさせて頂きたい。物語的にもキャラクター描写的にも見所は何も無かった。本当に無かった。フレンズという設定は結局物語上の面白さに寄与する事無く単にマーケティング上の要請として処理されて終わった。肝心の歌もMONACAが担当しない楽曲の数々はピンと来るものが少なくライブステージも心に響くものは2つしか無かった。
観た事を後悔するとか観なければ良かったとは思わないが得たものよりも失ったものの方が遥かに大きい。五十嵐達也に4クールアニメ作品の監督を務めるだけの力量は無かったのだ。女児向けアニメである『アイカツ』というコンテンツに制約は大きいものの、その中で初代『アイカツ!』を見事に作り上げた水島精二という前例がある以上その言い訳は通用しない。ただ監督の五十嵐達也がアイドルに興味が無かっただけなのだと思う。
面白くないコンテンツに付き合い続けるのは苦痛だ。それがかつて好きだった、面白かったコンテンツなら尚更だ。『アイカツ』が凄いのはコンテンツの経過年数に比例して人気が落ち、売上が下がり、面白さも目減りしていったという点である。普通こういった長期的なコンテンツは途中に梃入れが入って何かしら持ち直すのだが『アイカツ』は7年目である今が最も酷いのである。目も当てられない。悲惨だ。
そしてその最も酷い年に『アイカツ』は新シリーズとして生まれ変わる。
『アイカツオンパレード!』として。
歴代のアイカツシリーズのキャラクター達が時空を超えて競演するオールスターシリーズ。要は打ち切り前の最後の足掻きである。しかしオンパレードというタイトルは凄い。日本でオンパレードという言葉は基本的にネガティブな意味で使われる事が殆どだからだ。なのでこのタイトルを始めて聞いた時は思わず耳を疑ったものものだ。言い換えれば「アイカツばっかり」になるのだが、何せあの悪名高い『アイカツスターズ』も含まれているからだ。
そして監督は何と『アイカツフレンズ!』の五十嵐達也である。製作スタッフも殆ど一緒だ。木村隆一も関わっている。もう駄目だ。面白くなる要素がない。キャラクターデザインは旧シリーズのキャラクターもアイカツフレンズ準拠にリファインされているので違和感が物凄い。『アイカツフレンズ!』をまともに描けなかった監督が歴代シリーズの全アイドルが登場するオールスター作品の監督をまともに制作する事が出来るか?無理だ。絶対面白くなれない。勿論面白くあって欲しいがこの布陣で一体何を期待すればいいのか。私には何も見えない。だが当然今作も全部見るつもりだ。最初から最後まで、どんな姿に成り果てようと、どんな醜態を晒す事になろうとも私は『アイカツオンパレード!』に付き合うつもりである。
そこに意味はあるのか?
面白くない可能性の方が遥かに高いのにわざわざ見届ける事の意味が?
願っているのだ。あって欲しいと。
アイカツ!関連記事
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおい「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレ「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやび「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第133話における五十嵐達也のコンテ・演出について。
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
・『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」3DCGライブ演出
]]>
-
最近聴いている音楽 vol.3
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-09-03
最近聴いている音楽 vol.1最近聴いている音楽 vol.2最近聴いている音楽 vol.4さて今回も中々の難産だった。あれから3000~4000曲くらい視聴したのだが2000曲辺りまでは本当に全くかすりもせずデバック作業の如く延々と視聴するボタンを押す作業を繰り返していたので心が折れそうだった。その後は気になる曲が幾つか出てきてそこからは芋づる式に良い曲が沢山出てきたので餞別するのも苦労する程だった。因みに今まで紹介してきた曲は全て自分で購入してきた楽曲であり購入に至らなかった曲は一つとして紹介していない。本当に気に入った曲以外は紹介したく無いのでそこだけは徹底するようにしている。なので気に入っているけど購入までには至らなかった数々の曲は残念ながら紹介できない。まあ中には自分以外の人の心に響く曲があるのだろうけどここでは私が実際に視聴して実際に購入してしまう程の曲を紹介する、というコンセプトで続けていこうと思っているので悪しからず。しかし今回は本当に良い曲が揃った。4曲しかないが選別に選別を重ねたものなのでどれもオススメの楽曲である。
音楽
smith
2019-09-03T21:16:39+09:00
最近聴いている音楽 vol.1
最近聴いている音楽 vol.2
最近聴いている音楽 vol.4
さて今回も中々の難産だった。あれから3000~4000曲くらい視聴したのだが2000曲辺りまでは本当に全くかすりもせずデバック作業の如く延々と視聴するボタンを押す作業を繰り返していたので心が折れそうだった。その後は気になる曲が幾つか出てきてそこからは芋づる式に良い曲が沢山出てきたので餞別するのも苦労する程だった。
因みに今まで紹介してきた曲は全て自分で購入してきた楽曲であり購入に至らなかった曲は一つとして紹介していない。本当に気に入った曲以外は紹介したく無いのでそこだけは徹底するようにしている。なので気に入っているけど購入までには至らなかった数々の曲は残念ながら紹介できない。まあ中には自分以外の人の心に響く曲があるのだろうけどここでは私が実際に視聴して実際に購入してしまう程の曲を紹介する、というコンセプトで続けていこうと思っているので悪しからず。
しかし今回は本当に良い曲が揃った。4曲しかないが選別に選別を重ねたものなのでどれもオススメの楽曲である。
今回視聴して即買いした内の一つ『Iceland Falls』。視聴冒頭部分のメロディラインが本当に美しく聴いた瞬間にカートに入れてしまった程。透明感が抜群に出ておりヘッドホンでもスピーカーでも凄まじい空間形成力のある楽曲である。メロディラインの美しさだけで言えば今まで紹介した中で一番と言える。なお例によってこの曲だけバナーが機能しないので聴きたい場合はリンク先へ飛んで頂きたい。
これもメロディラインが購入動機になった曲。曲全体の構成としては若干間延びするのでそこは減点なのだが中盤のブレイクからピアノの旋律だけになった所からの刻みが入る流れが本当に気持ち良い。正直購入した決め手はここだけなのだが逆に言えばこの部分はそれ位良い。
今回購入した楽曲の内2曲も入っている「Ilya Fly」。実は曲を選別した後でこの人の楽曲が2曲入っている事に気付いたのだが良くもまあここまで毛色の違う曲を作れるものかと感心してしまう。この『Heavenly Attraction』も視聴冒頭分のメロディラインが気に入って購入に至った曲。実はこの曲は全体の構成的に少し気に入らない部分があって、ブレイク後のクライマックス部分のメロディラインのバランスや刻みの音色等自分の好みともホンの少し違っていたので購入しようかどうか迷っていたのだが前述した通りメインのメロディラインがあまりに綺麗なので最終的にどうでも良くなって購入してしまったという。
さて、今回イチ押しの楽曲『Free Energy』。これまで紹介した曲を気に入ってくれた人なら絶対に間違いないのでこれはもう聴かずに今この場で購入して欲しい(オイ)。それくらい本当に最高な1曲。イントロからブレイク、クライマックスからアウトロまで全てが最高に格好良くて正に私がTRANCEを聴き続けていた動機そのものと言っても良い程の曲である。最初に視聴した時、自分が求めていた曲がそのまま鳴り始めたので思わずガッツポーズをとってしまったのだがこれは本当にもう即買いだった。
今まで購入した楽曲は大抵曲全体の中で部分的に好きな要素があるというのが殆どで諸手を挙げて1曲まるまる気に入るという事は少なかったのだがこの曲は驚くほどクリティカルに心に響くものになっている。最初から最後まで全部気に入っており最早何回聴いたのかも分からないくらいヘビロテしている状態である。
]]>
-
[2017年~2019年] 最近のIMAX事情
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-04-14
前回『なぜ『ダンケルク』を観るために海外のIMAXシアターへ行くのか。』最近IMAXについての記事を書いていないと思ったら2017年の『ダンケルク』以降ほぼ何も書いていなかったのでそろそろ更新。流石に更新をサボりすぎた。『スター・ウォーズ エピソード9』はどの映画館で観ればいいのか。でも多少触れたので重複してしまう部分もあるが御容赦の程を。
映画
smith
2019-09-02T20:37:55+09:00
『なぜ『ダンケルク』を観るために海外のIMAXシアターへ行くのか。』
最近IMAXについての記事を書いていないと思ったら2017年の『ダンケルク』以降ほぼ何も書いていなかったのでそろそろ更新。流石に更新をサボりすぎた。『スター・ウォーズ エピソード9』はどの映画館で観ればいいのか。 でも多少触れたので重複してしまう部分もあるが御容赦の程を。
『ダンケルク』の後はIMAX社も経営上での変動が色々あってか中々面白いイベントが目白押しだった。先ず2018年11月23日に109シネマズ名古屋と川崎を皮切りに各社シングルプロジェクターのIMAXレーザーを導入し始める事となった。IMAXシングルレーザーはGTツインレーザーとは異なり6Pではなく3P RGBの4Kレーザー光源を使用するタイプで1台による4K3D上映(円偏光)が可能となっている。24m以下の小型IMAXスクリーンへの導入を基本とするものなのでGTレーザーの様に2台のプロジェクターを必要としない。そのため導入コストも下がっている。3DメガネもGTレーザーが使用しているドルビーライセンスが必要な高価なものではなく、安価な従来のプラスチックのタイプが使用されている。
IMAXシングルレーザー
今年の夏にはまさかの(失礼)沖縄にもIMAXレーザーが導入され今年中には北は札幌から南は沖縄までIMAXレーザー館が誕生する事になる。2015年にエキスポIMAXが誕生して以来上映施設の地域格差は広がる一方な印象だったがドルビーシネマ含め各地に様々な映画館、上映施設が誕生しており映画館で映画を観る事の価値がここにきてまた盛り上がってきている様に感じる。
グランドシネマサンシャイン
そして2019年7月18日に東京の池袋に誕生したグランドシネマサンシャイン。これまではIMAX用の1.43:1の上映を観るためには大阪のエキスポIMAXまで行く必要があったがIMAXレーザーGTプロジェクターが漸く東京にも導入される事となった。スクリーンサイズも25.8m×18.9mとエキスポIMAXとほぼ同じであり、他にもRGBレーザープロジェクターやドルビーアトモスの導入等非常に設備の充実した映画館に仕上がっている。
IMAXレーザーGT
・109シネマズ大阪エキスポシティ
・池袋グランドシネマサンシャイン
IMAXシングルレーザー
・109シネマズ菖蒲
・109シネマズ川崎
・109シネマズ名古屋
・ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添(沖縄)
・シネマサンシャインららぽーと沼津 ※10月4日開業
・ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸 ※10月25日開業
・ユナイテッド・シネマ札幌 ※11月導入
IMAX社曰く今後日本でIMAXレーザーGTの導入予定は無いとの事で暫くは既存のIMAXデジタルシアターのレーザー改装がメインになっていくらしい。かつてIMAX 70mmを導入していた札幌IMAXが改装されるあたり、今後品川IMAXもレーザーの改装が行われるのだろう。
日本以外のIMAXシアターの動きとしては2017年7月18日に韓国のCG龍山アイパークモールがIMAXレーザーGTを導入してリニューアルオープンを迎えている。こちらは22.4m×31mというアジア圏最大のスクリーンサイズとなる。2020年にはドイツのTraumpalast Leonbergに世界最大となる横幅38mのスクリーンを備えるIMAXレーザーGTシアターが誕生する予定となっている。
Traumpalast Leonberg完成予想図
2016年に取り壊された世界最大スクリーンのシドニーIMAXは2020年末の完成を予定しておりスクリーンサイズは現段階ではまだ発表されていない。当初の予定では29.42m×35.73mよりも一回り小さくなるという発表があったが今では30m級のスクリーンも珍しくなくなったので同程度の大きさを保持して欲しいところである。因みにIMAX 70mm映写機を再び導入するかどうかもまだ正式に発表されていない。
THE RIBBON(シドニーIMAX)完成予想図
日本以外でも既存のIMAX館がIMAXレーザーに換装される流れは起きており、それはIMAX 70mmも例外ではない。『ダンケルク』以降幾つかのIMAX 70mm常設館がレーザーに換装されており今後のIMAX 70mm上映作品がどの様な影響を受けるかは分からない。なお日本では鹿児島県に位置する鹿児島市立科学館が唯一オムニマックスによるIMAX 70mm上映を行っており、今年の9月までは『アポロ11』のIMAX 70mm上映が行われている。スクリーンサイズは直径23mだが体感サイズはエキスポIMAXを余裕で超えるくらい大きいので気になっている人は是非。縁あってオムニマックスの映写室内部を特別に見せて頂いたが実物のIMAX 70mm映写機は物凄く大きいし稼動音も凄い。実際に触れてみると成る程確かにこれはランニングコストがかかる事が良く分かる。
