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『アイドルマスター プラチナスターズ』におけるモデリングの変化・変遷について [ゲーム]

2016年内にPS4タイトルとして発売される事が公式にアナウンスされた、アイドルマスターシリーズ最新作『アイドルマスター プラチナスターズ』。その第一弾のPVが公開された。

2011年2月24日に発売された『アイドルマスター2』から約5年。同年11月より開始したアニメ全25話を皮切りに『アイドルマスター シンデレラガールズ』『シャイニーフェスタ』『ミリオンライブ』そして2014年1月25日に公開された劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』などコンスタントに作品を出し続ける『アイドルマスターシリーズ』 。数あるアイドル(コンテンツ)ゲームの中で非常に息の長いシリーズであると共にその金字塔としての輝きは未だに衰えることが無い。



私自身はアイドルマスターのファンではなく所謂「プロデューサー」でも無い。シリーズ作品自体は把握していてXBOX360ユーザーでもあったのだが、最近まで何となく手をつけずにいた。それがラブライブをきっかけに本作の3DCG技術にも興味が出てきて昨年漸くプレイし始めた、という状態なのだが、そもそもリズムゲーム自体は好きだったので1作目、2作目共に結構楽しめるモノではあった。なお育成やノベル形式のゲームは基本的に時間がかかるので一周しか出来ていないで悪しからず。いや、好きではあるのだが。

さて、今回発表と相成った『アイドルマスター プラチナスターズ』。『2』から実に5年。シリーズ作としてみるとゲーム自体はデレマス関係で幾つか発売されているらしくモバイル、PS3、VITAという『2』と比べるとスペック自体は変わらないのでそれぞれグラフィックについてはマイナーチェンジ程度ではあったものの、作品を重ねる毎にクオリティが上がっているのが確認できる。

今作は念願の次世代機であるPS4専用タイトルであり、実は以前より行われていた制作発表のアナウンスの時点で個人的にグラフィックのクオリティについてはかなり期待していた。PS4の処理能力によって一体どのレベルまで表現出来るようになっているのか。他のアイドルコンテンツに対してどこまでのアドバンテージを得る事が出来るのか。アイドルコンテンツにおける金字塔である本シリーズが、同ジャンルにおいて業界を奮い立たせる程の新たなメルクマールとも言えるタイトルを提示する事が出来るのか。

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2011年に発売された『アイドルマスター2』。当時としては珍しい固定60fpsで動作するタイトルとして注目されていたがモデリング自体は前作からのマイナーチェンジに留まりそこまで大きな変化は見られなかった。まあそもそも60fpsという時点で凄かったのでグラフィックまで求めるのは酷ではあったのだが。
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私がプレイしたのは昨年だったので『アイカツ』『プリパラ』『プリキュア』等その当時の他のアイドル作品との比較は避けられず正直印象はあまり良くはなかった。口の小ささ、不自然な三角形の形状、配置のバランス、フェイシャルモーションの少なさ等ネガティブな感想については枚挙に暇が無い。上の画像を見ても分かるように基本的に目の表情が無いので口が笑っていても表情としては死んでしまっている。

その後に登場した『シンデレラガールズ』でもゲーム用のタイトルが幾つか出てきたらしいが、開発スペック自体は『2』と大差ないのでそこまで大きな変化は無かった。
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ただ、『スターライトステージ』のモデリングを見てみると「歯」が確認でき、これによって表情の幅が増え一目見ても改善されている事が分かる。身体のバランスに対して顔が若干大き過ぎるのが気になるが。シェーディングにも変化が見られベタ塗りではなく身体の凹凸に合わせてグラデーションがかかっており、頬にチークの表現も見られる。下唇にもハイライトが追加される等細かい点ではあるがモデリングの精度が確実に上がっている事が確認できる。

では、そこにきて本作『アイドルマスター プラチナスターズ』のモデリングはどう変化したのか。
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先ず根本的に変化しているのはモデルのポリゴン数の違いだろう。流石に外見からは判断できないが少なく見積もっても『2』から数倍の変化が見られる。動いている時でもジャギーがあまり見られないのと、頂点の少なさから来るモデルの表面のカクつきの少なさからもそれは明らかである。そして『スターライトステージ』でも見られたシェーディングの変化。肌の色に濃淡が表現されておりこれにより温かみが感じられ、『2』で顕著だった人形臭さがかなり改善されている。

