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「オール・ユー・ニード・イズ・キル/Edge of Tomorrow」[Dolby Atmos] [映画]

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監督 ダグ・リーマン
出演 トム・クルーズ
    エリミー・ブラント

今まで「Dolby Atmos」について勘違いをしていた。
天井に配置されたスピーカーによってこれまで平面的だったサウンドデザインに対して上下の空間表現が可能になるという触れ込みを聞いた時、そればかりに注目していてそれが何を意味するのかは考えていなかったからである。私はatmosについて天井のスピーカーの効能だけを考えていたのだが、実際に体験してみると予想は大きく裏切られる事となった。Dolby atmosとは天井から上下の空間を表現する音を鳴らすだけのものではない。これは天井に配置されたスピーカーが従来の5.1・7.1chと「組み合わさる事」により映画のサウンドデザイン、空間表現そのものを根本から変えてしまうものである。上下の空間表現が追加されるだけではない、5.1・7.1ch等の従来の音響システムとは全く別のものである。

だから初見の本作でもそれははっきり分かった。atmos以外のシステムと比較するまでもなく今まで体験してきた映画館の音響とはまるで鳴り方が異なる。勿論単純に上下の空間表現がはっきり分かるという点は言わずもがな。これは映画館による違いもあるのだろうが、今回観た茶屋のスクリーンのatmosはそもそも前後左右の鳴り方自体が他の映画館と異なっており、「アナと雪の女王」「300 帝国の進撃」でも前後左右の分離感が非常に良く特に「アナ雪」は場面によってははっきりと違いが感じられた。atmosでの「アナ雪」の感想で違いが分からないという意見を幾つか見たので正直不安もあったのだが、音響が派手になるアクションシーンなどでははっきりと違いが出ていたと言える。なので全編アクションシーンの本作そして「300」はその違いが顕著になる筈である。特にSF+ミリタリーの本作は楽しめるサウンドデザインになっているのでatmos向きなのではないかと思う。

3Dに関してだが「キャプテン・アメリカ」(2011)以来久しぶりの「realD」方式だったのだが、知らない間に改善されていたのか3Dメガネをかけてもそこまで暗く感じる事はなかった。まあ、単に忘れているだけなのかもしれんが。本作はポスプロ処理の3Dなので例の如く3Dで観る必要は全く無い。立体感をはっきり感じ取れるカットは数えるほどなので3Dに固執する人でなければ2D版をオススメする。

しかしながら、ポスター以外のほぼ全ての情報を遮断していたおかげで本作はかなり楽しむ事が出来た。「ああいった」ストーリーは日本のアニメ、ゲームのお家芸であり十年二十年前から幾つも存在していた。勿論海外の映画にもそういったストーリー展開はあったのだが、「トム・クルーズ主演の超大作SFアクション映画」でまさかこんな展開が観られるとは。その点で言えばはっきり言って話自体に目新しさは「全く」無い。露程にも。だがそれ故に、いや違う、そうであっても「面白すぎた」。基本的に「あの」物語の形式は語るのに時間がかかる。それは日本のアニメ、ゲームが物語っている。そしてその物語の形式を採用するにあたっては観る側に説明しなければならない要素、描写というものが不文律的に存在する。

あの物語の形式は面白くなる可能性が高い反面、肥大化する時間が常にネックとなっていた。本作では113分という驚くべき短さの中、言葉で説明が必要な部分と画だけで十分な部分を選り分け兎に角カットを割り、テンポを上げる事により説明的になりがちな「要素」を映画的な面白さへと転化する事に成功している。物語としての面白さ、SFとしての面白さ、そして映画としての面白さ。バジェットが大きな作品ほどどれかが欠けけしまうものなのだが本作は見事なまでにそれらがまとまっている。驚くべき事である。そしてこの「面白さ」には「笑える」面白さも含まれている。特に序盤は最高である。残念なのはSF的ディテール、要はデザインについては目新しいものが特に無いという点だろうか。「アバター」と「エリジウム」を足して割ったような感じなので見た目の面白さという点も欲しかったところ。

アニメ、ゲームに馴染みがある人にはお約束的展開の面白さ、それ以外の人にとってはなかなか新鮮なストーリー展開の面白さ。「ロサンゼルス決戦」「エリジウム」と残念な作品が続いていただけにSFアクション超大作でこれだけ面白い映画になっているというのは嬉しい限り。近くにDolby Atmosがある人もない人もとりあえず観ておいて損はない作品である。

enjoy your death !
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