鹿児島市立科学館のオムニマックスドームスクリーンと映写機
IMAX撮影作品については『ダンケルク』以降も相変わらずのペースで制作されておりフィルム、デジタル共にかなりの数になっている。残念ながら2019年はIMAX65mmカメラ撮影の長編作品は無かったが2020年公開の作品では既に3作品がIMAX65mmカメラで撮影されている。
撮影と上映の両方がIMAX用のフィルム(65mm/15p,70mm/15p)で行われた作品。
下記の作品は全て1.43:1に対応している。
・『ダークナイト』(2008)
・『トランスフォーマー リベンジ』(2009)
・『ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル』(2011)
・『ダークナイト ライジング』(2012)
・『ハンガーゲーム2』(2013)
・『スタートレック イントゥダークネス』(2013)
・『インターステラー』(2014)
・『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(2015)
・『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)
・『ダンケルク』(2017)
・『ファースト・マン』(2018)
・『Daughter of Dismay』(2019) ※秋頃上映予定,短編
・『007 No Time to Die』(2020/04/08) ※予定
・『ワンダーウーマン1984』(2020/06/05) ※予定
・『TENET』(2020/07/17)
『007 No Time to Die』と『ワンダーウーマン1984』については1.43:1に拡大するかどうかは不明だがほぼ確定と言っても良いだろう。しかしながら4月、6月、7月と連続して公開されるのは前代未聞でありスケジュール的にもうちょっと何とかならなかったのかと言わざるを得ない。これは観るほうも大変だ。
昨年はまさかのデミアン・チャゼルがIMAX撮影を行った『ファースト・マン』が1.43:1で上映され驚いたものだが本作のIMAX拡大シーンは10分程度だったのは少々残念ではあった。とはいえ宇宙モノとIMAXフォーマットの相性の良さは抜群でノイズの無いクリアな映像は正にIMAX向きのものだった。なお昨年は日本でもIMAXカメラで撮影された『アメリカン・ミュージック・ジャーニー』が1.43:1で上映されたが『アメリカ・ワイルド』以降IMAXドキュメンタリーは全く公開されていないのでこれからに期待したいところ。
そういえば『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』では前作に引き続きIMAX65mmカメラでの撮影が行われたが1.43:1拡大せずに全編2.39:1の画郭で統一されての上映となってしまった。公開数ヶ月前にIMAXカメラが使われている旨のアナウンスがあった後IMAXフォーマットの画像が公開されたが結局それはファンメイドによるデマだった事が公開直前に判明する(気付いたのは私自身)という騒動があり公開前から微妙な空気になってしまった。
最新作である『スカイウォーカーの夜明け』では35mmと65mmによる撮影が行われた旨のアナウンスがコダックのツイッターアカウントから正式に行われたが65mm5p(2.20:1)なのかIMAX65mm(1.43:1)なのかはまだ分からない。が、『フォースの覚醒』がそもそも10年振りに復活した『スター・ウォーズ』最新作というイベント性の非常に高い作品という側面があったからこそ、1.43:1というアトラクション的な映像が用いられた可能性が高いので、今作も全編2.39:1に統一して上映する可能性は高い。何より現時点で何もアナウンスが無いのである。シリーズを締めくくる作品という事を考えると1.43:1に拡大する可能性は低いように思える。
因みに上記のリストにある『Daughter of Dismay』とはSodom & Chimera Productions が制作しているIMAX65mm撮影による自主制作の短編ホラー作品である。個人的に注目していたプロジェクトで昨年から本格的にスタートして今年の秋頃から各地の上映イベント等に出展する予定となっている。自主制作かつ短編なので大手配給による上映が行われないため上映自体は小規模になってしまうが35mm、70mm、IMAX 70mm、IMAXデジタルによる上映を予定している。先日行われたFrightFestのプレミア上映ではIMAXレーザーによる上映が行われたとの事。日本で上映される事は先ずありえないが機会があれば観てみたい。なお日本語で本作についてツイートしているのは世界中で私だけである(寂しい)。
IMAXデジタル撮影作品についてはIMAXデジタルカメラ自体があまり使われないので相変わらず数は少ない。特にIMAX 3Dデジタルカメラは最近では中国やロシアでしか使われておらずハリウッドではもう使われていない。『最後の騎士王』もALEXA IMAXカメラを2台を使い右目用と左目用で3D撮影しており『ロストエイジ』のIMAX 3Dデジタルカメラは使っていない。まああれは4Kでしか撮影出来ないのでやむを得ないのだが。そのため『アベンジャーズ』2作も全編ALEXA IMAXカメラが使用されている。
上から順にIMAX3Dデジタルカメラ、ALEXA IMAXカメラ、ALEXA IMAX 3Dカメラ
IMAXデジタルカメラで撮影され1.90:1で上映された作品。
・『トランスフォーマー ロストエイジ』(2014)
・『フライト・クルー』(2016)
・『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』(2016)
・『ハドソン川の奇跡』(2016)
・『トランスフォーマー 最後の騎士王』(2017)
・『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)
・『アベンジャーズ エンドゲーム』(2019)
非IMAX撮影のIMAXフォーマット作品は相変わらず多い。MCUが1.90:1に拡大する事を興行収入上の利点と考えたのか2017年以降のMCU作品はほぼ1.90:1に拡大するようになっている。そのお陰もあってか『エンドゲーム』は歴代の興行収入で見事1位を獲得するに至った。MCUは今後も続いていくのでMCUが続く限り1.90:1作品も定期的に供給されるのだろう。
さて、2016年に公開された『ゴーストバスターズ』はIMAXレーザーGTで上映された際1シーンだけ1.43:1に拡大したらしいが(私は観れてない)ここにきて漸くデジタル撮影での本格的な1.43:1拡大作品が誕生する事となった。そう、『ライオン・キング』である。
『ライオン・キング』は劇中の1ショットを除いて全てCGで制作されているため厳密にはカメラで撮影されてはいないのだがデジタル制作の作品でも本格的な1.43:1フォーマットが利用できる事がこれで判明した事になる。本作以外にも池袋グランドシネマサンシャインの開業記念作品として短編の『Transphere』が全編1.43:1として制作されている。日本映画でIMAX1.43:1の作品が制作されたのは本当に久しぶりの出来事である。『ライオン・キング』は劇中の30分のシーンが1.43:1に拡大するがこれは偏に監督がジョン・ファブローだったからだろう。今後他の監督の下で1.43:1に対応する作品が生まれるかどうかは分からないが対応コンテンツの充実のため期待するとしよう。
因みにIMAXデモ映像である『Infinite Worlds』は全編ALEXA IMAXカメラで撮影されており6560×3110のフレーム内で1.43:1にトリミングした映像を使用している(下画像)。近年の高画質なデジタルシネマカメラはセンサーサイズが2:1に近いので1.43:1にフレーミングしても十分解像度が稼げる筈だと常々思っていたが漸くこういった使い方をする作品が出てきたのでこれにも今後期待したい。
『Infinite Worlds』撮影風景
非IMAX撮影のIMAX拡大フォーマット作品。(1.43:1、1.90:1)
・『アバター』(2009)
・『トロン: レガシー』(2010)
・『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(2011)
・『アンダーワールド 覚醒』(2012)
・『タイタニック』(2012)
・『プロメテウス』(2012)
・『アメイジング・スパイダーマン』(2012)
・『スカイフォール』(2012)
・『ホビット 思いがけない冒険』(2012)
・『オブリビオン』(2013)
・『ホビット 竜に奪われた王国』(2013)
・『アイ・フランケンシュタイン』(2014)
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)
・『ホビット 決戦のゆくえ』(2014)
・『セブンス・サン 魔使いの弟子』(2014)
・『トゥモローランド』(2015)
・『ゴーストバスターズ』(2016)
・『ドクター・ストレンジ』(2016)
・『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)
・『美女と野獣』(2017)
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』(2017)
・『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)
・『キングスマン ゴールデン・サークル』(2017)
・『ブレードランナー2049』(2017)
・『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)
・『マティ・ソー ラグナロク』(2017)
・『メイズ・ランナー: 最期の迷宮』(2018)
・『ブラック・パンサー』(2018)
・『アントマン&ワスプ』(2018)
・『ミッション・インポッシブル フォールアウト』(2018)
・『アイアンマン』(2018) ※新たにIMAX DMR処理
・『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使い』(2018)
・『バーフバリ 王の凱旋 完全版』(2018)
・『アクアマン』(2018)
・『アリータ バトルエンジェル』(2019)
・『キャプテン・マーベル』(2019)
・『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』(2019)
・『ライオン・キング』(2019) ※1.43:1
・『Transphere』(2019)※1.43:1,短編
・『Top Gun: Maverick』(2020) ※予定
上記の非IMAX撮影作品は日本でIMAX上映されていないものも含めているので悪しからず。個人的には『アイアンマン』のIMAXリマスター版が是非とも観たかったのだが結局日本ではMCU10周年記念上映が行われる事は無かった。まあ『バーフバリ 王の凱旋 完全版』が日本でもIMAX上映されたので十分満足はしているのだが。
今後のIMAX上映作品の目玉は何と言ってもノーラン新作『TENET』だろう。ノーランはIMAX 65mm撮影作品は例外なくIMAX 70mmで上映しているので今回も間違いなくフィルムで上映されるだろう。ノーラン作品が他とは決定的に異なるのはVFXカットを6Kの解像度で制作してIMAX 65mm撮影部分は8Kスキャンを行い、非VFXカットはDIプロセスを経ずに撮影ネガから直接上映プリントの制作プロセスを行っているという点である。『ダンケルク』同様『TENET』でも65mm5pとIMAX65mmカメラによる撮影を行っているので今作でも同じ制作プロセスをとるだろう。まだ作品の内容は全く分からないが楽しみで仕方が無い。
『007 No Time to Die』と『ワンダーウーマン1984』は共にIMAX65mmカメラで撮影されているが『スペクター』が4KDIだった事から007新作も4KDIである可能性が高い。こちらも映像面で期待できそうだ。『ワンダーウーマン1984』は監督と撮影監督が前作から引き続き参加しているので映像の質感の点では心配無さそうである。IMAXカメラを生かした映像になっている事を期待したい。
そういえば非IMAXフォーマットの作品ではあるが『ブレードランナー ファイナルカット』がこの度日本でもIMAXで上映される運びとなった。当時は北米限定でのIMAX上映だっただけに日本での上映は諦めていたのだが漸く念願叶ったりである。2019年のロサンゼルスの空撮パートは大スクリーンでこそ生きるというもの。『ブレードランナー ファイナルカット』は4KDIであるためIMAXレーザーではネイティブ4Kでの上映となる。残念ながらエキスポIMAXでの上映は無いが可能な限り大きなスクリーンで観てみたい。
参考資料
・【独占インタビュー】IMAXはなぜ凄い?IMAX社グローバル・セールス最高責任者がその真髄を明かす
・THE RIBBON
・World’s Largest IMAX Screen to Open in Germany in 2020
・AVENGERS: INFINITY WAR captured with ALEXA IMAX cameras
