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鹿目まどかのなりたかった「魔法少女」。 [アニメ]

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前回「魔法少女まどか☆マギカ」全12話 感想」の補足。

まどマギでしこりが残ったモノがもう一つある。
まどかは自身の魔法少女へ契約の動機として「私みたいなのでも人の役に立てるなら」的な自己卑下を年上かつ先輩魔法少女であるマミさんに吐露していたが、命を懸けて魔女を退治するという使命を背負うにはその動機はあまりに弱すぎた。そして、それ以前の段階として「魔法少女」という言葉、概念が当たり前の様に使用されていた事に僅かな違和感を感じてもいた。

「魔女を退治する者」という物語上の説明や設定ではなく、まどマギにおける日常世界の中で魔法少女という言葉・概念がどのように理解されているのか。それが無いまま劇中の登場人物の誰もが当たり前の様に魔法少女という単語を口にしているので、当のまどか本人の中において「魔法少女」という言葉がどの様に理解されているのか、もっと言えば目の前にあらわれたマミさんと自身の中にそれまであった魔法少女という概念がどの程度違うのかが全く分からない。
 
まどか自身の魔法少女像が明確でないのにまどかは第3話の時点で「魔法少女」になろうとしてしまう。彼女は一体何になろうとしていたのか。

この問題を解決するには「それ」を明確にする必要があるのだが簡単な方法が一つある。劇中劇としての魔法少女である。つまりは「TVアニメ内TVアニメ」。「魔法少女内魔法少女」。そういえばプリキュア最新作「プリプリ」では主人公が御伽噺のプリンセスに憧れて実際になってしまう、という構造になっていたが早い話しがアレだ。

魔女を退治する者という物語上の設定の前段階として、まどかの日常内に「現実」の魔法少女が存在していればそのギャップに戸惑い「魔法少女になる」という選択の重みも幾分かは増したはずである。まどかが魔法少女好きであれば尚更良いだろう。まどかの魔法少女への想いが強ければ強いほど反動による絶望も大きくなるのだから。

しかしながら、これは前回にも書いたが1クールではあまりにも尺が足りない。上記の要素は詰め込めば詰め込むほど物語はジャンルとしての魔法少女アニメを相対化し、その枠組みを超える可能性が生まれるのだがそうでなくとも1クールとしてのまどマギは歪な構成になっていたのでそれ以前の話なのだが。


そこで登場したのが『叛逆の物語』である。

冒頭の「魔法少女戦隊ホーリークインテット」の件は私達が慣れ親しんできた、もっと言えば「セーラームーン」に端を発する強い女性像としての戦闘美少女モノそのものである。あれを観た時「そうそうこれが観たかったんだよ。」となったのだがそれと同時に制作側も本編であるTVシリーズの様なアクロバティックなものばかりでなく、従来の戦闘美少女モノをやってみたかったのではないかとも考えてしまった。

その考えが確信に至ったのがあの「変身シーン」である。
マミさんのフィギュアスケート。杏子のクラブ、ライブハウスのダンス。さやかのブレイクダンス。ほむらの新体操。そしてまどかのダンス。まどかのダンスは初見では何を意味しているのかは全く分からなかったのだが、その直後の一瞬流れる1カットを観た瞬間にその意味に気付き思わず膝を打ちそうになった。まどかが踊った後に「横に流れて」その後にそれまでと絵柄の違うバストアップのショットの入るあの1カット。

あれこそが『魔法少女まどか☆マギカ』である。

つまりはTVアニメ内TVアニメ。魔法少女内魔法少女。魔法少女前魔法少女。
象徴として、偶像として、アイドルとして。ポップでキッチュでキュートな魔法少女アニメの主人公としての鹿目まどか。

あの演出、1カットが前述した事を意図して挿入されたのかは分からない。だが明らかに本編よりもデフォルメされた絵柄の1カットを敢えて入れているという事は少なくとも「正統派魔法少女アニメとしてのまどマギ」という意図は間違いなくある筈である。

何故ならまどかの変身シーンのダンスは「アイドル」そのものだからである。

なのでこれに気付いた時は結構驚いた。上記の挿入された1カット含め半ば無理やり詰め込まれたような要素によって劇中の魔法少女像や概念を補完させてしまう力技とも言えるそのアクロバティックな演出は正にシャフトさながらといったところ。他のスタジオでは中々こういった事は出来ない。

TVシリーズは楽しめた分と同じくらい不満点があったので諸手を挙げて褒められるような作品ではなかったのだが、叛逆の物語が素晴らしい出来だったので最早帳消しである。何より劇場のスクリーンで紅茶を嗜むマミさんが観られただけで個人的には大満足である。

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