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『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現 [キュアマーメイド編] [アニメCG]

前回『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現[キュアフローラ編]

引き続きプリプリのセルルック表現について。
本題の前にキュアフローラの補足として書き忘れたので一つ。モードエレガント変身時にスカートが変化する部分のアクションに3回ドカン(命名:大匙屋)が使われており、ここはカメラのカットと劇伴のタイミングを合わせているので観ていて非常に気持ちが良い。




最初の回転の瞬間、僅かにタメがある事とカメラのズームアップによってより勢いが付いておりアニメーターの力量が伺える。こういったマルチアングルのカットは手書きだとアニメーターの力量に完全に依存する上に非常に手間がかかるのだが(←受け売り)、3DCGの場合は勿論カット毎に調整が必要ではあるがアングルを変える事による手間は手書きよりも大幅に減るので作りやすくなる。3回ドカンは演出としてのインパクトが非常に強いので3DCGモデルを使用した作品にはうってつけだろう。

さて本題に入ろう。
現時点で判明している3DCGモデルによる演出はキュアマーメイド、トゥインクル共に同じで「モードエレガント変身」「浄化時のごきげんよう」の二つとなっている。前回のフローラの演出からプリプリでの3DCGモデルによるセルルック表現は手書き部分に寄せていく方向になるだろうと考えたが、6話まで観た限りではどうやらその通りらしい。

では具体的に見ていこう。
先ずはキュアマーメイドからだが、マーメイドはフローラとはキャラクターデザインが大きく異なりフローラに対して年上という事もあり特に目はかなりの鋭角なつり目になっている。そして鼻筋が眉毛から大きく伸びており眉毛も細く長いデザインであり三角形のキリっとした顔立ちになっている。
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下はモードエレガント変身時の3DCGカット。
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フローラとは逆で今度はアップの時の方が手書きに近く見えてしまう。何故か。
肌の色に関してはカット毎に変わる事が多いのでこれは特に関係ない。問題は「目」だろう。
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右2つはCG、中左4つは手書き。上CGは手書きに近いが下CGは結構違和感がある。先ず共通して下まつ毛のアイラインが手書きよりも太い。上CGは僅かにだが下CGは特に上まつ毛のアイラインが太い。そして両方とも眉毛の輪郭線の黒が強い。目そのもののデザインのバランスの差異は僅かなのでこうしてアップで比較してみるとそこまで手書き部分と乖離しているワケではない。となると違和感の一番の原因は目の大きさだろう。アップの時も目の大きさに多少違和感があるのだが、引き画になると何故か顔全体に対する目の大きさのバランスが大きく変わってしまい途端に違和感が噴出してしまう。これはEDのダンス映像でも同様である。

手書きに寄せるセルルック表現において目の占める比率は大きい。人間は他人の顔を認識する時無意識に目を見てしまうものであり、それは3DCGモデルにおいても例外ではない。前述したような眉毛、アイライン、目の大きさ等僅かなバランス、質感の違いによって、知識の有無を問わず人は手書きかCGかの区別を無意識かつ瞬時に行ってしまう。前回のキュアフローラ記事で「セルルック感の有無はモーションよりも首から上のモデリングやフェイシャルモーションに大きく左右される」としたが今回マーメイドの3DCGモデルをみていて改めてそう思う。ただ、「つり目」というその記号的な認識しやすいデザイン故に角度が変わってもフローラとは違い違和感が出にくいという利点もあったりする。
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変身後の引き画に移行するカット。この引き画の時はセルルックとしては悪くないのだが目が少々大きく感じてしまう。
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「高鳴れ海よ!」のカット。やはり気になるのはアイライン、目の大きさ。ここの引き画は動画で観ると露骨に3DCG感が出てしまっている。目の大きさもそうだが多分眉毛のバランスが原因なのではないか。
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「マーメイドリング!」のカット。ここでもアイラインの太さ。あと口と鼻の距離が気になる。もう一つ気になるのが耳のモデリング。先に上げた手書きのカットでは細部まで書き込まれていたのだが3DCGモデルでは何故か省略されている。
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浄化後の「ごきげんよう」。




ここは横からのアングルでも手書きと遜色ないデキだが、これはフローラにも共通している点で動画で見てみると頭を上げて目を開ける数フレームの部分でカクついているのが分かると思うが、この3DCG特有の等速運動モーションのせいでモデリングに関係無くセルルック感が損なわれてしまうのである。これはプリキュアに限った話ではなくセルルックCGという手法が生まれてから今日まで未だに解決できていない問題である。このカクつきを如何に感じさせないかがアニメーターの腕の見せ所だろう。

さて、一通り見てみるとアップの画と引き画共に良し悪しがあるっ結果となったマーメイドだが、前述した様にEDの映像でも感じていたのと同じく一番気になるのは目の大きさのバランスである。それと輪郭線の黒の強さ。パフュームにキーを差し込むカットは特にそうなのだが輪郭線の綺麗さと発色の良さによって3DCG特有のエッジが立った質感になってしまっているので、レイアウトやモーションが良くてもそのせいでセルルック感が失われている状態になってしまっている。ただ、この質感表現は意図的なものなのかもしれないので何とも言えない。

繰り返すがこれを以って「ハピチャのCGバンクの方がデキが良い」なんて事を言うつもりは毛頭無い。演出論が違う以上比較する意味が全く無いのでプリプリのCGバンクはプリプリ内でしか比較する他無い。とは言ったものの現段階ではあまり芳しくない様子なので正直ちょっと心配。決してクオリティが低いワケではないのだが個人的にはもっと手書きと見紛う様な高いレベルのものを期待していたのでCGデザイナースタッフには頑張って頂きたいところ。

続き[キュアトゥインクル編]


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3/5 スイートプリキュア♪のEDダンスについて
4/5 スマイルプリキュア! のEDダンスについて
5/5 ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
6/5 ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
7/5 補足
Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて
3DCGモデルによるセルルック表現[キュアフローラ編]

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