・‘Tenet,’ Explained: 11 Things You Need to Know About Christopher Nolan’s Action Epic
・WORLD PREMIERE - DAUGHTER OF DISMAY
]]>
-
『スター・ウォーズ エピソード9』はどの映画館で観ればいいのか。
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-04-13
2019年12月20日の劇場公開が決定しティーザー予告編も公開されたシリーズ最新作『スター・ウォーズ ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』。監督は『フォースの覚醒』のJ.J エイブラムス。撮影監督も同じく『フォースの覚醒』のダニエル・ミンデルが務める事となった。Bittersweet starting this next chapter without Carrie, but thanks to an extraordinary cast and crew, we are ready to go. Grateful for @rianjohnson and special thanks to George Lucas for creating this incredible world and beginning a story of which we are lucky to be a part. #IX pic.twitter.com/FOfnGwVut5— JJ Abrams (@jjabrams) 2018年8月1日
映画
smith
2019-04-13T22:26:31+09:00
2019年12月20日の劇場公開が決定しティーザー予告編も公開されたシリーズ最新作『スター・ウォーズ ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』。
監督は『フォースの覚醒』のJ.J エイブラムス。撮影監督も同じく『フォースの覚醒』のダニエル・ミンデルが務める事となった。
本作の撮影フォーマットはJ.Jのツイッターにもあった通り35mmフィルムのアナモ撮影であるが、コダック社のツイートによると65mmフィルムでも撮影されている事が判明した。
本作はコリン・トレヴォロウ監督が降板する前の段階ではIMAXカメラによる撮影ではなく、全編65mm5Pによる2.20:1で撮影されるとの情報が出ていた。その後J.J エイブラムスが監督に決定した事により本作は『フォースの覚醒』と同じく35mmで撮影される事となった。本作『エピソード9』で使用したカメラは『フォースの覚醒』と同じタイプのパナビジョン「Panaflex Millennium XL2」となる。65mm撮影の詳細は現時点では不明であり65mm5Pの2.20:1なのかIMAX 65mm15Pによる1.43:1になるかは今後の情報次第となる。
現在の日本の映画館事情は2015年末に公開された『フォースの覚醒』の頃とは大きく異なる。当時は109シネマズ大阪エキスポシティが日本で最初のIMAX次世代レーザー(後にGTテクノロジーへ改名)を導入した事で日本でもIMAX 1.43:1フォーマットの上映が再び可能となったため、IMAX 65mmカメラで撮影された『フォースの覚醒』を観るために全国から一箇所にファンが集うという一大イベントが起きる程の盛り上がりがあった。
109シネマズ大阪エキスポシティ
その後2018年11月23日に川崎と名古屋のIMAXデジタルシアターに4Kの映写が可能なIMAXシングルレーザープロジェクターが導入され、2019年4月26日に109シネマズ菖蒲、夏には沖縄のユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添にも同じくIMAXシングルレーザープロジェクターが導入される運びとなった。これはエキスポIMAXのIMAXレーザーGTとは異なりスクリーンの画面比率は1.90:1となる。従来のキセノンランプを使用したIMAXデジタルシアターは順次レーザー光源プロジェクターに改装されていくという事なのだろう。
グランドシネマサンシャイン
そして2019年7月には池袋にグランドシネマサンシャインが誕生し、ここではエキスポIMAXと同じく1.43:1の上映に対応するIMAXレーザーGTによる18.9m×25.8mのスクリーンが導入される事になった。
グランドシネマサンシャイン公式サイト
またIMAX以外では2018年11月23日にT・ジョイ博多に日本初となるドルビーシネマが導入され、2019年4月26日にMOVIXさいたま、夏に梅田ブルク7と秋には東京の丸の内ピカデリーに導入する事が決定している。『フォースの覚醒』『ローグ・ワン』『最後のジェダイ』『ハン・ソロ』の4作品がこれまで日本以外の国でドルビーシネマで上映されてきたが今回ようやく日本でも『スター・ウォーズ』をドルビーシネマで観る事が出来る様になったのは嬉しい限りである。
『スター・ウォーズ ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー』はシリーズ作品同様、
・IMAX DIGITAL 3D(2K)
・IMAXシングルレーザー 3D(4K)
・IMAXレーザーGT 3D(4K)
・ドルビーシネマ(2D or 3D)
で上映されるだろう。
そこで気になるのが本作のDI(Digital Intermediate)であるマスターフォーマットの制作解像度である。『フォースの覚醒』は2K制作だったがその後の『ローグ・ワン』『最後のジェダイ』『ハン・ソロ』は全て4K制作となっている。本作はスカイウォーカーサーガの最後であるため大規模な戦闘が行われる事が予想されVFXのカットもこれまで以上になると考えられる。J.Jが監督した『フォースの覚醒』が2K制作だった事を考えるともしかしたら今作も2K制作になってしまうかもしれない。また、今作は恐らくIMAX撮影をしている可能性が低いのでその場合2Kの全編2.39:1というIMAX上映である意味が無くなる事にもなりかねない。もし『フォースの覚醒』と同じくIMAX撮影が行われていれば同様に1.43:1に拡大するシーンが存在する可能性が出てくるのでその場合はエキスポIMAXや池袋IMAXで観る意義が出てくるだろう。
しかし、仮に今作が2K制作だとしてもドルビーシネマ上映においては何も問題は無い。現在稼動しているTジョイ博多とMOVIXさいたまのドルビーシネマはIMAXと比べると小振りなスクリーンではあるがドルビービジョンのHDRと広色域による圧倒的な映像体験の前ではスクリーンサイズは問題ではなくなるからだ。そしてオブジェクトオーディオのドルビーアトモスが加わる事によってその鑑賞体験は極上のものになる。なお、現在劇場で流れている『ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー』のティーザー予告編は4Kである事が確認されているので恐らく本編も4KDIである可能性が高い。
2015年の『フォースの覚醒』当時は大阪のエキスポIMAXだけが次世代の規格を採用している映画館だったが今では埼玉、東京、名古屋、大阪、博多、沖縄にIMAXレーザーやドルビーシネマが次々に誕生しようとしている。映画を観るために遠方の地へわざわざ遠征していたあの頃が今となっては懐かしい限りである。
ここで一度現時点で判明している次世代のPLF(プレミアム・ラージ・フォーマット)導入の映画館をまとめておこう。以下は『ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー』公開時に開業されている映画館である。
ドルビーシネマ
・MOVIXさいたま
・丸の内ピカデリー
・梅田ブルク7
・Tジョイ博多
IMAXレーザーGT
・109シネマズ大阪エキスポシティ
・池袋グランドシネマサンシャイン
IMAXシングルレーザー
・109シネマズ菖蒲
・109シネマズ川崎
・109シネマズ名古屋
・ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添(沖縄)
PLF以外にもここ数年で映画館独自の特別上映が増えており、立川シネマシティの極上爆音上映を筆頭に音響に特化した上映等が各地で行われているのはご存知の通り。『フォースの覚醒』の時と同じくイオンシネマ海老名のTHX認定スクリーンでもまた特別に調整された上映が行われるかもしれない。あの頃と比べると他県へ遠征する必要性はあまりなくなったがその分上記の様なイベント上映も増えたので結果として映画館に通う頻度が増えてしまうという悩ましい事態にもなっている。
いずれにせよ情報が少ない現時点では『ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー』を最も良い上映環境で観られるのがドルビーシネマである事に変わりは無いだろう。だがそのドルビーシネマも当然映画館毎に品質は異なるのでどこのドルビーシネマが良いのかは蓋を空けてみなければ分からない。
]]>
-
最近聴いている音楽 vol.2
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-04-01-1
前回突如として始まった「私の最近聴いているオススメTRANCE曲のコーナー」だが早くも行き詰まりを感じている。あれからBeatport上で多分3000曲くらい視聴しただろうか。BeatportはUIの利便性が高くレスポンスが早いので視聴が本当に楽なのは良いが肝心の刺さる曲が一向に見つからないのである。時々良いなと思える曲も出てくるのだがその頻度が兎に角低くて200曲に一つあるかないかというレベル。前回の記事で取り上げたDJが作曲した曲は全て聴いたのだが今回リストアップに該当するものは無かった。他にもレーベルで検索したり気に入った曲の年代で探したりしたけど全く持って見つからない。探す場所を変えて今度はYoutubeで個人が1時間や2時間程度でまとめている再生回数の多いオススメのトランス曲動画も色々聞いてはみたがどうも世間で人気のある、支持されているトランス曲と前回リストアップした様な自分の好むトランス曲は違うという事が良く分かった。Youtubeで再生回数が多いのは大抵がダンスホールでかかるような踊れる曲である事が多い。自分の様に家でリラックスして聴くのとは違う系統らしい。最近は当たりも殆ど無いのでBeatportで曲を探すのもちょっと疲れてしまったのだが流石に自分の好みの系統のトランス曲がリストアップした十数曲に留まる筈は無いので気長に探してみたいと思う。なお2番目の「The SUN」のリンクだけ何度貼りなおしても視聴できないので聴きたい場合はリンク先のサイトへ。続き最近聴いている音楽 vol.3
音楽
smith
2019-04-01T20:36:15+09:00
「私の最近聴いているオススメTRANCE曲のコーナー」だが早くも行き詰まりを感じている。あれからBeatport上で多分3000曲くらい視聴しただろうか。BeatportはUIの利便性が高くレスポンスが早いので視聴が本当に楽なのは良いが肝心の刺さる曲が一向に見つからないのである。時々良いなと思える曲も出てくるのだがその頻度が兎に角低くて200曲に一つあるかないかというレベル。
前回の記事で取り上げたDJが作曲した曲は全て聴いたのだが今回リストアップに該当するものは無かった。他にもレーベルで検索したり気に入った曲の年代で探したりしたけど全く持って見つからない。探す場所を変えて今度はYoutubeで個人が1時間や2時間程度でまとめている再生回数の多いオススメのトランス曲動画も色々聞いてはみたがどうも世間で人気のある、支持されているトランス曲と前回リストアップした様な自分の好むトランス曲は違うという事が良く分かった。Youtubeで再生回数が多いのは大抵がダンスホールでかかるような踊れる曲である事が多い。自分の様に家でリラックスして聴くのとは違う系統らしい。
最近は当たりも殆ど無いのでBeatportで曲を探すのもちょっと疲れてしまったのだが流石に自分の好みの系統のトランス曲がリストアップした十数曲に留まる筈は無いので気長に探してみたいと思う。なお2番目の「The SUN」のリンクだけ何度貼りなおしても視聴できないので聴きたい場合はリンク先のサイトへ。
続き最近聴いている音楽 vol.3
]]>
-
『プリチャン』と『アイカツ』を取り合えず総括
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-04-01
『スター☆トゥインクルプリキュア』が始まり『キラッとプリ☆チャン』と『アイカツフレンズ!』が2年目を迎えた。シリーズ16年目となる『プリキュアシリーズ』。『プリティーリズム』『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』と形を変えながらも一貫した作品として継続しているシリーズ8年目の『プリティーシリーズ』。『アイカツ!』『アイカツスターズ!』『アイカツフレンズ!』とそれぞれ独立した作品として生まれ変わりながら7年目となる『アイカツシリーズ』。この三者が顔を揃えるのも今年で7年目。私は『アイカツ!』第68話(2014年2月6日放送)からこの3作品を観ているので今年で丁度5年目となる。月日が経つのは早いもので毎週3DCGのライブステージに関心しながら熱心に記事を書いていたのが今となっては懐かしい限りである。と書いてしまうと今後もう書く気が無いのかと言われそうだが正直な所最近はその情熱も冷めつつある。あの時の様に文章としてアウトプットしなければ収まらないような情動を感じさせるライブステージに出会う事も殆どなくなってしまったからだ。
アニメ
