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『Fallout 4』のCEROレーティングZに関する諸考察。 [ゲーム]

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11月10日の本国発売を控えるシリーズ最新作『Fallout 4』。日本での発売は約1ヵ月遅れとなる12月17日に決定したが、よりによって『スター・ウォーズ フォースの覚醒』の公開日前日である。一体どうしろと。

さて、本作を含めた洋ゲー(そろそろ死語か?)に傾倒する諸兄にとっては最重要事項とも言える情報がいよいよ発表となった。そう、日本における『Fallout 4』のCEROレーティングの審査結果である。

ベセスタ公式HP
http://bethsoft.com/ja/news/fallout-4jprating151028

CEROによるレーティングの審査結果は前作同様の「Z」。ただ、前作との違いとして本作では北米版とのゲームの内容に差が無いという点が挙げられる。内容に差が無い、つまりは日本でのレーティングに伴う内容の修正が無いという事である。これが如何なるモノを意味するのか。

前作『Fallout 3』は2008年にXbox360とPS3で発売され、CEROレーティングZの対象作品でありながら北米版の内容から大きく修正された事でも有名なタイトルである。

暴力に支配された秩序無き核戦争後の世界の中で、銃器と鈍器を駆使して生き延びるオープンワールドサバイバルRPG。前世代機の中でも群を抜いて暴力的な表現が目立った本作は「銃撃、打撃による四肢切断、損壊」「首チョンパ」「人肉摂取」など画面上に常に死体が溢れていたものだった。そんな本作が日本版として発売された際、レーティングは当然の事ながら「Z」だったのだが、その内容は大きく修正される事となった。

・NPC含めた人間の敵キャラクターへの攻撃に伴う四肢欠損表現の削除
・サブクエスト「The Power of the Atom」における核爆弾の起爆クエストの削除

『GOD OF WAR』に始まり『GEARS OF WAR』で顕著になった洋ゲーの日本版における表現の修正だが、ここにきてゲームプレイの本質を脅かす様な修正が加えられた事により、ゲーマーの日本版のローカライズに対する不信感はこの辺りから決定的なものになっていた。この日本版のゴア描写に対する修正はつい最近まで続いていたが、特に今年に入ってからは流れが大きく変わるような気配を見せている。『ウィッチャー3』等はその最たるものだろう。

お忘れの人も多いと思うが以前こんな記事を書いていたのでちょっと振り返ってみる。

2006年以降の国内レーティングにおける禁止表現に対する修正・変更のガイドライン(暫定)
http://smith-kun.blog.so-net.ne.jp/2011-07-22

実は人間のキャラクターに対する四肢切断、損壊表現というのはかなり前から日本版でも実装されていて、個人的には『Fallout 3』の修正というのはその多くが「配慮」として為されたモノなのではないかと以前から考えていた。つまりCEROレーティングにおけるZの禁止表現に抵触するものではなく、パブシッシャーが独自に判断をして修正を加えていたのではないか、と。特にサブクエスト「The Power of the Atom」の核爆弾の起爆については死体の一つすら見えないのでレーティングの禁止表現に抵触するとはにわかに考えられなかったからである。

どこまでOKでどこからNG? レーティングのあれこれをCEROに聞いてみた
http://news.livedoor.com/article/detail/4992620/
KJ:最近の海外タイトルでは、ローカライズにあたって表現の変更がほとんど行われないものが出てきました。たとえば『MADWORLD』や『デッドライジング2』などです。これらのタイトルは、おそらく過去ならレーティングを与えられなかったと思うのですが、CEROさんのほうで基準が変わったのでしょうか?

渡邊:まったくございません。禁止表現については、2002年の設立以来変えていません。

これは2010年9月6日時点のインタビューなのだが、この時点でもタイトル毎の表現の修正具合には恐ろしい程のバラつきがあった。あれから5年後の現在、CEROレーティングの審査基準に変更があったかどうかは分からない。ただ、モノによってはその修正具合にかなりの改善がみられるタイトルが見え始めている事は確かである。

そこで本作『Fallout 4』である。
ESRBによる本国でのレーティングは前作同様「M」。表現の内容も前作と全く変わりなし。つまり基本的なゲームプレイの部分に前作からの大きな変更は無いという事になる。
Content Descriptors:
Blood and Gore, Intense Violence, Strong Language, Use of Drugs

ESRB公式HP
http://www.esrb.org/ratings/Synopsis.aspx?logoonly=1&Certificate=34111&Title=Fallout%204

先日公開されたPVでは釘バットによる頭部の破壊が確認できる。

これらの情報から推察するに、少なくとも日本版ではNPC含めた人間キャラクターへの攻撃に伴う四肢欠損及び損壊表現が行われる事は明らかである。時間はかかったがようやく『Fallout』シリーズでも人間キャラクターへのゴア描写が可能になった。これは非常に喜ばしい出来事である。

だが気になる点もある。
本作『Fallout 4』はドイツ、オーストラリアでも修正が行われずに販売されるという点である。この二つの国はゲームの表現についての審査が厳しく、日本と同じく今までに多くのタイトルが修正を余儀なくされてきた。『Fallout 4』の販売にあたりドイツやオーストラリアの審査基準も緩和されてきたのかどうかは分からない。が、いずれにしてもこの二つの国の審査基準に達しているモノが日本のZレーティングの審査を通過しているという事は、裏を返せばその程度の表現に落ち着いているとも言えるのではないか。

かつて2012年に発売された『ボーダーランズ2』は本作同様にゴア表現の伴うタイトルだったが表現に修正を加えずに世界で販売され、話によれば開発段階から綿密に打ち合わせが行われたとの事。

『ボーダーランズ2』表現規制のお知らせ
http://www.2kgames.jp/borderlands2/jp/news/news02.html

Borderlands 2 Will be Uncut Worldwide
http://www.ausgamers.com/news/read/3231365/borderlands-2-will-be-uncut-worldwi

開発段階から各国のレーティングに照らし合わせていれば修正に伴う余計な修正も必要ないので確かにこれは有効な手ではあるのだが、その分尖った表現が行われにくいという弊害もある。これはグローバルマーケティングが基本なハリウッド映画も同じである。

果たして『Fallout 4』が各国のレーティングにおける審査基準に対して開発段階からどのようなアプローチを行っていたかは現時点では分からない。『Fallout 3』の様に核爆弾を取り扱う尖った表現のあるモノが出てくるのか、それとも各国のレーティングに配慮したマイルドな表現に落ち着いているのか。

四肢欠損などのゴア描写は『Fallout』の本質の一つではあるが、同時にそれらは作品を構築するフレーバーの一つに過ぎない。『Fallout 3』が為しえたような、放射能にまみれた世界で人間やグール、ミュータント達が織り成す強烈な皮肉と王道の物語に我々は再び立ち会う事が出来るのだろうか。

修正無しでCEROレーティングを通過した事自体は喜ぶべきものなのだが、同時に素直に喜べない上映でもあるというのはなんとももどかしいものである。これが杞憂で終わればいいのだが。

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