SSブログ

RIDEBACK - ライドバック - 第一話 [アニメ]

RIDEBACK_800x600.jpg
少女はその脚を失った。

2025年。レジスタンスに起こる組織「GGP」によって新たなる秩序を手にする事となった世界。バレリーナとしての未来を自ら閉ざした尾形琳の前に現れる常用脚式自動二輪車両「RIDEBACK」。運命かはたまた偶然か。新たなる「脚」を手に入れる事となった琳に待ち受けるモノとは。
本作を観ずに本文を読むと変に印象が付いてしまうのでこれから観ようとする人は読まない方が良い。


第一話を見る限りでは惜しいと言わざるを得ない。そしてもったいない、と。素材が良いだけにそれらが上手く引き出されず、本来出てくるはずの魅力が半減してしまっている。

まず主人公の意志が全く見えない。冒頭のシーンでの踊りの最中に靭帯が断裂した事によってバレエを諦めたのに、それを悔いているのか嘆いているのかハッキリしていないまま琳は「RIDEBACK」に乗ってしまうので、何のために乗るのかという具体的な動機が提示されないままその場の流れによって事が進んでしまっている。

また、「RIDEBACK部」(に主人公が雨宿りした設定)の部員の「RIDEBACK」に関する説明もたんなる説明に終わってしまっている。こういう場合は主人公が「RIDEBACK」に興味を持つように「これによって手足の感覚が拡張する」とか「まるで自分の身体のように自在に操れる」等の煽り文句を言うのが定石だろう。でないと脚の怪我の意味が無いし、琳のように一見清楚なタイプの少女が「RIDEBACK」にのるのはいささか無理が出てしまう。

それに加え、琳が自らの脚に対して何らかの負の感情を持っている事が事前に明示されていればなお琳と「RIDE BACK」との関係を描く事が出来たはずである。そうすれば琳の意志や動機だけでなく物語全体の方向性などももっと固める事が出来ただろう。

あと、琳が「RIDEBACK」に搭乗し学校の敷地内を走り回る場面で、「RIDE BACK」が自分の身体に不思議と馴染む事やその機能性の高さ、そして「RIDE BACK」に乗る事によって景色がいつもと違うように見える事に驚くのだが、それをいちいち言葉にしているので観ている側としては非常に興ざめてしまう。

こういうのは言葉にせずに描写にのみ任せた方が印象が強くなるモノである。何せ「RIDEBACK」という存在それだけで既に異質であることは表現されているのだから。それをわざわざ言葉にして説明するというのは無粋という他はない。その機能性と感覚に驚き、風を切る気持ちよさを描き最後に「スゴい・・・!!」と一言言うだけで観る者には十分に伝わる筈である。本当に驚いていれば言葉は出てこないのだから。それにアニメーションという手法を用いながら言葉に頼るという事はそれを放棄している事に他ならない。やるなら心情にとどめたほうが良いだろう。

あと細かい事だが、幾ら学校の敷地内とは言え時速100kmは出るであろう「RIDEBACK」に肘や膝を保護するサポーターどころかヘルメットさえ被らないのはいくらなんでも危険すぎる。それに大戦に使用されていながら世間的にその存在がマイナーであるというのは科学技術の観点からみても無理があるのでは。揚げ足ではあるが。

とまあ色々書いたが気に入っている事も確かである。というのも、先の学校の敷地内を走り回る場面を観ていた時、何故か涙腺を刺激されてしまったのである。歳でもとったのだろうか。主人公が「RIDEBACK」に振り回されながらその操作法を会得していくのを、失った身体を取り戻しているようにでも観ていたのかもしれない。音楽に由るところもあるだろうが。

大戦の遺物である「RIDE BACK」に乗る琳は果たして戦闘に巻き込まれていくのか、そうだとして彼女は引き金を引くのか。はたまた大会で優勝を目指す只のレースモノになってしまうのか。第一話を観る限りでは全く分からないが、一話だけならばなかなか見応えはあると言える(だからこその第一話なのだが)。一巻だけならばDVDを買っても良いかもしれない(BD在り)。それとどうやら本作には漫画の原作があるらしい。アニメが面白かったら読むかもしれんが。

と書き終わって気付いたが、どうやら私は本作が結構、いやかなり気に入ったみたいである。別に本作より面白い作品やクオリティの高い作品はある筈なのだが、何故だろうか。コレを書いていて情でも入ったのかもしれない。


蛇足:第一話では象徴的に「キエフの大門」が使われていたが、何故にキエフなのか。あと主人公のアホ毛はデフォルトという事でいいのか。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。