smith
2019-04-01T16:56:28+09:00
私は『アイカツ!』第68話(2014年2月6日放送)からこの3作品を観ているので今年で丁度5年目となる。月日が経つのは早いもので毎週3DCGのライブステージに関心しながら熱心に記事を書いていたのが今となっては懐かしい限りである。と書いてしまうと今後もう書く気が無いのかと言われそうだが正直な所最近はその情熱も冷めつつある。あの時の様に文章としてアウトプットしなければ収まらないような情動を感じさせるライブステージに出会う事も殆どなくなってしまったからだ。
7年も継続していれば3作品ともその形態は移り変わる。そもそも対象が女児向けのコンテンツである以上サイクルが早いのは当然であり日の目を見ないモノ、陰りを見せるモノは市場から淘汰される道を辿る。それはシリーズ16年目を迎える『プリキュアシリーズ』が今では作品毎のサイクルを完全に1年ペースで行っている事からも明らかである。
1年のサイクルで作品を完全に刷新させている『プリキュアシリーズ』、世界観を地続きにして異なる作品毎でも同じキャラクターや設定を継続して登場させる『プリティーシリーズ』、サイクルは異なれど作品毎に全てを完全に刷新する『アイカツシリーズ』。アニメ以外の玩具やアーケード筐体の動きも含め正に三者三様とも言えるその形態の移り変わりは見ていて中々面白いものだった。
また、作品が一新されれば当然監督も変わるもので特に『プリティーシリーズ』と『アイカツシリーズ』の監督交代による作風の変遷も興味深いものがあった。『プリキュアシリーズ』に関しては様式美、不文律とも言える部分が根幹に存在しているので監督が変わろうとも作品毎のテイストというのは実はそんなに違いは発生しないが他の2作品は手探りで進めている部分も多く作品毎にその方向性は大きく異なる。『プリティーリズム』『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』では菱田正和、森脇真琴、博史池畠。『アイカツ!』『アイカツスターズ!』『アイカツフレンズ!』では木村隆一、佐藤照雄、五十嵐達也とそれぞれ交代している監督の数も同じというのも面白い。
『プリティーシリーズ』は菱田正和と森脇真琴という強すぎる個性によって7年間続いたが『キラッとプリ☆チャン』からは博史池畠によってシリーズの顔とも言えるそのアクの強さは一旦リセットされる。キャラクターの性格や言動は抑えられ少年漫画的とも言えた対立構造に近いシリーズ構成は無くなり明確な問題解決や危機意識も無く描かれるのは日常生活が中心となった。アイドルがライブステージを行う事が作品の至上命題ではなくなり時代に合わせるかのようにYoutuber的な個人からの配信へとシフトした事によって、これまで存在していたキャラクター毎のパワーバランスという概念がほぼ消失する形となったのは大きな変化である。ただしこれによって劇中でアイドルがライブを行う事の必然性が無くなり『プリチャン』自体がライブステージに拘る、従来の歌って踊るアイドル像を主人公達が目指す理由が無くなるという構造上の問題点が浮き彫りにもなってしまったが。
そのため『キラッとプリ☆チャン』はYoutuber的な配信を中心とするプリチャンシステムによって弱肉強食のピラミッド構造だった従来のシリーズから競争を必要としない個人の活動へとパラダイムシフトを迎えたにも関わらず作品自体はアイドルがライブステージを行う事に縛られているというジレンマを抱えざるを得なくなっている。これはプリチャンというコンテンツ自体がそもそもライブステージを遊びの目的とするアーケード筐体を中心に展開されているから仕方の無い事なのだが。
『キラッとプリ☆チャン』のアニメは日常生活の中で配信する事を楽しむ事を主眼に描かれるが、このジレンマによって「ライブステージでトップアイドルを目指す」という目的意識のないまま何故か主人公たちがアイドルの格好をしてライブを行う事になり、従来のアイドル像は主人公達の日常生活における目標ではなくなった事によって物語全体が特に目的意識の無い散文的なものになるという問題を抱える事になる。従来の様にトップアイドルを目指して勝敗を競うという物語構造は確かに話としてはわかり易いが恐らくプリチャンは意識的にそこから脱却しようとしたのだろうとは思う。Youtuber的な配信をアニメで扱うという点は興味深いしそれによって物語の構造自体も従来に無い新しいものを生み出す事が出来るとも思う。
しかし1年目を終えた現時点で配信だからこそ生み出せた面白さや醍醐味という様なものが見出せたかと言うと残念ながら私には見えなかった。所々悪くは無い、面白いと言えるものはあったが配信という形式が面白さに直結する事は殆ど無かった。プリチャンという物語全体にしても配信という新しい要素を入れながらも結果として最終的にはアイドルのライブステージで雌雄を決するという従来と同じ形式に囚われる事となってしまった。『キラッとプリ☆チャン』のアニメがアーケード筐体に対してどの程度制作上の縛りがあるのかは分からないが、配信する事を取り上げた以上やはりそこから生まれるダイナミズムによってもたらされる面白さを求めてしまうものである。1年目は手探りで進めている印象が強く博史池畠もまだ監督としての経験を積んでいる途中だと思うが2年目ではVtuberが物語に大きく絡んでくる様子なのでこれから面白くなっていく事に期待したい。
一方の『アイカツシリーズ』。
こちらも『プリチャン』同様2018年からの新シリーズ『アイカツフレンズ!』は五十嵐達也が監督を務める新しい作品として生まれ変わった。従来の様に学校でアイドルとして養成されトップアイドルを目指して切磋琢磨する路線は継続つつも世界観や設定は一新され今作ではタイトルの通りフレンズ、つまり2人1組でのアイドル活動を中心に描かれるようになっている。本作については以前監督の五十嵐達也について言及しているので興味がある人は読んで頂ければ。
・『アイカツ!』第133話における五十嵐達也のコンテ・演出について。
・『アイカツフレンズ!』 の演出について
前作『アイカツスターズ!』については上記の記事に書いた様に私にとってあれは存在を否定したい、認めがたいモノであったため『アイカツ!』の演出でその頭角を現していた五十嵐達也が監督する『アイカツフレンズ!』には確かな希望を抱いていたのだが、結論から言えば本作もまた同じ轍を踏む運命を迎える事となってしまった。
思えば本作のスーパーバイザーに木村隆一の名前があった時点で気付いておくべきだったのかもしれない。『アイカツ!』のアニメ第1期がこれだけ支持を得ているのは当時スーパーバイザーを務めていた水島精二による手腕による所が大きい という事実はファンにとって今更説明する事ではないだろう。彼が抜けた後のシリーズはその残された遺産を切り崩して遣り繰りしていたため、後になればなるほど綻びが目立つ様になってしまったのは観ていた人なら分かる筈である。主人公が入れ替わり過去の遺産が使えなくなった『アイカツ!』第3期以降の第102話から178話は木村隆一が監督としての個人の資質が問われるシリーズでもあった。
新しい物語が紡がれる様というのはいつになっても新鮮なもので第3期の序盤、新たな主人公である大空あかりが同じアイドル仲間を集めトップアイドルを目指して修練に励む姿は最初の内こそ面白く観られたものだった。次々に登場する新しいキャラクター達によって紡がれる物語は星宮いちご達には無かった魅力と未来の可能性を予感させるものだった。3クール目までは。
先の過去記事にも書いたので繰り返しはしないがキャラクター主導の作品において物語が先行する事ほど悲惨なものは無い。最終的にメインキャラクターが8人となった第3期以降だがその描かれ方は第1期の頃とは大きく変化している。『アイカツシリーズ』は基本的にネガティブなキャラクターが存在せずその言動も前向きである事が多く、挫折や苦難に立ち向かいながら皆がトップアイドルを目指し互いに足をひっぱる様な事も無く常に支えあい協力し合う様に描かれている。
第1期の頃はそれを根幹に据え各キャラクターの個性で肉付けし物語で味付けしていくという構成が基本だった。先にキャラクターありきで物語はキャラクターの個性によって紡がれるものであり、物語はキャラクターを描く土台に過ぎないものだった。これはノスタルジーや贔屓目で見ているわけではなく第1期はその点でキャラクターの掛け合いが物凄く面白いので結果としてそれが物語自体の面白さに繋がっているという構造になっていたのである。
特に第1期2クール目までの頃は主人公達がトップアイドルを明確に目指している状態ではなく、アイドル養成学校で過ごす日常がメインに描かれているという物語全体の方向性や動機が固まっていない状態でありながらもキャラクターの掛け合いという動力源だけで面白さを表現できているのは驚嘆すべきという他無い。誇張抜きで第1期は未だに観返すくらい面白さに溢れている。
第2期になると主人公達が在籍する学校とは別にライバルのアイドル校が登場する事によってアイドル毎の対決要素が徐々に色濃くなるため初期の様な牧歌的な日常回は次第に少なくなっていく。と言ってもシリアスになる訳ではないが初期の頃の様にキャラクターの個性が物語を紡ぐ事は少なくなりトップアイドルを目指すという物語が先行する構造へとシフトする様になった。そして第2期のキャラクター達が卒業し一新された第3期は前述した事も含め初期の頃の様なキャラクターの個性が物語を紡ぐ形に戻りつつあったのだが、ここで水島精二無き『アイカツ!』における 木村隆一の手腕が問われる事となる。
『アイカツ!』の世界は常に優しい世界を描いている。そこにはネガティブなキャラクターや言動は無く皆が常にお互いの事を考えている。だがそれは人の言動が制限されるという事ではなくその優しい世界の中で競い、争い、笑い、ふざけ合いながらも時に不平不満や皮肉、愚痴を漏らしてしまうものでありキャラクター主導で描いてきた『アイカツ!』第1期はそこを真摯に描こうとしていたからこそ面白さに満ち溢れていたのである。アイドル活動は馴れ合いではない。そこを履き違えてしまったのが第3期以降である。
先のリンク先でも書いたが、第3期は2クール目までは新しい要素によって紡がれる物語の新鮮さからあまり気にならなかった点が3クール目から徐々に目立つ様になり先の「履き違えてしまった」部分が表に現れた事で、それ以降はキャラクターの描写が金太郎飴の如く何処をとっても同じという異様な状態が続くことになる。皆がお互いの事を常に認め合い否定しないため誰もが同じ表情をし、同じ言動を行い、同じ結論に達する。均質化した登場人物達が互いの個性から物語を生み出せる筈も無く、話が進むにつれキャラクター主導ではなく物語主導でキャラクターが描かれるようになっていく。その様は本当に異様なもので画一化、記号化された言動を繰り返すキャラクター達が紡ぐ物語はまるでタチの悪い人形劇の様だったのを今でも覚えている。均質化した言動を繰り返す以上キャラクターの成長など当然無くそこには停滞した物語だけがただただ無限に垂れ流されるのみである。
『アイカツシリーズ』も『プリティーシリーズ』同様アーケード筐体のプロモーション上による制約の多い作品である。本作だけを以って木村隆一の監督としての評価を断言する事は難しい。しかし『プリティーリズム』の菱田正和と『プリパラシリーズ』の森脇真琴の両名がそれぞれ3年間シリーズを担当し共に今もなお評価されているという事実をみると木村隆一に女児向けアニメ作品、もっと言えば長期シリーズを監督する能力があったかどうかは推して知るべしだとも言える。
では『アイカツフレンズ!』はどうなのか。
上記のリンク先の記事にある通り、本作については第11話『告白はドラマチック!』辺りまでは比較的気に入っていたのである。荒い部分や多少気になる部分もありつつも全体的に手堅い作りで好感が持てるので『アイカツ!』第1期には敵わないまでも本作なりの面白さは生み出せるだろうと。だがそうはならなかった。監督の五十嵐達也は個人的に好きな演出家だ。この人が演出、絵コンテを担当した回は基本的に面白い話が多くキャラクターの演出も興味深いものが多い。だから少なくとも監督としてキャラクターの演出についてはまともなものになるだろうとは思っていた。
しかし蓋を空けてみるとかつて五十嵐達也が『アイカツ!』で見せていた様なキャラクターの感情の機微は微塵も無く、そこには『アイカツ!』第3部以降で見た均質化したキャラクター達が紡ぐ人形劇がまた繰り広げられていたのである。おまけに『アイカツスターズ!』における最大の問題点であり失敗の元凶でもある「主人公だけが持ちうる特殊能力」が『アイカツフレンズ!』でも「アイカツゾーン」として再び登場し、不必要に物語をかき乱し混乱させるという同じ事を繰り返すにわかには信じがたい有様となっていた。何故こうなるのか。
アイカツゾーンがアーケード筐体に登場するのかは分からない。しかし視聴者からすれば現実的な世界観に根ざした日常生活を描く作品だと思っていた『アイカツフレンズ!』に突如選ばれたものだけに発現する「アイカツゾーン」と呼ばれる異能の力が登場するのだからたまったものではない。恐らくあれはアスリート選手等が体験する極度の集中状態であるゾーンをアイカツ世界にアレンジしたのだろうが、問題は肝心のアイカツゾーンについて碌に説明も無いまま途端にそれがアイカツフレンズという世界の中で当たり前に存在する事象であるかの様に扱われ物語が進行していく事である。一体あれは何だったのか。
『アイカツスターズ!』同様それが存在する事が一部の人間同士でしか認識されないのに物語上の核として突然扱われ視聴者、登場人物、物語の全てが突然出てきたたった一つの要素に振り回されるという異常な状態に置かれるその様は悪い冗談でしかない。『アイカツスターズ!』にしろ『アイカツフレンズ!』にしろあの異能の力が物語上どの様な意味があり、全体の構成の中でどういった役割を果たし、どの様な効果を生む事が出来たのかを誰か説明してもらえないだろうか。理性的、論理的にアレが意味のあるものだったと誰か説明してくれ。私には無理だ。