顔は多少面長になり、目蓋の表現や下唇も表現されている事が確認できる。下唇に関してはコレがあるか無いかでデフォルメの度合いがかなり変わってしまうので、モデリングの段階でおそらく議論があったのが想像できるがコレを入れたのは英断だろう。単純に顔の情報量が増え顔の角度によって影が変化し凹凸具合も変わってくるので表情に幅が出るからである。顔のバランスも見直され、前作で一番の不満だった口の位置が上過ぎたのが改善されていたのは嬉しい。
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『2』までのモデリングは所謂ゲーム然としたものだったが『プラチナスターズ』のモデリングはキャラクターデザインを担当している窪岡俊之の絵柄に似せているのか、ゲーム然としたグラフィックから離れアニメ的な表現になっている。動画で見る印象からもセルルックをかなり意識してデザインされているのが伺える。輪郭線の配色バランスもアニメ塗りにかなり近い。
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口のモーションパターンも増えており、というよりリグが増えて稼動範囲が拡大したのだろうが、上の様に笑顔以外の表情が追加されたのは大きい。そして何より「歯」の表現。
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今回配信された第一弾のPVだけではライブシーンがまだ少ないのでこれだけで最終的な判断は出来かねるが少なくともモデリングについては『2』から大幅なクオリティの向上がある事は確かである。


だが、正直こちらの期待値を上回るモノではなかった。
ここ数年で生まれた多くのアイドルアニメ。その中で登場した劇中のキャラクターの3DCGモデルによるライブ映像。『プリキュア』『プリティーリズム』『アイカツ』『ラブライブ』『AKB0048』『プリパラ』これらの映像クオリティに慣れてしまった今となっては『プラチナスターズ』のグラフィックは寧ろ想定の範囲内であり想像を超えたモノにはなりえなかった。何より手書きで表現されたアニメ版のライブシーンの驚きが先行している以上、こちらとしても期待しているのはアレに近いものだったのだから。『プラチナスターズ』のモデリングやグラフィックの出来自体は悪くは無い。ただそこに驚きは無かった。

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3DCGモデルでありながらキャラクターが生きているかの様に感じる表現力。具体的にはフェイシャルモーションの多彩さである。眉毛の動き、目の閉じ具合、瞳の動き、口の形状。PVを見る限りでも笑顔のパターンがある程度固定されているので全員が同じ表情になってしまっている。デレマスの『スターライトステージ』を見てみると意外にもデフォルメされた表情が確認できるので『プラチナスターズ』にもそういったものがあるのかもしれないがPVからは窺い知れない。正直もっと表情を崩しても良いと思う。それぐらいしないと表情の幅が増えないのは他作品が既に証明しているからだ。

他作品が既に出来ている以上、満を持して登場した本作にも当然それは期待してしまうものである。もっと言えば他作品を圧倒して欲しかった。勿論テレビアニメに使用される様なハイエンドのPCで生成されたプリレンダリングの映像とPS4の実機のグラフィックを比較するのが酷なのは百も承知である。それでも、もっと先を進んで欲しかった。もっと先が見たかった。それこそアニメ版のライブシーンの様にキャラクターが汗をかく位のレベルの表現を。

それに、アイマスのライブに用いられるダンスのモーションは常に速度が一定なのである。曲のBPMによって変わりはするが、振り付けがテンポに対して殆ど変わらないので曲中では振り付けに大きな変化が見られないのである。現実のダンスではそんな事はありえない。もっと緩急があって然るべきだろう。だからアイマスのダンスは見ていて面白く無い。シンデレラガールズについては分からないが。これはモーションキャプチャの時点での問題でもあるのだろうが「ダンスの振り付けをこなしている」という予定調和な表現から脱却して欲しいのである。

おそらく本作が発売されるのは夏以降だろう。なので最終的にはどうなるかは分からない。今言えるのは現時点のPVからは新しいものが何も感じられなかったという事である。変化はしている。してはいるが新しくはない。期待していただけに少々残念ではある。無論発売日に購入する事は確定しているが。




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