[絵本]アナと雪の女王 Big Golden Book

「Big Golden Book」シリーズの絵本「アナと雪の女王」。
前回紹介した「A Sister More Like Me」とは異なり本著は映画の内容を基本に児童向けの絵本として構成したものとなっている。全64ページフルカラー。大きさは27.4cm x 22.1cm。児童向けであるため本作の主軸となる物語を分かりやすくするために多少の変更が加えられている。ウェーゼルトン伯爵関連、スヴェンのキャラクター、トロールやオラフの場面などは減らされていたり無いものとされていたりする。

イラストは「storybook artist」とだけ記載されており調べてみても誰が描いているのかは分からなかったのだが、キャラクターのイラストに関しては本作のstoryboard artist(絵コンテ)であるFawn Veerasunthornである可能性が考えられる。顔の輪郭、目の形状から横顔での顔全体のバランス、そして全体的に歯が見える絵が多い事。まあ、推測の域を出ないが。

抽象的かつ平面的ないわゆる絵本然とした絵柄だった「A Sister More Like Me」とは異なり、本著のイラストは3DCGで描かれた映画本編に近い立体感のあるイラストになっている。細部を拡大して描かれているため絵の密度が非常に高く、アレンデールの町並みやエルサのドレスや氷の宮殿など児童向けの絵本とは思えないほど見ごたえのあるものになっている。brittney leeによる「A Sister More Like Me」のイラストも素晴らしかったが、描き手の癖がある分好みが分かれるだろうが本著の細密なイラストもなかなか捨てがたい。

映画本編の物語をそのままなぞっているので目新しい点などは無く、文章もおそらく親が子に読み聞かせるのを前提としてるのだろう、台詞の量が少なく全体的にナレーション然とした文章になっている。要はよくある日本の絵本の形式である。そう考えると会話以外の地の文が全く無く、全編がアナとエルサの語りで構成されている「A Sister More Like Me」は児童向けの絵本という点から考えると規格外であるとも言える。また文章に関しても使われる単語や文法、センテンスの長さを見ると「Big Golden Book」は文字通り子供でも読める様なかなり簡単なものになっているのだが、「A Sister More Like Me」はセンテンス自体で対比を生む、または韻を踏むなど、使われる単語を見ても明らかに対象年齢を上げている事が分かる。

前述した様に本著の文章はかなり簡単なものになっており英語が苦手な人でも読みやすいものになっているので、子供の英語の教材としても使えそうである。勿論イラスト目的で大人が買う分にも十分満足出来るものになっているので「A Sister More Like Me」同様オススメの絵本である。