結局アイカツゾーンは主人公とトップアイドルのラブミーティアのみに発現し、その効果はおそらくライブステージのパフォーマンスを向上させるのだろうという理解を視聴者の手に委ね、論理的な説明は一切放棄される。そして物語の後半はトップアイドルに君臨するラブミーティアを超えるという従来のピラミッド型の対決構造へとシフトしていく。前述したキャラクターの個性の点については相変わらずで皆がお互いを常に褒め称え認め合いその関係性が殆ど変化しないまま物語だけが先へ先へと進んでいくので「変わらない物語」が延々と続いていく様が常態化してしまうのである。そして変わらないどころか既に解決している、乗り越えている問題や危機意識が何度も登場するのでその度に登場人物の成長がリセットされあたかもその問題解決によって前に進んでいるかの様な堂々巡りにも陥っている。そうして主人公達の碌な積み上げも無い中で同じく完全に描写が不足しているトップアイドルのラブミーティアは消化試合の如く第42話という速さでその座を明け渡す事となる。何の感慨も無い。
『アイカツフレンズ!』はラブミーティアを超える事が目的化した物語だ。私が見たかったのはそこではなかった。彼女らがトップアイドルという未だ見ぬ境地を目指して奮闘するその生き様が見たかったのだ。『アイカツ!』の星宮いちごが神埼美月に憧れたのはトップアイドルだからだろうか?いやそうではない。トップアイドルである神埼美月もまた自ら追い求める憧れを抱いていたのであり、だからこそそれを感じ取った星宮いちごはその背中を追いかけたのではなかったか。
『アイカツフレンズ!』における設定やキャラクターの言動等の脚本上の整合性や問題点は山ほどあるが今はそこには目を瞑ろう。本当の問題はそういったものではない。自ら選択しその道を進んでいく生き様、それがあるかないかである。それはキャラクターの個性から物語を紡ぐ事と同義である。『プリキュアシリーズ』は言わずもがな『プリティーリズム』『プリパラ』そして『アイカツ!』第1期第2期はその点だけは常に一貫していた(面白かったかどうかはともかく)。では『アイカツフレンズ!』が1年目を終えた今振り返ってみて本作で一貫していたものが何かあっただろうか。そう一つだけある。「トモダチカラ」だ。
主人公友希あいねは目指せ友達100万人を合言葉に日々アイカツに励んでいた。ライバルもトップアイドルもカードも友達。人との繋がりがあいねの力となりアイドル活動を後押しする。だがそれが物語上体の良い常套句以上の役割を果たす事があっただろうか。結局友達になる事そのもの、ライバルと友達になるその意味等は深く追求されず増やした友達というのは最終的に単に数が増えた事実以上の意味を持たなかった。第42話でトップアイドルに上り詰めた友希あいね達が第50話までの残された時間で一体何を成し遂げたか見ていた人は覚えているだろうか。そこに『アイカツフレンズ』であった意義を見出すほどのものがあったか、トップアイドルが早々に退場した意味はあったのか、友達を作るという命題が本作においてどの様な意義を持っていたか果たして示されたのか。理性的、論理的に語る事が出来る人がいるなら教えて欲しい。私には無理だ。
子供向けと子供騙しは違うという言葉がある。『アイカツ!』第1期は間違いなく子供向けの作品だが子供騙しではないという点で私は老若男女に勧められる作品だと胸を張って言いたい。では『アイカツフレンズ!』は子供騙しの作品なのか。制作に携わる人間が不真面目だったり不誠実でいい加減なのかというとそれは違うだろう。本作の場合制作側にアイドルに興味を持っている人間が少なかった事が原因なのではないかと思う。『アイカツ!』のスーパーバイザーを努めた水島精二は幾つものアイドルのライブに実際に観に行くくらいのアイドル好きだ。『アイカツ!』がアイドルモノとしても抜群に面白いのは間違いなく水島精二の功績が大きいのだろう。むべなるかな、その水島精二が抜け、木村隆一が裏方に回った本作が一本のアニメとしてもアイドルモノとしても面白さに欠けてしまったのは必然とも言えるのではないか。
五十嵐達也が監督になった事で演出面には期待していたのだが彼が全50話の中で演出なりコンテに携わったのは数えるほどしかない。そもそもかつて確かに存在していた五十嵐達也らしさと言っていいあの繊細な演出は『アイカツフレンズ!』になってからというもの第1話以降全く感じられなくなってしまったのだが、もしかしたら五十嵐達也は監督として作品を上手くコントロール出来てなかったのかもしれない。何故なら『アイカツフレンズ!』は『アイカツ!』第4期の頃と全ての悪い点において作風が驚くほど良く似ているからだ。だがそれもいずれ分かるのだろう。4月からは五十嵐達也が引き続き監督を務める『アイカツフレンズ!』の第2期が始まるのだから。ただ、正直もう私には『アイカツ!』への興味が殆ど残っていない。『アイカツフレンズ!』も後半は完全に惰性で観ていただけで第2期も全く期待はしていない。でもきっと観続けるのだろう。いつか面白くなると信じて祈り続けたあの悪名高き『アイカツスターズ!』の様に。
続き『アイカツ』よ、さらば。
アニメCG関連過去記事
アイカツ!
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおい「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレ「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやび「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
・『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」3DCGライブ演出
プリパラ
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.1
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.2
・「プリパラ」第22話「HAPPYぱLUCKY」におけるライブステージ演出。
アイドルタイムプリパラ
・『アイドルタイムプリパラ』にみる3DCGモデルの変化・変遷
]]>
-
謹賀新年
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2019-01-01
明けましておめでとう御座います。本年も宜しく御願い申し上げます。
日記
smith
2019-01-01T12:52:27+09:00
]]>
-
最近聴いている音楽
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2018-11-07
最近Beatportを良く利用している。元々ハウス系の音楽が好きで以前からトランスに興味はあったが曲の探し方がイマイチ分からず何となく放置していたのだが、このサイトを知ってからというもの割と買い漁る様に聴いている。Beatportはハウス系の音楽に特化した音楽配信サイトである。ハウス、ダンス、テクノ、エレクトロ、トランス等を中心にそれぞれのジャンル毎に数万曲(それ以上かも)程度の楽曲が配信されている。このサイトを使うきっかけになったのはその使い易さだ。まずサイトが軽い。無駄な広告や動画アニメーションの類が無く音楽を買う事のみに特化しているため読み込みも早く何より視聴が物凄く便利なのである。常にサイトの下部に視聴用のバナーが出ておりいつでも視聴が可能になっており再生しながらページを移動しても曲が途切れないようになっているのである。視聴しながらカートに入れて決済まで出来るのは思わず感動してしまった。今までにハイレゾ配信サイト等で曲を購入した事はあるがこんなにも音楽を聴いて購入するまでの流れが快適なサイトは初めてだった。ネット上での物を買うという行為におけるサイトの快適性、ユーザーインターフェイスが如何に重要かという事を私はBeatportで痛感してしまった。サイトが便利だと買い物が本当に楽しい。
音楽
smith
2018-11-07T23:41:51+09:00
Beatportを良く利用している。元々ハウス系の音楽が好きで以前からトランスに興味はあったが曲の探し方がイマイチ分からず何となく放置していたのだが、このサイトを知ってからというもの割と買い漁る様に聴いている。Beatportはハウス系の音楽に特化した音楽配信サイトである。ハウス、ダンス、テクノ、エレクトロ、トランス等を中心にそれぞれのジャンル毎に数万曲(それ以上かも)程度の楽曲が配信されている。
このサイトを使うきっかけになったのはその使い易さだ。まずサイトが軽い。無駄な広告や動画アニメーションの類が無く音楽を買う事のみに特化しているため読み込みも早く何より視聴が物凄く便利なのである。常にサイトの下部に視聴用のバナーが出ておりいつでも視聴が可能になっており再生しながらページを移動しても曲が途切れないようになっているのである。視聴しながらカートに入れて決済まで出来るのは思わず感動してしまった。
今までにハイレゾ配信サイト等で曲を購入した事はあるがこんなにも音楽を聴いて購入するまでの流れが快適なサイトは初めてだった。ネット上での物を買うという行為におけるサイトの快適性、ユーザーインターフェイスが如何に重要かという事を私はBeatportで痛感してしまった。サイトが便利だと買い物が本当に楽しい。
Beatportは曲のタイトル、アルバム、作曲者、レーベル、ジャンル等でそれぞれ検索可能になっておりリリース日や曲のキー、BPM等も表示されるようになっている。自分の好きな楽曲の傾向なども分かるという事だ。そしてレーベルやアルバムが多数ある事によって大量の楽曲が存在しているため自分の好みの楽曲を探すという行為が非常に難しい。視聴は快適に出来るが兎に角楽曲の数が多いので総当り的に視聴を行っていかないと目当ての楽曲に行き着けないようになっている。気になった曲が合ったら作曲者のページに移動して楽曲の一覧から視聴を開始してアレンジャーが居ればそこからまた飛んで楽曲の視聴をしてー、という具合に視聴の幅は際限なく広がっていく。快適であるが故にそのアーカイブの膨大さに眩暈がしそうになる程。
なので今回はここ数ヶ月に亘って聴いてきた中で選び抜いたものを紹介しようと思う。下の楽曲は殆ど似た傾向のものばかりなのでどれか気に入れば大体ハマる筈だと思う。視聴が出来るのは基本的に楽曲の一番旨味の多い「間奏」部分となっておりどれもメロディアスなものに仕上がっている。因みにBeatportはmp3(320kbps)とAIFF、そして何とロスレスのWAVが全楽曲で選択できる標準仕様となっているのも非常にポイントが高い。もし圧縮音源のみの配信サイトだったなら使うことは無かっただろう。なお現在セール中だがBeatportは定期的にセールを行っているので今回買わなくともまた直ぐにセールが行われるのを待てば良い。大体月2回位セールがある。
・vol.2
・vol.3
]]>
-
趣味の継続、興味の持続
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2018-08-14
『アイカツフレンズ!』が放送を開始してから4ヶ月が経過しようとしてる。以前の記事にも書いた様に監督である五十嵐達也の作品全体を纏め上げる手腕には若干の不安がありつつもその行く末にはそれなりの好意的な展望を抱いていたものだった。実際第1話に関しては脚本演出共に堅実で順調な滑り出しとなっていたしその後もあの『ア〇カ〇ス〇ーズ!』と比べたら見違えるような進歩を遂げていた。しかしここ数話、そして作品全体を振り返ってみるとまだ払拭し切れていないというか、はっきり言ってしまうと蝕まれているレベルでの根深い問題が残っている事に否応なく気付かされてしまう。
アニメ
smith
2018-08-14T22:38:24+09:00
以前の記事にも書いた様に監督である五十嵐達也の作品全体を纏め上げる手腕には若干の不安がありつつもその行く末にはそれなりの好意的な展望を抱いていたものだった。実際第1話に関しては脚本演出共に堅実で順調な滑り出しとなっていたしその後もあの『ア〇カ〇ス〇ーズ!』と比べたら見違えるような進歩を遂げていた。しかしここ数話、そして作品全体を振り返ってみるとまだ払拭し切れていないというか、はっきり言ってしまうと蝕まれているレベルでの根深い問題が残っている事に否応なく気付かされてしまう。
アイカツシリーズは第1期、第2期、第102話から第178話までの『あかりGeneration』。そして一新した『ア〇カ〇ス〇ーズ!』全100話と5年以上続いており、作画の方向性やそれに伴い演出が年々変化している。『アイカツフレンズ!』は『あかりGeneration』の頃の作画に似ており作画監督も当時のアニメーターが参加している。そのため演出やキャラクターのアニメーションの方法も『あかりGeneration』の頃のニュアンスがかなり残っている。問題はこれだ。
『あかりGeneration』は2クール目くらいまでは良かった。新しいキャラクターが登場し、新曲が披露されライブステージはさらに磨きがかかり新たに紡がれる物語は新鮮だった。しかし作画の方向性が変化した弊害からか絵柄自体は洗練されクオリティは上がったもののキャラクターの表情のアニメーションは単純化され、それまでのアイカツシリーズでは出来ていた感情の機微が殆ど失われる様な状態となってしまった。
