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「ダークナイト ライジング」 in LG IMAX シアター [映画]

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前作「ダークナイト」のIMAX撮影分は28分。対するノーラン最新作である本作のIMAX撮影分は何と上映時間の半分近い72分。スタンダード、ビスタ、シネスコを問わず映画好きという生き物は監督が本来意図するオリジナルの映像を求めてしまうものであるが、ことIMAXが映画好き以外の所謂一般の客層にまで定着し始めた今日、この問題意識はより強いものとなった。しかも日本においては商業映画作品を上映するIMAXシアターが全て閉館してしまったため「ダークナイト」に代表されるフィルムIMAX作品を観る事が不可能となってしまったのである。先日の「ゴースト・プロトコル」に至ってはソフト化に際して全編シネスコに統一されるという、IMAX DIGITALさえ観れなかった人にとっては拷問仕様とも言えるモノになってしまった(お前が悪い)。

ノーランは「ダークナイト」の次に撮った「インセプション」ではIMAXでの撮影は行わず、一部65mmで撮影したようだが本作では再びIMAXでの撮影を行っている。恐らくは3部作という形式によるものだったからなのだろうが、そうなると今後ノーランがIMAX撮影を行うにせよバジェットの事も考えると、今後72分という長尺を商業映画で観る機会は殆ど限られてくるのかもしれない。本作の試写に関してはサントリーミュージアムで行われないのだろうかなどと淡い期待を抱いていたのだが、前作のIMAXリバイバル上映なども結局はデジタルのみ。となると、やはりIMAXに関しては自分から観に行かなくては永遠に叶わないだろう。

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というワケで行ってきた「LG IMAX シアター」。
「World's Biggest Screen」の謳い文句の通りそのスクリーンサイズは世界最大の29.42m×35.73m。天保山等と同様にスクリーン一つでの営業形態をとっており建物の幅は薄く横長に延びた構造をしている。
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スクリーン内部はIMAXシアターで鑑賞した人にはお馴染みの超傾斜座席。
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上映前も後も内部は結構暗いので携帯のカメラではまともに写らず。
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こちらはサイトの座席図。

さて、肝心のIMAXの感想なのだが、何というかIMAXというシステムの存在意義を改めさせられたというのが率直なところ。一般の映画館、主にシネスコ、ビスタの作品の上映を基本としている映画館では何れにせよ横幅では視界一杯に広がりはするが縦幅では所謂黒帯状態になるのが通常である。そしてそれが故に、どこまでいっても、どれだけ迫力があっても「映画を観ている」という状態に留まってしまう。では1.43:1の画角を持つIMAXフィルムでの上映ではどうなるのか。人間の視覚は目が左右に並んでいるため視界は16:9に近いとされているが、そうなると1.43:1において上下に広がった部分というのは知覚出来ないのではないか。特に本館のような30m級のスクリーンの場合画角の問題以前に横幅が常に35.73mもあるのである。

結論から言うと
「映画に集中している時は、縦幅については意識的に上下を見なければ認識できない」。

ん?それじゃあ1.43:1って意味がないのでは・・・。と思ってしまうだろうがそうではない。寧ろそれこそフィルムIMAXが本来意図するモノなのであり、認識できないほどの縦幅は意図的なのである。これに関してはフィルムIMAXのもう一つの側面が関係してくる。おおよそではあるがIMAXのネガの解像度は約15k、上映用のポジでは約8kとされており、まあ要するに現在普及している2k(4kの噂も・・・)上映のIMAX DIGITAL よりも圧倒的に高画質なのであり本館のような30m級に投影しても全く破綻しないほどのモノなのである。
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2ch有志による比較図。

では、認識できない程の縦幅と8k上映による高精細な映像が合わさった場合どうなるのか。
現実と錯覚してしまうのである。
と書いてしまうと何だか嘘くさいが、こればかりは本当に誇張抜きで断言したい。これに関してはSF作品で描かれるVRにも関係してくるのだろうが、大画面、特に縦幅において人間が知覚可能な範囲を超えると恐らく脳がある種の勘違いをしてしまうのだろう。実写と変わらないほどの高精細な映像という点も当然大きいだろうが。しかし、IMAXシアターの全てがそういった体験を出来るのかというと多分そうではない。私は天保山と本館のみの体験ではあるが、IMAXシアターといえど知覚可能範囲を超える程度の縦幅は必要なのだろう。

本作のIMAXシーンは72分。そして、その殆どが空撮ないしアクションシーンとなっており、IMAXでの撮影ながら結構カメラが動いたりする。今回ドキュメンタリー以外での一般の商業作品をIMAXで初めて観て気づいたのだが、というか上記のような「現実感」を抱くキッカケでもあったのだが、動きのある映像のあるIMAX作品の方が現実感が圧倒的に強く感じるという事。というのも前回「HUBBLE」を天保山で観た時は迫力こそあれど現実と錯覚するような感覚は全くなかったからだ。それが今回、本作の冒頭で草原を車の主観で疾走するシーンがあるのだが、その時点で既に圧倒的な現実感があり本当にその場にいるかのような錯覚を覚えてしまうのである。

日本ではアバターと共に知名度が上がったIMAX DIGITAL 3D だが、確か当時はそれを以って「映画を体感する」というような触れ込みをよく見かけたが、確かにその通りだったとは思う。確かに「スクリーンの向こうにパンドラが広がっているような感覚」は感じられた。だが、本作に関しては、というかこの場合LG IMAX シアターのみに言えるのかもしれないが、フィルムIMAXにおいては3Dがなくても映画を体験することが出来ると言える。

後半へ続く

と、長くなりそうなので一旦切り上げるが、LG IMAXで見たいという人へのお知らせ。

8/30~9/5までトリロジーとして3作の上映がされるので、本作含め特に「ダークナイト」に関してはいつ観れるかわからないので行きたい人は早めのご計画を。
LG IMAX シアター公式サイトはこちら

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