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AQUOS LC-52XL10の分割駆動エンジンによる擬似4K画質評価。 [BDアレコレ]

前回AQUOS LC-52XL10購入記。

4Kテレビの副次的機能である4Kアップコンバート(スケーリング)処理。メーカーによる安定した4Kコンテンツが絶無である現在、2KコンテンツであるBDが4K処理によって如何様な画質になるのか。「MASTERED IN 4K」「SBMV」「MGVC」など2K表示において様々な画質へのアプローチがある中、PS3におけるDVDアップコンバートの様にBDはDVDと全く同じ流れを汲もうとしている。

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4Kアップコンバートについては検索してみればいくらでも記事が出てくるがどれもいまいちピントこない。XL10を購入した今でも、いや今だからこそ言えるのだが、はっきり言ってこれに関しては3D映像同様実際に実際に見てみなければ全く分からない。と言ってしまうと今書いているこの文章の意義が無くなってしまうので、私個人の視点ではあるが2Kコンテンツの4K表示が如何なるものなのかをここに記しておこうと思う。

その前に前回書き忘れた事を補足しておきたい。
先ずモスアイについてだが予想通り自宅の蛍光灯レベルであれば移りこみは殆ど無い。全くというわけではないがテレビの周囲に白い物を置かない限りは映りこみは気にならないだろう。私の場合は視聴の際、蛍光灯の片方(内側)だけをつけるようにしている。音質に関しては付属のスピーカーは使用せずヘッドホンで聴いているので全く分からない。リモコンの操作性はPS3等と比べると流石に落ちる。まあ、良くも悪くも無い。と、こんなところか。

XL10の4Kアプコンには2段階あり1段階目が輝度優先、2段階目が解像度優先となっている。正直1でも2でも違いは分からない上に2は結構暗くなるので基本は1のみ。アプコンはテレビ側で行っているのでBD再生に限らずゲーム、写真、動画ファイル等映像として入力されたもの、もっと言うと画面に映るモノ全てにその処理がかかる。なのでテレビのメニュー画面のUIにもアプコンの処理がかかる。枠、文字を問わず。なのでその効力を試すためアプコンの恩恵がありそうなコンテンツを片っ端から試すことにした。

コンテンツの種類は「Blu-ray disc」「PS3」「PS4」「Xbox360」を基本とする。
コレクターの人に比べれば私の所蔵するBDなぞたかが知れているがその中で幾つか結論が出たので一応記しておこうと思う。今回色々BDを再生してみて一番その効果が伝わりやすいタイトルは何かと考えた結果、挙げられるのは「風の谷のナウシカ」である。
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ジブリのBD作品の中で販売時に「カリオストロの城」と並んでユーザーから低評価を受けた本円盤。私も当時RDT272WXで観た時思ったよりも画質が良くなかったことに少々気を落としたものだが、今回XL10でのアプコンをかけた結果その画質は驚くべきモノとなった。「あの」ナウシカがこんなにも綺麗になっている。ナウシカよりも綺麗なソフトは幾らでもある。だがXL10の4Kアプコンによる処理はあのナウシカさえ綺麗にしてしまうのである。それがどれ程のものなのか、以下の画像を見て欲しい。

「風の谷のナウシカ」13分14秒より
2K表示
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分割駆動エンジンによる擬似4K表示
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XL10はあくまで「擬似4K」であり4K相当の処理に過ぎないので、各社販売している4Kテレビによるアップコンバートの処理と比べれば当然その質は落ちると考えるのが普通だろう。しかし、その擬似4Kですらこの効果である。ピクセルを実際に駆動する事により解像度を上げ、主線を補完し発色を改善する。ポスプロでのCG処理の無かったセル画作品故にもともと線がはっきり出ているのでアプコンもより効果的に機能する。アニメに限らずこの擬似4K処理によってフィルム撮影作品の力強さを改めて見せつけられる事となった。上の画像だけではあまり違いは分からないかもしれないが接写してこの違いなので実際に引いて見るとその違いは歴然である。

主線の補完と発色の改善。
主線は単に輪郭線に留まらず、実写映画の場合その「主線」の定義はあらゆる線に適用される。物体を構成する輪郭線、服の繊維、肌の微細なシワ、塵、埃、煙、影、そして光。主線として認識されたモノは全てピクセルが駆動し補完する。結果、立体感が増すといった分かりやすい効果だけでなく、肌の艶や生々しさが増すといった予想外の効果も表れることになる。多くのコンテンツで試した結果媒体に関わらず幾つか共通項が見られた。実写、アニメ、ゲームそれぞれに共通する効果。先ずは草や木々などの樹木類への効果。小さな葉の集合体である木は無数の主線で構成されているため効果が非常に分かりやすく、最も効果が大きい。次に星空。白と黒という対称の色で構成された星空は主線がはっきりしているので特に宇宙空間での効果は絶大である。そして金属。これも厳密に言えば星空と効果は一緒なのだろう。無機質な質感と光の反射によって生まれる光沢感は非常に相性が良い。

では上記のXL10による擬似4K表示の効用が分かったとして、それらは一体「どの程度の効果」があるのか。それは「コンテンツに依存する」としか言えない。具体的にはコンテンツが有する「解像度」と「解像感」に依存する。そしてこのアプコンは元のコンテンツが高精細であればあるほどその効果は大きくなる。これには少々驚いた。なお、便宜上ここでの解像度とはピクセル数の事とする。BDであれば1920×1080、地デジならば1440×1080。PS3、360のソフトの多くは1280×720でPS4の場合大抵1920×1080。