記号的な表情が増え判を押した様に同じ表情が常に並び抑揚がまるで無く人形が動いているかのような不気味さが生まれていたのである。誰もが同じ様な表情しかせず微細な感情の変化が無くなってしまった事によりそのキャラクターが何を考えているのかが全く表現出来ないので、内面が描写されないままキャラクター達が悩み努力し成長するという異様な状態に陥ってしまった。主人公である大空あかりについては『あかりGeneration』以前から本編に登場していた事もあり視聴者の感情の手がかりになるレベルには描写されていたが、他のキャラクターについては絶望的なレベルで描写が不足しており何を考えているか全く分からなかった。
こういう心理状態なのだろうという推測は出来ても明確にそういった描写が無いので当時は本当に困ったし何より居心地が悪かった。五十嵐達也が演出を担当した回 等は良かったが基本的には正直かなり厳しいものが殆どだった。なので第102話以降の『あかりGeneration』に関しては内面が明確に描写された天羽まどか以外のアイドルは好きになれなかった。
今だから言うが当時は『あかりGeneration』を観続けるのが本当に苦痛だった。視聴中にキレた事が何度もあった。あまりにイライラし過ぎてテレビのリモコンを何度も床に叩き付けそうになったが、絶対に「つまらない」という言葉だけは使わない様にしていた。その言葉を言ってしまったら全てが終わってしまうので「いつか面白くなる、いつか面白くなる筈」と胸の中で念仏を唱えるように自分に言い聞かせながら観続けていた。勿論第25話以降の全てが駄目だったワケでは無い。素直に良いと思える話もあったし今では『あかりGeneration』を観て良かったと思っている。
閑話休題。
『アイカツフレンズ!』は『あかりGeneration』の頃の演出をそのまま引き継いでいる。つまり抑揚の無い記号化、単純化されたキャラクターの表情アニメーションである。具体的に言うと先ずアイドルの全キャラクターに笑顔が多い。常に笑顔と言っても良い位異様に多い。次にネガティブな事を殆ど言わない。否定的なニュアンスという意味だけでなく弱気を吐くような台詞も殆ど無い。あっても大抵笑顔で言う事が殆どである。
そして表情の記号化、単純化は感情の記号化、単純化に繋がるので全員が判を押したような表情しかしないようになっている。現在『アイカツフレンズ!』ではメインとなるアイドルが4人活動しているがその4人共同じ様な喜怒哀楽の仕方を見せるのである。これは不気味だ。暖簾に腕押しというかどんなシチュエーションになろうが金太郎飴の様に4人で同じ表情が繰り返されるので物語自体も抑揚が無くなっていくのである。これは『あかりGeneration』の頃と全く同じだ。
ネガティブな発言をなるべくしないとか常に笑顔でという方向性事態は別に問題ではない。そもそも『アイカツフレンズ!』は女児を視聴者として想定しているのだからアイドル達がポジティブに前向きにアイドル活動をしていくのは寧ろ当然の事である。しかし結果としてそのせいで逆に全てに抑揚が無くなってしまうという現象が明らかに「また」起こっている。『あかりGeneration』の頃もそうだったが全体的に作画が洗練され絵柄も綺麗になり一見したらクオリティは上がっているように見える。しかし作画が整った分アニメーションとしては寧ろ後退してしまっている。
この記事を書く前に『アイカツ!』の第18話位までをピックアップしながら観返してみたのだが、初代の頃はアニメーションとしての幅が本当に豊かである事が良く分かる。喜怒哀楽に無数のバリエーションがありどのキャラクターもその性格に基づいて台詞が書かれており物語上からくる書き割りの様な台詞が全く無いのである。何より会話のテンポが良いので観ていて気持ちが良い。陳腐な言い方になるがキャラクターが本当にイキイキとしている。そして絶望的なまでに面白い。面白過ぎて観る度に溜息をついてしまう程。
『アイカツフレンズ!』は会話が常に一本調子なので会話の抑揚の無さが物語全体の抑揚の無さに繋がってしまっている。所々良い素材が出てくるのに大して生かされないまま全ての要素が1話で完結してしまうので『アイカツフレンズ!』という物語の骨子の部分が何も無いままだらだらと話だけが前へ進んでしまっているのは本当にどうにかした方が良い。
『アイカツ!』では主人公である星宮いちごとトップアイドルである神崎美月の関係が根底に流れていた。『あかりGeneration』ではその星宮いちごに憧れる大空あかりとの関係が根底に流れていた。では『アイカツフレンズ!』の根底に流れるものとは何か。主人公である友希あいねは何のためにアイドルを「続ける」のか。そして何を目指しているのか。正直私はもう現段階で視聴意欲がかなり落ちている。『あかりGeneration』程では無いにせよ、このまま一本調子で抑揚の無い物語が描かれ続けるのはあまりいい気がしない。現在本作以外にも『キラッとプリ☆チャン』『HUGっと!プリキュア』も観ているがこちらもあまり褒められたものではないのでそろそろ現状を打開する様な起爆剤が欲しい所である。
]]>
-
『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」の3DCGライブ演出
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2018-05-20
溜まりに溜まっていた録画アニメの消化作業が漸く終わり『アイカツフレンズ!』『HUGっとプリキュア!』『キラッとプリ☆チャン』の3作品共にリアルタイム視聴に追い付く事が出来た。やはり最低でも録画したその週の内に観ておくべきだと痛感。
アニメCG
smith
2018-05-20T11:09:08+09:00
『アイカツフレンズ!』の劇中においてトップアイドルグループであるラブミーティアのメンバーの一人明日香ミライ。アイカツ伝統のお約束として今作においても主人公である友希あいねはデビューしたてでありながらトップアイドルと仕事を共にする機会を得る事になる。
『アイカツフレンズ!』ではその名の通り今作ではユニット組むという事がアイドル活動において非常に重要である事を示している。それはトップアイドルのラブミーティアがユニットグループの形をとっている事からも明らかである。しかしもう一人の主人公である湊みおや他のアイドルをみるに現段階では個人での仕事を基本としているためユニットでのライブステージの機会はまだ少ない。他のメンバーの配分も鑑みるとユニットメインで話が進んでいくのはもう少しあとになりそうである。
今回第7話ではラブミーティアのメンバーの一人である明日香ミライのソロライブとなったがこれが中々興味深いものになっていた。今作では前作に引き続き3DCGのライブパートはサンライズのCG制作部である「サンライズ D.I.D.スタジオ」が担当しており、前作ではそれまで担当していたサムライピクチャーズの後釜を務めるという事もあってハードルが上げられてしまう形となってしまい、最初の方こそそのあまりの技術力の差に(というよりノウハウか)不安な部分もあったが2年間に渡る制作期間において徐々にではあったが3DCGライブパートも進歩を見る事が出来た。
二人以上のライブになるとモーションを筆頭にまだまだ不安定な部分が目立つが少なくとも幾つかのソロライブにおいてはサムライピクチャーズ時代に引けをとらないものに仕上がっていると思う。
アイカツフレンズ! 第7話「ミライへ続く道 」
明日香ミライ /「アイデンティティ」
バニーパレードコーデ / Milky Joker
VIDEO
明日香ミライの衣装はその外見とは対照的なポップ系で、従来の系統で言えば『アイカツ!』の傑作衣装の一つである一ノ瀬かえでが着ていたマジカルトイのピエロカーニバルコーデに準じたものになる。派手な色使いで装飾が多くボリュームのあるアンダースカートに多層のスカートを加えており、動きやすくアクティブな印象のある衣装である。
左が明日香ミライ。右が一ノ瀬かえで。しかしこうしてみるとサムライピクチャーズのモデリングの精度の高さに驚かされる。何せ左はサンライズ D.I.D.スタジオが2年以上制作を続けてきた成果なのに対して右は『アイカツ!』34話の時点であり、サムライピクチャーズが『アイカツ!』に関わってまだ半年程度しか経過していない頃のものだからである。
勿論どちらもセルルックの方向性が異なるので一概にどちらが優れているとは言えないしベースとなる元のデザインセンスの問題もある。だがサムライピクチャーズが結果としてあのレベルまで到達してしまった今となっては寧ろこの差はあって然るべきとも言えてしまうのが恐ろしい。しかしながら今回久しぶりにピエロカーニバルコーデを見たが本当にこの衣装は良く出来ている。全体のシルエットラインが本当に美しい。
明日香ミライのバニーパレードコーデはボリュームのあるドロワーズ(バルーンスカート?)にスカラップの入った裾のスカートとフレアスカートを上から重ねており、スカートがそれぞれ独立して揺れるようになっている。サンライズ D.I.D.スタジオは『アイカツスターズ!』の最初の頃から揺れ物に関しては問題なく処理されているのだが素材の柔らかさまではまだ表現できないのか、特にスカートのフワっとした表現にはまだまだ完全の余地がある。というかスカートというより厚手のビニールにしか見えないのでこの辺りはそろそろ頑張って頂きたい所。
これに限らずスカートは揺れてはいるもののまだ上下に限定的であり回転した時の左右への揺れや重量表現が少ないのでダンスの動き自体も固い印象を与えてしまう。今までに何度か言っているが衣装が揺れる、または揺れ物が多いという事はそれ自体がダンスの一部となって躍動感に寄与する事になるので揺れて損は無いのである。具体的には『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」における3DCGライブ演出。 に書いているので暇な人は。それにしても歴代のアイカツ衣装の中でガーターベルトを着用しているのは今回が初なのでは・・・?
明日香ミライの「アイデンティティ」のライブステージはサーカスがモチーフとなっている。テントを模した建物の中で広い円柱状のステージの周りに観客が集い、外縁のステージでは動物達が玉乗りや火の輪潜りを行う。暗闇の中団長である明日香ミライの頭上からスポットライトが降り注ぎ眩い光と共に幕が上がる。正にサーカス。
幕が上がる演出とはそれに見合う演者に許されるものでありまさにトップアイドルである明日香ミライに相応しい登場シーンだが、それ以上に幕が上がる事でそれ自体が照明となりミライを逆光で照らしてそのシルエットが浮かび上がるというこの演出はサンライズ D.I.D.スタジオが手がけてきたライブステージの中でも屈指の出来と言えるものになっている。これだけでライブステージが始まる高揚感を高めており何よりビジュアルとして本当に溜息が出るくらい美しい。思わずここだけでも何度でも見てしまう程。
アイデンティティのダンスは表拍で常に身体を揺らしながらステップを踏む運動量の多いものとなっている。ここまで常に動いている振り付けはアイカツ史上でも稀である。その弊害として、特にAメロで頭でリズムを刻んでいる様な細かい動きが非常に多いので観る側が焦点を合わせ難いという問題点もあるがたまにはこういうのも良いと思う。衣装だけでなくダンスもポップ系の振り付けなので事前に抱いていた明日香ミライへのイメージが良い意味で裏切られる事となった。
アイデンティティの曲は転調が多くCメロでは曲調に合わせて照明が落とされ、サビでは途中から円舞曲に変わりそれぞれで曲調に合わせて振り付けも変化するようになっている。ここで目を引いたのが転調するCメロの「あ~斬新な響き」で左右に身体を揺らす部分なのだが(上画像)、膝の勢いと身体の伸ばし具合、揺れ初めから終わりまでの勢いの加速から減退の自然さ、それらによって表現される重心移動が本当に良く出来ており、ここだけでサンライズ D.I.D.スタジオのライブステージにおける進歩が良く分かるものになっている。以前ならこういうゆっくりとした動きに伴う身体の揺れや重心の移動は不自然さが露になっていたのだが少なくとも今回の様なソロステージでは違和感の無い動きに仕上がっている。ここの動きは本当に素晴らしい。
上画像の続く「♪きっとあれこれドレミレ カフェ・オ・レ♪」では照明が落ち響き渡る明日香ミライの歌声とスネアだけが刻み続けるこのサビ前の予感を感じさせる静寂が心地良い。曲調が奇抜なだけでなくそれが緩急を生む事に繋がっている。
最初は明日香ミライのダンスだけだが、曲が進むにつれ照明が変化したりエフェクトやオーラが追加され背景では動物達のサーカスが行われるなど一つのライブステージの中でも表情に変化が付けられているのもアイデンティティの大きなポイントである。多彩な表情を持つというのはまさにサーカスが持つ特色そのものでありライブステージそのものに大きな意味性が付与されているという事にもなっている。
背景のサーカスでは犬やライオン、像などが芸を繰り出す中、猿の様なシルエットが複数確認できるがこれは恐らく猿ではない。これだけ数がいながら鳴き声が全くしないという事もあるがここがサーカスであるという点が何よりの理由になる。これが人間だと仮定したとする。そしてサーカスで芸をする人間が一体何なのかと考えてみるとその答えはおのずと出てくるだろう。
アイカツのアニメのライブステージは基本的にアーケード筐体のライブステージをベースに制作されているのでアイデンティティも基本的には筐体の演出と同じである。だからアイデンティティのサーカスの要素が当初からそれを想定して制作されていたかは分からない。しかし人間を模した複数のシルエットが他の動物とは別のグループとして演出され様々な芸を披露している事、また骨格上でもあれらが猿に見えない事から彼らが「そういうもの」として演出されていると考えるのが自然だろう。何より歌詞にそれが如実に表れている。
アイデンティティの歌詞はアイカツ史上でも稀に見る興味深いものになっている。
赤色メロン パープルれもん
ピンクなうどん ワクワク“セ・ボン!”
ガイコツリボン 目玉のコロン
パンはシナモン いっぱいだもん
奇抜!独特! 唯一!特別!
並べてみるの ホメ言葉なの
アイデンティティ=自己同一性という名の通りその内容は個性に着目したものになっている。只管に韻を踏みながら表面的には奇抜な歌の様に聴こえるがその実は多様性について言及している事が読み取れる。
あぁ わたしだけのアモーレ
スキって素敵な I(あい)の合言葉ね
風(ふう)が変わって ぐるりぐるり楽しい
ちがっていいんだ ぜんぶ前代未聞
だからまわって くるりくるり“わたし”
私だけの愛、私だけのI。私を愛する愛(I)。変わっているという事実。そして変わっているという事が自分である事の証拠。だから変わっていても良い。それらが回りに回って自分自身を形成する。
みんなといっしょ みんなおそろい
それはとても大切なポリシー
わたしは異色 わたしだけでいい
それもとても大事なアイデンティティ
多様性の許容というのはともすれば価値観の押し付けにも繋がってしまう危険性がある。昨今のLGBTQ等の動向を見ている人には良く分かると思う。一人ひとり変わっているとはいえマクロな視点で見ればそれらはマジョリティやマイノリティという大枠で区別、差別されてしまってもいる。だからこそ他人と同じという事に価値を見出すのは悪い事ではないし、自分だけの個性を大事にするという価値観もアイデンティティにおいては重要な事である。どちらか一方を排斥するという事ではなくそれらの価値観は同居するものであり、だからこそ人が集団で居られるものである。
メッセージと言うのは直接的であればある程その分切れ味は増すが使い方を間違えるとその力は思わぬ作用を及ぼす。アイデンティティはポップな曲調と派手なライブステージで一見すると楽しいものではあるがその芯の部分にはとても人間的な要素が隠されている。何よりどちらでも良いしどちらでなくても良い、という個性というものに対する包容力の高さに温かみが感じられるし、その視座の高さはとても女児向けのアイドル曲とは思えないものだ。
興味深いのはアイデンティティの曲が今回意図的に使われたのかどうかという点である。第7話は明日香ミライが主人公のあいねと行動を共にしながらチガカワ=違ってカワイイという言葉を教えたりあいねの個性を暗に示す回なのだが、アイデンティティの曲やライブステージの構成は元々アニメを放映するよりずっと前から既に筐体で流れていたからである。前述したサーカスの「要素」や個性の言及含めてアイデンティティという曲が元々何を想定していたのか、今回第7話の制作において偶然曲と物語のテーマが一致したのか。何にせよこのアイデンティティのライブステージはアイカツ史上でも類を見ないものになっているのは確かである。
今回アイデンティティのライブステージを観た時はその高揚感から思わず顔が上気して言葉に表せないほど感動してしまった。先に書いた様なメッセージ性ではなく単純にライブステージのクオリティが高かったからだ。アイカツのライブステージにこれ程感動したのは実に2年振りである。アイデンティティのステージが終わった時は目頭が熱くなってしまいこの感覚も久しぶりだと感慨に耽ってしまうと同時に直ぐにライブステージを見直したくなる衝動に駆られるくらいの衝撃を受けてしまった。前述したライブステージの要素も大きいが何より自分の心に刺さったのはアイデンティティの曲それ自体でもある。兎に角曲が良い。今回の様なコード進行の曲はアイカツでは珍しいのだが正に自分の好きなメロディーラインだったので転調による変わった曲調も相俟って何度も聴きたくなる様な癖のある曲になっている。歴代のアイカツの歌の中でも屈指の名曲だと思う。多分これのためだけにBlu-ray BOXを買う事になるだろう。
現在第7話まで進んでいる『アイカツフレンズ!』だが、4人の主役キャラクターが揃いあいねが本格的にアイドルデビューした事により漸くアイカツとしてのスタート地点に立った事になる。以前書いたように脚本として見ると相変わらず無難な話が続いているのでそろそろ起爆剤となるようなエピソードが欲しい所ではある。期待していた五十嵐達也色も少々薄いので守る所は守りつつ適度に破壊して頂きたい。
アニメCG関連過去記事
アイカツ!
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおい「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレ「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやび「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
・『アイカツフレンズ!』 第7話 明日香ミライ「アイデンティティ」3DCGライブ演出
プリキュア
・ フレッシュプリキュア! のEDダンスについて
・ ハートキャッチプリキュア!のEDダンスについて
・ スイートプリキュア♪のEDダンスについて
・ スマイルプリキュア! のEDダンスについて
・ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
・ ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
・補足
・Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて
・『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現
プリパラ
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.1
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.2
・「プリパラ」第22話「HAPPYぱLUCKY」におけるライブステージ演出。
アイドルタイムプリパラ
・『アイドルタイムプリパラ』にみる3DCGモデルの変化・変遷
ラブライブ!
・「ラブライブ!」ライブシーンの3DCGの演出について
・「ラブライブ!」2期 第6話挿入歌「Dancing stars on me!」の演出。
アイドルマスター
・『アイドルマスター プラチナスターズ』におけるモデリングの変化・変遷について
・『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』の3DCGモデルについて
・アイドルアニメのCGライブパートランキング 2014
・『file(N)-project PQ』ダンスアニメーションPVの演出について
]]>
-
『アイカツフレンズ!』 の演出について
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2018-04-06
前回『アイカツ!』第133話における五十嵐達也のコンテ・演出について。『アイカツフレンズ!』がとうとう始まってしまった。さらに言えば本作の監督を務める五十嵐達也の初の4クールTVアニメ作品が始まった。以前アイカツに絵コンテと演出で参加していた時期の五十嵐達也についての記事を書いていたが、この度、というかまさかのアイカツ新シリーズの監督抜擢である。制作側にどの様な思惑があるのかは分からないが取り敢えずは任せられるという事なのだろう。氏はTVアニメの監督として『THE UNLIMITED 兵部京介(2013)』で1クールの作品を担当している様なのだが残念ながら私は観た事が無いので氏にTVアニメという長期の作品をまとめられる才能があるかどうかは全く分からない。以前書いた上記の記事の様に絵コンテ、演出として参加する分には五十嵐達也は素晴らしい才能を発揮する。特にその両方を担当している時の切れ味は正に興味深いの一言に尽きる。本当にいろんな意味で面白い演出をする人という印象が強い。だが、演出としての才能はあっても4クールのTVアニメ作品をまとめられるかどうかはまた別の話である。特に本作の様におもちゃの販売と連動して展開するタイプの作品は非常に制約が多く、商品展開に物語が大きく影響される事等が多々ある。そのためそういったイレギュラーな部分を如何にTVアニメ側に無理なく落とし込めるかが作品として成功するかどうかの大きな鍵となる。
アニメ
smith
2018-04-06T21:35:45+09:00
前回『アイカツ!』第133話における五十嵐達也のコンテ・演出について。
『アイカツフレンズ!』がとうとう始まってしまった。さらに言えば本作の監督を務める五十嵐達也の初の4クールTVアニメ作品が始まった。以前アイカツに絵コンテと演出で参加していた時期の五十嵐達也についての記事を書いていたが、この度、というかまさかのアイカツ新シリーズの監督抜擢である。制作側にどの様な思惑があるのかは分からないが取り敢えずは任せられるという事なのだろう。
氏はTVアニメの監督として『THE UNLIMITED 兵部京介(2013)』で1クールの作品を担当している様なのだが残念ながら私は観た事が無いので氏にTVアニメという長期の作品をまとめられる才能があるかどうかは全く分からない。以前書いた上記の記事の様に絵コンテ、演出として参加する分には五十嵐達也は素晴らしい才能を発揮する。特にその両方を担当している時の切れ味は正に興味深いの一言に尽きる。本当にいろんな意味で面白い演出をする人という印象が強い。
だが、演出としての才能はあっても4クールのTVアニメ作品をまとめられるかどうかはまた別の話である。特に本作の様におもちゃの販売と連動して展開するタイプの作品は非常に制約が多く、商品展開に物語が大きく影響される事等が多々ある。そのためそういったイレギュラーな部分を如何にTVアニメ側に無理なく落とし込めるかが作品として成功するかどうかの大きな鍵となる。
そして残念な事に前作の『アイカツスターズ!』はそれが完全に失敗していた。いや、あれは筐体の商品展開どうのこうの以前の問題でそもそもTVアニメとしてあらゆる部分が意味を為していない、後先を考えずその場限りで全てを取り繕い終わった後には何も残らないアニメ史上でも類を見ない完全なる失敗作、ゴミと言ってもいい。『アイカツスターズ!』は100話かけて作り上げられた産業廃棄物である。存在意義は無い。
閑話休題。終わった話はもう止めようか。
五十嵐達也が4クールアニメという長期の作品をまとめられるかは未知数である。少なくとも視聴者にとっては。ただ不安なのは長期的な完成度であり、先に書いたように氏は演出が出来る人なので短期的な部分、つまりは1話毎の完成度について不安は無い。寧ろ期待のほうが大きい。そして出てきたモノはこちらの期待通りのモノだった。
『アイカツフレンズ!』第1話は堅実な作りだ。これまでのシリーズ作品、具体的には星宮いちご、大空あかり、虹野ゆめという三人の主役の物語の要素を上手く取り入れながら従来のアイカツ作品から近すぎず離れすぎず、全てが新しいが今まで通りのアイカツにもなっている。意地悪な言い方をすれば可も無く不可もなくという按配でもある。一つだけ違うのが今作はユニットベースでアイカツを行っていくという点だろうか。
堅実な作りという言葉の通り第1話を観た限りではアクロバティックな展開やアバンギャルドな設定は無さそうだ。主人公が家で飼っているペンギンが若干不安の種ではあるが。演出も地に足のついたもので台詞選びや心理描写、主人公がアイドルの道へ進む動機付けも無理が無い。逆に言えばちょっと安牌過ぎて拍子抜けしたくらいである。
とは言いながらも観ている最中はアイカツの新シリーズの第1話がしっかりした作りで進んでいくという事実にずっと感激してしまって終始笑みがこぼれてしまう状態だったのだが。まあ第1話が始まる前はまともな作品になるかどうか本当に不安で仕方が無かったのでその反動でもあるのだが。なのでアイカツ新シリーズの第1話としては太鼓判の押せる出来ではありつつももう少し冒険して欲しかったというのが正直なところ。期待していた五十嵐達也監督の色は今後に期待するとしよう。
そんな中で第1話の中で取り上げておきたい事が一つあった。先の五十嵐達也についての記事に書いていた様に氏の演出には女児アニメ作品では見かけない類のものが多々見受けられる。これまでのシリーズ作品でも観ながら気になった、引っかかった演出というのは大抵五十嵐達也が絵コンテや演出を担当している事が殆どだった。そして『アイカツフレンズ!』第1話も事前情報を知らないまま観ていたら氏が担当した様な演出があったので、まさかと思ったら案の定第1話の絵コンテを担当していたのである。
Aパートの最後で主人公の友希あいね(ピンク髪)と湊みお(青髪)が公園にいるシーンでみおの電話が鳴るのだが、この時あいねはみおが電話に出て話し始めたのを確認してその場を離れようとする。親睦を深めたといっても出会ってまだ幾ばくもない他人同士である。電話というプライベートな会話は当人同士にとっては耳に入れるのを遠慮してしまうのが心情であり、またマナーもである。
湊みおは恐らく自身のアイドル活動について拘りが強い部分があり、その一方で他人の目をあまり気にしないような振る舞いが見受けられる。ほぼ他人と言える友希あいねのすぐ隣で躊躇せず電話に出てしまうという所にそれが良く表れている。一方ですぐ隣に立っていたあいねは他人の通話に対するマナーからかその場を離れようとする。あいねは思った事が顔に出てしまいかつ口に出してしまう様な実直さが見られるがそれは同時に人としての素直さに溢れているとも言える。だからこそあいねはマナーとして通話するみおから離れようとする。このシーンはホンの数秒なのだが言葉も無く表情だけでこの二人の人間性が垣間見えるような演出になっているのである。
私はこのシーンを観た時思わず膝を打った。
これが観たかったのである。アイカツに求めていたのはこれだったのだ。こういうのが観たかったのである。『アイカツスターズ!』が100話かけて出来なかった事がたったの数秒で出来ていたのだ。こういう「ふとした事で滲み出る人間性」が演出の本質であり本懐である。これが「演出する」という事である。このシーンを見たとき間違いなく五十嵐達也が絵コンテを描いているだろうと確信したが正にその通りだった。そしてそれは見事に功を奏していた。
『アイカツフレンズ!』の第1話は堅実で無難な作りだがそこには確かなものが存在している。監督としての五十嵐達也がこの先どの様なアイカツを見せてくれるかはまだ分からないがこの第1話を見せられた今では不安は殆ど無くなった。寧ろ期待のほうが大きい。第2話が待ち遠しくて仕方が無い。
因みに3DCGライブパートについてだがモデリングについては『アイカツスターズ!』をそのまま発展させたような3DCGモデルになっておりサンライズD.I.Dスタジオの特徴が良く出ているものになっていた。なので不安定は部分はそのままに大分改善はされているもののぎこちない部分もまだまだ散見される。OPの3DCGパートについてはカット単位で入念に調整されているので本編の3DCGライブパートよりも遥かにクオリティが高いので最終的にはOPのクオリティを本編に持ってきて欲しい所。引き続きサンライズD.I.Dスタジオには頑張って頂きたい。EDが全て3DCGで制作されているのは驚いたがつまりあれは「イケる」と判断したからなのだろう。従来の様に静止画メインのEDの方が手間がかからないのでこの冒険は素直に評価したい(どの立場だ)。
アニメCG関連過去記事
アイカツ!