そして解像感。この言葉がどの様に定義されているかは定かではないが誤用である可能性を踏まえつつ説明する。解像度が高いからといって高精細な映像というワケではない。2006年頃から現在まで一般販売されているBDの映像ソフトの中で画質の評価というものが生まれている事がその証左である。中でもタイトルを挙げこそしないが「最低画質」の烙印を押されているものもある位で、BDになって解像度が上がったとしても画質は映像ソース(マスター)に依存するからである。まあ、今更な説明だが。そのため、それら鮮明ではないコンテンツにおいてはいくら擬似4Kの処理を行ったとしても画質が改善される事はない。効果があったとしても凝視するレベルである。

最近では実写映画の撮影において、特定のカメラが使用されているという事が宣伝文句になっていたりと実写においては撮影時の解像度の高さの重要性も認識され始めてきているが、一方で日本のBD市場の要であるアニメにおいては未だに1280×720の解像度が主流であったりもする。京アニを始めとする一部のスタジオでは1600×900を超える解像度で制作されているTVアニメ作品もあるが数えるほどである。そこで前述した「解像感」である。

ネットでは個人でアニメ作品の制作解像度を検証している人もおり私も良く参考にさせてもらっているが、BDで観てみると明らかに解像度は低いのに異様に鮮明に見える作品というのが中には存在する。これらは主に撮影処理、最近の言葉で言えばポスプロ時のCG処理によるものである。デジタル制作に移行したことによってセルを重ねる枚数の限界が無くなり、それらは無色透明のレイヤーとして使用され、フィルターやエフェクトの処理に不可欠なものとなっている。劇場作品ともなれば何十枚ものレイヤーが重ねられ、幾重ものCG処理がかけられるのも珍しくない。

しかしデジタル上のレイヤーとはいえ、一枚でもセル画(便宜上)の上に重ねられたら元となる絵の鮮明さは失われてしまう。ライティング、フィルター、大気エフェクト等、空気感や臨場感を生み出す処理はいくらでもある。複雑な陰影処理が施されている昨今のTVアニメだが、俗に言うクオリティの高い作品は大抵元絵であるセル画の質感が失われている事が多い。深夜アニメに比べて朝に放送されている子供向けアニメの方が鮮明である事が多いのはそのためである。

上に書いた「ナウシカ」などのフィルム制作作品が鮮明なのも単にフィルムの解像度の高さだけにによるものではなく、撮影処理の少なさにも起因している。また、解像感に関してはスタジオによる作風の違いも結構影響が大きく、同程度の制作解像度でも解像感は大きく異なる。「JCフィルター」などは正にその典型である。そして「エヴァンゲリオン新劇場版」のBDが総じて解像感の感じられない画質になっているのもそのためである。

本機の画質設定の際「日常のブルーレイ」のOP映像をリファレンスとして使用したが、日常のOPは制作解像度が高くポスプロによるフィルターやエフェクトが少ないため元絵の質感がかなり良く出ているからである。このポスプロCG処理による解像感の話は手書きアニメだけでなくセルルック3DCGアニメにも当てはまる。「アイカツ」「プリパラ」「プリキュア」、少し前なら「シドニアの騎士」「蒼き鋼のアルペジオ」など幾つもある中その多くは1280×720前後の解像度で制作されているようだが、解像度は似通っていても解像感はそれぞれ全く異なる。

実写の場合は解像感はあまり関係無く、カメラの性能の高さに比例して画質の鮮明さも増していく。「RED EPIC」による撮影が主流となっているここ数年のハリウッド大作は大抵画質が良いので、BDの評価は最早不要といっても良いくらいである。

結論としては実写作品の場合は上映時のフォーマットである「マスター」と撮影時およびポスプロ時での「ソース」の二つの解像度、アニメにおいては制作解像度よりも寧ろ前述したようなポスプロ処理を経た後の解像感の有無。これらがXL10の分割駆動エンジンによる擬似4K表示時の画質の決め手となる。

なお、分割駆動エンジンによる擬似4K表示は基本的に「無いモノを補完する処理」なので当然その弊害もある。処理が効きすぎて擬似輪郭こそ出ないものの主線が浮いてしまう、凝視するレベルではあるがモスキートノイズが発生する、暗部が潰れてしまう等である。先ずモスキートノイズに関しては静止しないと全く分からないので問題ない。暗部の黒潰れだが、これは画質設定をTHXのプリセットに近づける事によって最小限に留める事が出来る。

問題は、という程でもないのだが主線の浮きに関してはどうしようもない。フルCGアニメ作品、CGの多用された作品、元々主線がはっきり出ているアニメ作品などであれば寧ろ効果的であったりもするのだが、実写映画の場合背景に対して人物が明らかに浮いてしまっている状態になる事が多い。多いと書くとアレだが、浮いてしまう事自体はそんなに多くは無い。全く無い作品も当然ある。これに関しては個人の好みとしか言えず、ただ個人的には「浮いてしまう事」を加味してもやはり擬似4K表示の鮮明さは捨てがたい、寧ろ積極的に使用していきたいものだと言いたい。というか一度あの画質を味わってしまうと最早後には引けぬ。

さて、本来であればここから各コンテンツの感想をつらつらと書いていこうと思っていたのだが、予定していなかった部分が大幅に増えてしまい今更削るワケにもいかず、ここから書き出すと流石に長すぎるので後は次回に回したいと思う。というわけで申し訳無いが擬似4K画質の記事は次回までお付き合い頂きたく候。

続きAQUOS LC-52XL10の擬似4K表示によるBD画質評価。[映画編]

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