・「アイカツ!」第71話 霧矢あおいの「prism spiral」にみる振り付け。
・「アイカツ!」アニメ3期における3DCGライブ演出の展望。
・「アイカツ!」第103話 氷上スミレの「タルト・タタン」での3DCGライブ演出。
・「アイカツ!」アニメ3期の3DCGモデルに見られる変化
・『アイカツ!』第118話 藤原みやびの「薄紅デイトリッパー」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第123話 大空あかり「Blooming♡Blooming」の3DCGライブ演出
・『アイカツ!』第124話 北大路さくら「Blooming♡Blooming」のセルルック表現
・『アイカツ!』第160話の3DCGライブステージにおける変化について
・『アイカツスターズ!』の3DCGダンスアニメーションについて。
プリパラ
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.1
・「プリパラ」における3DCGのライブステージ演出。part.2
・「プリパラ」第22話「HAPPYぱLUCKY」におけるライブステージ演出。
アイドルタイムプリパラ
・『アイドルタイムプリパラ』にみる3DCGモデルの変化・変遷
プリキュア
1/5 フレッシュプリキュア! のEDダンスについて
2/5 ハートキャッチプリキュア!のEDダンスについて
3/5 スイートプリキュア♪のEDダンスについて
4/5 スマイルプリキュア! のEDダンスについて
5/5 ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
6/5 ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
7/5 補足
・Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて
・『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現
ラブライブ!
・「ラブライブ!」ライブシーンの3DCGの演出について
・「ラブライブ!」2期 第6話挿入歌「Dancing stars on me!」の演出。
・アイドルアニメのCGライブパートランキング 2014
・『file(N)-project PQ』ダンスアニメーションPVの演出について
・『アイドルマスター プラチナスターズ』におけるモデリングの変化・変遷について
・『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』の3DCGモデルについて
]]>
-
XBOX ONE対応のドルビーアトモス for ヘッドホンのヘッドホンアンプ出力について。[修正・追記]
https://smith-kun.blog.ss-blog.jp/2018-02-03
発売以来品薄が続いてきた「XBOX ONE X」の供給安定によりAmazon等のネットショップでも確実に購入可能になったのでこの度漸く買う事が出来た。溜まりに貯めた楽天ポイントとクーポン使用で41,000円程度で購入できたのは大きい。今回XBOX ONE Xを購入した理由は3つ。1つは「XBOX ONE Enhanced」、1つはUHD BD再生機能、そして「DOLBY ATMOS for headphones」。
BDアレコレ
smith
2018-02-03T19:12:05+09:00
発売以来品薄が続いてきた「XBOX ONE X」の供給安定によりAmazon等のネットショップでも確実に購入可能になったのでこの度漸く買う事が出来た。溜まりに貯めた楽天ポイントとクーポン使用で41,000円程度で購入できたのは大きい。
今回XBOX ONE Xを購入した理由は3つ。1つは「XBOX ONE Enhanced」、1つはUHD BD再生機能、そして「DOLBY ATMOS for headphones」。
DOLBY ATMOS for headphonesは読んで字の如くドルビーアトモス音声をヘッドホン上で再現するものである。ヘッドホンでサラウンド音声を再現しようとする規格はこれまでにも幾つか存在している。victorのサラウンドヘッドホンアダプター「SU-DH1」の様にアダプター単体で機能するものからヘッドホンでも5.1chや7.1chのサラウンド音声をそのまま再生可能にするサラウンドヘッドホン。ドルビーアトモス音声をスタジオで2chにミックスして2chでの擬似的な立体音響を再現する「DTS HEADPHONE:X」。
どの規格、商品にも一長一短があり専用の機材が必要なものから配給会社の意向に依存するものまで色々あるが共通しているのは「高音質かつ手軽で供給が安定」していないという点だった。
そこに登場したのがDOLBY ATMOS for headphonesである。
これの原理は単純だ。再生機器が対応してれば既存のドルビーアトモス音声をそのままヘッドホンで再生する事が出来る。これだけである。アダプターもサラウンドヘッドホンも専用のミックスも必要ない。販売されているドルビーアトモス音声収録のブルーレイがあればそれで完了である。
据え置きのハードでゲームをしている人でホームシアターを組んでいる人は少ない。それは予算的な面よりも環境的な要素が大きい。マンションでドルビーアトモスを再現する事の困難さ、何より近隣への迷惑が問題である。そのためFPSを好んでプレイする人は特にそうだが、ヘッドホンでゲームをしている人はけっこういる。音響に拘っているか否かを問わず。私自身も音響、音質には拘ってはいるが結局ヘッドホンを10年近く愛用している。
最初はPioneerの3500円程度のエントリーモデル。次にaudio-technicaのエアーダイナミックヘッドフォン「ATH-AD700」。初めてのオープンエアー型だったが装着感が抜群に良く音の抜けが気持ち良いヘッドホンだった。そして今使用しているのは同じく開放型のSennheiser「HD650」。これはもう5年近く使用している。
そしてヘッドホンアンプはATH-AD700の時にFOSTEXのHP-A7を、昨年末に入れ替えでHP-A8を導入した。なのでゲーム、映画共に基本的には変換されたものも含め2ch音声で聴いている事になる。サラウンドヘッドホンはほんの少しの期間だけ使用したがドライバーの質がステレオヘッドホンとは比べ物にならないので直ぐに諦めた。
DOLBY ATMOS for headphonesを現状最も手軽に起動できるのはXBOX ONE(+X)になる。
アプリのDolby Accessを購入後起動して、
設定のオーディオ出力を選択、
「HDMIまたは光デジタルオーディオ ヘッドセットを起動する」を選択、
後はドルビーアトモス音声が収録されたブルーレイまたは配信タイトルの対応作品を再生すれば良い。
問題なのは私の様にヘッドホンアンプを使用している場合。
私の場合は、
XBOX ONE X
↓HDMI出力
HDMIセレクター
↓同軸デジタル出力
パススルー
↓
HP-A8 (ヘッドホンアンプ)
↓
HD650 (ヘッドホン)
という構成にしているのだがこの場合本体側のオーディオ設定で音が出ない事がある。XBOX ONEをヘッドホンアンプに接続している場合は先の設定画面で「スピーカーオーディオ」の項目のHDMIオーディオを「非圧縮ステレオ」、光デジタルオーディオを「オフ」にしておいた方が良い。その後ヘッドセット形式をDOLBY ATMOS for headphonesにして「HDMIまたは光デジタルオーディオ ヘッドセットを起動する」にチェックを入れる。こうすればヘッドホンアンプ経由でもドルビーアトモス音声が再生出来る。
ただ、ここでまた問題があるのだが、どうやら通常のブルーレイ再生の場合ドルビーアトモス音声が収録されていても7.1ch(非圧縮ステレオ変換)での再生になってしまう様でDOLBY ATMOS for headphonesとして再生する事は出来ないらしい。この辺りは公式に書かれていないので仕様は良く分からないが、現状DOLBY ATMOS for headphonesとしてドルビーアトモス音声をヘッドホンアンプ経由で再生出来るのはUHDブルーレイのみになる。
※この後色々と試してみたが、どうやらヘッドホンアンプ経由でも通常の2Kブルーレイ再生でのドルビーアトモス音声もDOLBY ATMOS for headphonesとして再生出来る事が判明。
なのでUHDブルーレイでなくともDOLBY ATMOS for headphonesの効果は得られる。
手持ちのUHDタイトル、
『スタートレック イントゥ・ダークネス』
『ハンガーゲーム2』
『トランスフォーマー ロストエイジ』
『トランスフォーマー 最後の騎士王』
『オデッセイ エクステンデッド版』
等のドルビーアトモス収録作品で試してみたが、XBOX ONE Xと他のプレーヤーでUHDと2Kブルーレイを同時再生してみたところXBOX ONE Xと他のプレーヤーで音声ビットレートに明らかな差が出ていた。つまりアトモス音声が7.1chで再生されている事になる。勿論DOLBY ATMOS for headphonesの効果による違いもはっきり出ていて2Kブルーレイ版はいつもの聴こえ方だったのに対しXBOX ONE XのDOLBY ATMOS for headphonesでは空間の広がり方が完全に変わっていた。XBOX ONE Xの2Kブルーレイ再生時にアトモス音声が再生されない原因は良く分からないが、UHDブルーレイを再生すればDOLBY ATMOS for headphonesで再生出来るという事は確実である。
DOLBY ATMOS for headphonesはドルビーアトモス音声を本体内部でレンダリングした音声をヘッドホンに出力する。そのため従来のDTS HEADPHONE:Xやアダプターを使用した擬似サラウンドとは根本的に異なる(内部のメカニズムは不明だが)。アトモス音声をそのまま変換して出力するという点で音質の劣化が基本的に無い事が利点となる。サラウンド音声をヘッドホンアンプに出力する場合それは無圧縮ステレオ音声として再生されるが、DOLBY ATMOS for headphonesはその音質のまま空間的な広がりが付与される。空間が広がる分ステレオ音声の様なはっきりとした音の輪郭は多少無くなる。ヘッドホンなので前後の広がりにはやはり乏しいが左右の空間の広がりは確かに感じる事が出来る。
音場は狭くともはっきりとした音の輪郭のステレオ音声を選ぶか、空間は広がるが音の輪郭が柔らかくなるDOLBY ATMOS for headphonesを選ぶが、これは好みに拠るとしか言えない。ただ、DOLBY ATMOS for headphonesを体験してしまうとステレオ音声の音場の狭さに驚いてしまう事は確かである。
当然作品毎のドルビーアトモス音声の質に左右されるので作品毎にDOLBY ATMOS for headphonesの効果も変わる。ドルビーアトモスの劇場公開はピクサーの『メリダとおそろしの森』(2012年6月22日)が初なのでそれ以降の作品は基本的にネイティブのドルビーアトモスミックス作品となる。それ以前の作品は基本的にアップミックスのドルビーアトモスになるのでDOLBY ATMOS for headphonesの効果は薄くなる。『トランスフォーマー』シリーズなどは分かりやすいだろう。
XBOX ONE XのDOLBY ATMOS for headphonesはヘッドホンのコントローラー直挿しでも効果はあるしこの方がアンプの手間がかからない。ただしコントローラー直挿しだと音量に限界があるのと音質的にも限界がある。試してみた所意外と良い音で鳴るので驚いたがやはりレンジが狭くなるので流石にヘッドホンアンプには敵わない。光デジタルケーブルでもおそらくDOLBY ATMOS for headphones再生は出来るのだろうがここに来るまでに何時間もかけて試行錯誤してきたので流石に試す気力はもう無い。まあ同軸デジタル対応のアンプがあるならわざわざ選ぶ必要は無いだろう。
]]>